戸建住宅における安全衛生管理を見直す手順とは?

皆様の会社でも、製造現場(施工現場)における協力業者を含めた安全衛生大会の開催や、様々な取り組みを定期的に実施されている …


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皆様の会社でも、製造現場(施工現場)における協力業者を含めた安全衛生大会の開催や、様々な取り組みを定期的に実施されているかと思います。また目的は違いますが、お客様の営業的な現場案内などの配慮をきっかけとした現場環境整備なども、結果的には安全衛生管理に繋がる取り組みの一貫と解釈され、積極的に推進されているところも少なくありません。

今回のコラムは、そもそもの安全衛生管理について住宅事業者としてのあるべき姿に近づけるためにも、見直していく具体的な方法をお伝えしていきます。

さて皆さん、そもそも安全衛生管理の目的はご存じでしょうか?
一言で表現すれば、協力業者を含めた施工者が働きやすい職場環境を維持することが目的となります。

事業者がしばし設定される安全衛生管理の具体的な目標例を挙げると、
・ヘルメット未装着率0%
・5S活動を毎日実施
・安全ルール遵守率90%
など、安全面に寄った一般的な目標を何となくスローガンのように設定されている会社が目立つような気がいたします。

しかしながら、目標設定の観点から見ると、やはり職人の働きやすい環境づくりが目的なのであれば、衛生面にも寄り添った目標設定も必要となります。例えば具体的な目標例を挙げると、
・定期健康診断の受診率100%
・メンタル不調者を発生させない
なども視野に入れておくべきでしょう。

いずれにせよ、目標設定には具体的な数値を明確にし、どういった取り組みをしなければならないのか?また、どうすれば目標が達成できるのか?を考えさせやすくする工夫が重要となります。何より安全衛生目標を達成するためには、「安全衛生管理計画書」が必要となり、その計画に沿ってどのように結果を出すかが求められます。

とは言っても、そもそも安全衛生管理計画書とは、具体的にどういったものか詳しくご理解されていない方々も多いのではないでしょうか。

安全衛生管理計画書とは、施工者が住宅を製造していく上で、工事や作業を安全に実施する為の、「行動や計画を明確に表現した計画書」となります。つまり、その計画書が存在することで、職人同士が共通の認識を持ちながら目標を持って施工に取り組める環境づくりに寄与することができるからです。だからこそ、計画書を作成する際には、出来るだけ職人視点のわかりやすい具体性のある計画書である事が一番のポイントとなります。

安全衛生管理計画書は、今後、非常に重視されていくと予想されます。なぜならば、働き方改革の方針にも連動した施工者保護の観点の強化傾向も去ることながら、何より計画書に沿ったプロセスや成果を客観的に確認できるといったメリットがあるからです。実際には労働災害がゼロになった事業者事例も数多く見受けられます。

今後、働き方改革が進化していく中、労働基準監督署が安全衛生管理計画書の提出を求めるケースも将来的にあり得る訳で、健全かつ安全な事業を継続していく為にも適切に計画書を作成して行くことが大切になるでしょう。

それでは簡単に、安全衛生管理計画書の作成手順と活用方法に分けて、ポイントを解説していきます。

まず、安全衛生管理計画書の作成ポイントですが、4つのステップとなります。

第1ステップは、事業者内の現状把握をします。現状、どういう問題が発生しているのか?といった問題から、何を優先的に解決しないといけないのかを、正確に分析してみましょう。

第2ステップは、チェック項目の作成をします。漏れがないかを再確認できたら、具体的に計画書作成に入ります。

第3ステップは、計画書の作成を行い、基本は一年更新で行う事がベストだと考えます。

第4ステップは、毎年評価を行い、改善を洗い出しすることが重要となります。

そして安全衛生目標を設定する際は、危険な場所や有害箇所などを特定することが重要となりますので、その為には『リスクアセスメント』という考え方が大切になってくることから、敢えて具体的な特定すべきポイント記載させて頂きます。是非ご参考にしてみてください。

【目標設定ポイント】
・墜落や転落、転倒の危険箇所
・挟まれや巻き込まれ危険箇所
・資材等の飛来や落下危険箇所
・積荷等が崩壊する危険箇所
・構造材等、重量物の運搬や荷上げ箇所
・物との衝突による危険箇所
・機械や刃物による危険箇所
・感電による危険箇所
・有害物質による中毒等の健康障害箇所
・健康管理不足による健康障害危険
・過重労働による健康障害危険

など、様々な場面が考えられますので、目標設定にお役立てください。

目標が設定できれば、次に人を特定しリストアップしていきます。例えば、中高年の職人や身体が不自由な人というカテゴリも想定できますし、社内スタッフだけでなく、協力業者や運送会社、または来訪者といったリスクも想定されるはずです。戸建住宅建築の場合では、協力業者の中でも危険な職種を限定して想定することも考えられるでしょう。

人が特定できれば、次にどの程度のリスクがあるかを見積もることが大切になります。まず、どのような被害を受ける可能性があるか、その有害箇所への接近する頻度がどれくらいあるのかなどを元に発生確率を定義し、試算することが大切となります。

評価する時には、リスク発生への可能性だけでなく、どれくらいのリスクが許容できるかの範囲なども併せて考えておき、リスクレベルを定量的にスコア化しておくと、後に算出しやすくなり更に効果的でしょう。

そして何より、このようなリスクを減らしていく方法を検討しておかなくてはなりません。その為には、まず皆さまにリスク対策の優先順位を理解して頂きたいのです。

まずリスクを許容できない優先内容は、当然、労働安全衛生法の関係法令や指針への具体的な対策となります。これは絶対に外せない法令内容です。

次に危険な作業の廃止や変更、また安全な施工方法の変更といった、計画段階における措置の工夫となります。

この対策が取れたならば、工学的対策として、囲いや安全装置などの設計や設備関連の改善を図っていきましょう。

工学的対策を検討の後は、管理的対策として、安全性の高い作業方法への変更や立ち入り禁止措置、またマニュアルの整備や教育訓練などといった取り組みもこのステップとなります。このような順番で検討されていくと、スムーズなリスク低減への推進計画が段々と見えてくるものです。

それでは最後に、安全衛生管理目標を達成していく為の重要な実施事項を4つほど解説していきましょう。

1つ目の実施内容ですが、『チョコ停とヒヤリハット推進』です。チョコ停は戸建住宅の場合には、あまり事象リスクは少ないですが、いわゆる設備機械の不調による作業停止となります。覚えておいて頂けたらと思います。やはりメインは、ヒヤリハット推進でしょう。これまで、様々な「ヒヤり」や「ハッと」した事象報告を挙げて行くことで、具体的にどのような場面にどんなリスクが隠れているかが可視化され、責任者や現場監督の安全管理や配慮指示がしやすくなってきます。

 

2つ目は前段でも記載の通り、作業マニュアルの更新です。作業マニュアルには、品質管理において押さえていきたいポイントや重要な箇所を盛り込むことで、新人や若手のみならず、現場監督のキャリア教育にも役立てられることが可能となります。更に、安全管理上の注意点なども併せて記載しておけば、積極的な注意喚起をスムーズにし、事故の未然防止に寄与します。このようなポイントを意識しながら、定期的なマニュアルの見直しをすることで、安全衛生管理目標の達成率は上昇していくに違いありません。

3つ目は、異常時の措置設定です。作業中の機材等のトラブルや設備事故などが発生した場合に、どのような対応や対処を取るのかを決めておくことが大切です。事前に異常への措置を制定しておけば、冷静な対処や判断ができるでしょう。併せて、実際のトラブルを想定した予行演習などを取り入れると効果的でしょう。

4つ目は、皆さまお馴染みの現場パトロールです。これは、日常的に現場をパトロールすることで、事故災害が起こりにくい環境を作ることをみなさん期待されて取り組まれます。ここでのポイントは、やはり特定した危険な場所や有害箇所を念入りにパトロールすることが非常に効果的です。そして、パトロール時に何かトラブルに繋がる可能性を見つけたら、随時、しっかりと指摘を行う事がポイントであり、職人や現場監督全てに安全意思の再確認を浸透させる事が重要となります。

 

是非今回のコラムを熟読頂き、今一度、各々住宅事業者で現在の安全衛生管理状況を謙虚に振り返って頂き、もしギャップを感じたならば早めに推進のフレームワークを刷新される事をお勧めいたします。また、課題にぶつかった時は、当社NEXT STAGEへお気軽にご相談頂ければ幸いです。