原価管理に対する本当の考え方とは?

原価管理とは、決められた予算内で工事を完成するようマネジメントすることが基本となります。そしてそれを達成するために、協力業者から提出された見積書の合算である「積上原価」というものと、お客様との契約金額から想定された「見積原価」との差を如何に埋めていくかの作業が、実は原価管理の仕事そのものなのです。

これを適正な計画書にしたものを、「工事原価書」といいます。しかしながらこの「積上原価」と「見積原価」の差を埋めていくとき、一般的な経営者や現場監督は単純なコスト削減として、決まって次の3つの方法を取ろうとします。

① 協力業者から提出された見積金額をそのままの状況で値下げ要求をしようとする。
② お客様に分からない部位の仕様を、勝手に安いものに変更しようとする。
③ 道具の機械化や協力業者任せによる、作業効率アップと作業代のコストダウンをしようとする。

しかし、これらの方法をそのまま強引に進めてしまっては、やはり施工品質や工事工程に大きな影響がでてしまうのではないでしょうか?

例えば①の価格に関しては、協力業者に何の根拠もなく発注金額を落とした結果、協力業者のやる気が失せ、職人たちのモチベーションも当然下がってしまい、現場作業では最低限の配慮でしか工事をしなくなってしまいます。仮に、もっとこうすればよい仕事になるのになあと職人が思っていたとしても、受注した金額があまりにも安いことで、仕事というよりもボランティアに近い思考に陥ってしまい、結果、お客様が期待しているモノづくりには、到底、実現不可能な状況になってきます。

また②の仕様変更に関しては、もし設計仕様を安易に安いものに変更したとした場合、確かに一旦見た目も変わらず、完成するまで何とか予定通りの住宅として建築できたとしても、経年劣化によって、ひどく粗悪なことになってしまう可能性だってあり得るわけです。住宅の仕様は、見た目の豪華さ以上に、その素材の耐久年数に応じて価格が設定されている部材も多いので、「安いもの=耐久年数が短いもの」という結果になってしまうことも、ここでしっかりと頭に入れておきましょう。

また③の作業に関しては、確かに作業効率は絶えず改善し効率化を目指すべきではありますが、作業に必要な道具や機材を電動化することで作業効率ばかり気にした結果、納まりや施工精度がおざなりになったり、現場が散らかったりのすることで作業環境が悪化したり、また安全でも様々な部分が損なわれたりします。特に現場が散らかっていると、材料を見つけにくくなりますし、化粧材など注意すべき材料の目印が見えなくなることでキズを付けたり、ごみで隠れた場所からモノを落下させてしてしまう可能性だってあるのです。

ここで大切なポイントは、工事原価は「つくり込む」という思考が非常に大切であるということなのです。決して「積上原価」を削ることではありません。大前提として、やはり原価をつくり込むためには、十分にその作業のことを理解することから始め、コストパフォーマンスの高い作業になるような創意工夫を検討することが原価管理の本当の考え方と言えるでしょう!

現在、日常的に行われているこの3つの従来型のコスト削減手法からまず脱却し、元請だけが儲かる工事原価ではなく、利害関係者全員が納得できる工事原価の設定意識を基本にしていきましょう。やはり現場管理とはプロジェクトマネージメントの成功であることから、利害関係者全員が満足してその工事を完成させることだという原点思考軸をブラさないよう、これからもしっかり取り組んでいきましょう!