激動する環境下で最大の武器となる『現場力』

改めまして、新年明けましておめでとうございます。今年も皆さまにとって、本質的な気付きとなるメッセージを、毎月コラムとして …


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改めまして、新年明けましておめでとうございます。今年も皆さまにとって、本質的な気付きとなるメッセージを、毎月コラムとしてお届けして参りますので、今年もご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。

昨年末にも告知させて頂いておりましたが、先日1月16日(木)に外装部材メーカーである城東テクノ様主催の新春ウェビナーに『これからの経営は現場力で決まる!』をテーマとして、午前・午後の2講演で登壇させていただきました。当日は、延べ300名近いお申込みもあり、非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。ご視聴された方々には心より感謝申し上げます。今年スタートのコラムは、そんな現場力をテーマにお伝えしていきたいと思います。

昨年より施行されました働き方改革関連法によって、皆様方のお会社におかれましても様々な場面で業務効率化や生産性向上などを意識し始め、日々改善に取り組んでおられるのではないでしょうか。また、続く原価高騰によって低迷する販売強化策や、粗利の改善、そして技術部門の強化なども、マストな課題となってまいりました。

『激動の年』という今年のフレーズも、これからの時代、毎年常に激動であるという環境的スタンダードを心しなければなりませんし、今後は常に時代のトレンドを追い続けるだけでなく、足元の課題を着実に解決させながら前に進めていく力がどうしても必要となってきます。そこで、2025年こそ今一度『ヒト』という人材リソースに目を向け、このリソースを如何に『価値=力』に変えていくかという『現場力』というものに、是非経営の焦点を当てていただきたいのです。

このような環境下でも成長する企業は、どんな業界でも必ず4つの共通点を持っています。

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1つ目の共通点は、自分達の会社の商品やサービスが、他社には負けない最高のものを顧客に提供し、絶対に他社に勝つという競争戦略に対する強い動機付けが、末端の社員まで広く浸透している点です。これは後に述べますが、社員のマインドセットの違いを意味しています。

2つ目の共通点は、組織やチーム単位で、自分たちの現在の仕事に対する問題や課題を、自ら能動的に発見している点です。これは、自分たちの仕事を常に否定し『もっと良くする』をテーマに、チーム全体が主体性を帯び出しているという傾向です。

3つ目の共通点は、能動的に発見した問題や課題を、マネージャーがリーダーシップを発揮し、チームメンバーの意見を集知しながら方策を検討し、解決に向おうとしている点です。つまり現状を放置せず、知恵と工夫を凝らしながら、トライ&エラーを繰り返しているという習慣化です。

最後、4つ目の共通点は、このようなチームの風(文化)が、社員各々の仕事の創意工夫に繋がり、自身の仕事に対する誇りから、仕事に対するオペレーション力が醸成しだしている点です。この状態こそ『現場力』の最大化であり、各々が責任を持って生産性高くサービスに向き合っていると言えるでしょう。

会社というものは、当然、社長をトップとするヒエラルキーの中で、ビジョンやミッションをしっかりと下へ浸透させ、またガバナンスを効かせるための必要な体系でもあります。しかしながら、サービス推進は全く反対の逆三角形の体系で推進しなければなりません。何故ならば、サービスを提供する現場は末端の社員である訳で、社長ではないからです。つまり、サービス提供する現場で働く社員が、どれだけ責任を持って自分事にして活動するか。またその環境支援を、社長を含めた経営幹部や管理者が如何に支え応えるかが重要であるからです。

このような各々の現場力の基盤は、モチベーションで成り立っており、そのモチベーションの源流には、成長マインドセットが存在しているという事をお伝えしたいと思います。

まずモチベーションには、外発的動機付けと、内発的動機付けの2つが存在します。モチベーションの前提には、必ず目的や目標が存在し、そこへ向かうためのプロセスに対して、行動するための動機や意識の状態を示す表現です。ただし、目標すら無いものについては、モチベーションという表現は適切でないという事をご理解頂きたいのです。

昨今一般的に使われるモチベーションの低下というものは、どうも外発的動機付けばかりに着目されつつあり、給与や待遇、残業や評価そして報酬など、周りに対する自身の欲求とのギャップによる違和感で語られる事がほとんどなのです。

私が一番伝えたい事は、実は内発的動機付けによるモチベーション低下が深刻な問題であり、そもそも自分がどうなりたいのか?何を目指したいのか?またどんな事を成したいのか?など、組織全体で共有や共感がなされていない事そのものが、大きな課題であると感じています。そんな環境だからこそ、仕事に意義を感じず、ワクワクすることがない為、自身のキャリアへの不安や不満に繋がり、ネガティブな心理状態に陥ってしまっている訳なのです。

そんな個人の心理状態が組織化することでは、おそらくどんな素晴らしい戦略や方針を打ち出しても、目指す目標や課題はきっとクリアすることはないでしょう。むしろ仕事の課題を他責にし、リスケする慣習が広がり、改善を阻む現場力の低い指示待ち集団と化していくのです。

そんなモチベーションの源流には、マインドセットというものが根っこに存在します。マインドセットには、成長マインドセットと固定マインドセットの2種類があり、前者の成長マインドセットは、自身が努力すれば必ず変わるという価値観を根強く持っているかという思考です。ここを会社全体でしっかりとバックアップしてあげられる環境づくりを全力でやるべきなのです。何故ならば、経営全体の販管費の半分以上は、人に投資をして成り立たせている重要なリソースだから、なおさらだと言えるでしょう。

固定マインドセットは、能力は生まれ持ったものであり、努力をしても成長しないと割り切ってしまう思考です。この思考が蔓延すると、社内改善を阻み、チャレンジをリスクと捉えます。つまり未来成長に可能性を摘んでしまい、現状維持どころか低下していく事に繋がってしまいます。

成長マインドセットが現場力に繋がる大切な意味は、ワクワクしながら新たなチャレンジをリスクと捉えずポジティブにアクションできるというマインドが源流として有しているからです。この思考を社員がどれだけ持てるかが目標達成や改善の鍵となります。

特にマネージャーやリーダー層に広がると、組織全体に拡散しやすくなり、チーム内に前向きな改善意識が波及してきます。そして、改善すべき課題を打破するための手段や方策に知恵を出し、工夫をし出す風が生まれ始め、これが体質化していくのです。そうすることで、社員の仕事に対する向き合い方や仕事への誇りへと変化し、最終的には各々のオペレーション力が高まり、本質的な生産性までが一気に上昇するのです。

『家づくりは人づくり』と言います。こんな激動の変化の早い時代だからこそ、今一度『人の価値=力』をじっくり見直してみては如何でしょうか。