2024年5月29日(水)に記念すべき第1回目の「Japan Housing Quality Award 2023」の表彰式が、大阪の中央公会堂で開催されます。
このイベントは、かねてから全国のつくり手が建物を市場に供給していく共通過程の中で、仕様スペックによる設計品質だけでなく、それを実現させる製造時の本質的な施工品質の重要性を業界全体に認知させる事を主旨とし、同時に施工に関わる技術者や技能者のやり甲斐の醸成や、ユーザーが安心して購入できる良質な建物、そして優良な事業者環境の拡大を支援することを目指し、弊社が事務局となって今回やっと実現できたのです。
この記念すべき第1回目のアワードは、昨年からエントリーを1年間募り、2024年3月31日までの竣工物件を対象に、全国の住宅事業者が集結し、「つくる」という本来の工務店の価値でもある製造力を競い合うというプレミアムなイベントとして、今月5月末には、2023年度の会社部門及び建物部門の受賞企業が発表されるのです。そこには業界に携わる多くの協賛企業やメディアのご協力で、およそ200名規模の祭典を予定しておりますが、若干数の空きが現在のところございますので、エントリー企業様以外でも是非、弊社にお気軽にお問い合わせくださいませ。
今回のアワードをこれまで推進してきて感じた事は、まずアワードへの参加及び不参加の動機が、非常に住宅事業者側に共通して別れる点にありました。これは、住宅事業に携わる経営思考の二極化現象を意味するのかも知れません。
まず積極的にエントリーされる住宅事業者様は、自社の施工レベルが全国的にどのくらいの水準なのかを絶好の機会だから検証してみたい!という動機がかなり多かった印象でした。また、このイベントを通じてエントリーする建物の製造関係者が一丸となって取り組むという求心力の向上をきっかけに、できれば受賞を狙い、職人や現場監督の自信と誇りに繋げてやりたいという想いからトライアルされる要素が多かったように感じました。
逆にエントリーされなかった住宅事業者様は、決して取り組む主旨やイベントに興味が無かった訳ではなく、まだまだ自社の施工レベルに課題が山積していて、エントリーできる状況に今はないという判断で、ひとまず今回は不参加といった理由が一番多かった印象でした。
このメルマガ配信後の5月29日には、全ての結果が発表される訳ですが、今回のアワードでの入賞の有無に関係なく、やはり参加された企業様が品質向上に対して愚直であり、施工改善に前向きな企業様が沢山参加された事から、全国的にハイクラス水準の住宅事業者が様々な仕様の壁を超えて集結できた事が何より有意義であり、また次への挑戦を掻き立てるポジティブなマインド形成も併せて構築できたと確信しております。
今回のアワードを下支えできた環境も大きく、弊社が技術や技能を定量的に評価できるアナリティクスクラウド「QualiZ(クオリツ)」を2021年にローンチできた事も、今回のアワードを推進できた重要な理由の1つでもあります。特にこんな製造に纏わる人材リソースが不足していく時代だからこそ、「つくる」という原点に立ち返って、製造環境そのものを魅力的なものにchangeしていかねばならないのだと深く感じている次第です。
さて、今月14日メディアで発表されたニュースをご存知の方も多いと思いますが、大手ハウスメーカーの積水ハウスも、新しい職人の概念を刷新させた「クラフター」を前年比3.4倍の134名入社するなど、2024年4月入社以降の高校卒業予定者を中心とした住宅建築を担う社員工の積極採用を実施してきています。
また今年度からは、施工技能を習得できる訓練校の育成カリキュラム変更などによる体制の強化や、施工技能の可視化を含む新たな人事評価制度を導入するなど人財育成の取組みを一層強化させ、2024年4月の新人事制度導入から、チーフクラフターの待遇を大幅に改善し、30代で現在年収500~600万円から、最大約1.8倍にあたる約900万円まで引き上げるという、魅力的な取り組みも始まってきています。
これまで私も多くのコラムで、地域ビルダーこそいち早く職人や現場監督の新たな概念を構築し、それに沿った評価と教育を連携させていくべきであると提言してきましたが、やはりこれからの製造関係者が仕事に集中して働きやすく、一生涯安心して良質な住宅建築に貢献できるよう就業環境を整備し、働く魅力をさらに向上させていったりするなどの、20代の「自身が輝ける環境」を求める価値観にフィットさせていく事が重要であると改めて強く認識いたしました。
昨今では、SNSなどでも様々に自社の施工PRをされるビルダー様も目立ち始めてきましたが、「長期保証」「責任施工」「自社大工」など、形式上のスローガンばかりが先行しているようにも見えます。当然大切な事でもありますし、ユーザーからすれば安心や信頼に繋がる営業上でのキーワードではあるのですが、施工環境は確立して安泰するものではなく、常に人が流動する限り、確立環境にはないという基本をしっかり理解しておけば、必ず施工管理は継続的なPDCAの取り組みでしかないという事を再認識できるのです。
今年も2024年度のアワードエントリーがスタートしております。
このようなイベントをきっかけに、是非、製造関係者の「技術・技能」をまずは可視化させ、またそれを正しく定量的に評価してあげる事で、自身の仕事の成果を公正に還元していく環境づくりに向かって行って頂きたいのです。
そして成果を一喜一憂するのではなく、常に習熟度をモニタリングしながら、各々のスキルアップへの学習環境を準備してあげる事も、将来のキャリアアップ形成には欠かせない業界の最重要課題とも言えるでしょう。我々ネクストステージも、新しいソリューションサービスを強化し、皆様のお役に立てるよう挑戦してまいります。
昨年エントリーされた企業様も毎年チャレンジしていただきたいと思いますし、特にエントリーを見送られた企業様も、今年は是非ともチャレンジして頂きたいと心から願っております。