『建築ブルーオーシャンへの思考転換 』

先日、職人起業塾のクール最終日の総括講義で、オブザーバーとして参加させていただいた。高橋代表理事自らが、塾生に対して半年間を振り返り、そして伝えて来たマーケティング理論の原理原則を基に、塾生達がこれからの自身の取り組みに対して各々がみんなの前で少し恥ずかしながらも元気一杯にプレゼンテーションを行ったのだった。ひとりの職人として。そしてひとりの現場監督として、今の仕事の現状を打破して行こうとする士気感を持ち合わせ、もう一つ高いところから自らの役割をマーケットと照らし合わせながら模索し、きっと新たな尖り方を描いてプレゼンテーションに望んだに違いない。

ブルーオーシャンへの第一歩は、決して事業モデルを先行させ、競合の無い世界で戦わないという新しい領域を作り出すことではなく、マーケットの課題を様々な角度で高い位置から解決していく術を模索した結果、周りよりも更に尖ることに磨きをかけ続ける思考の変化によって成し得た仕組みと創意工夫が、顧客からしっかりと選ばれていくという流れを生み出すことにある。つまり、マーケティング理論の原点もこの思考変化にあると言っても過言ではない。

住宅産業界全体においては、まだまだブルーオーシャンなサービス領域は残されていると思うが、建築においてのブルーオーシャンへの基本コンテンツは、人とモノの2つの差別化しか尖ることができない。

その他の差別化は、お金を出して手に入れられるものがほとんどである。つまり、例え新しいモノを作り出したとしても、お金さえあれば手に入れられるものは、結局真似をされ、レッドオーシャンの波へ取り巻かれていくのである。今の戸建住宅業界もまさしくこの現象に陥っている。

また、チャンネルを変えるという手法も非常に効果的ではあるのだが、新たに絞り込んだチャンネルでさえ、そこで他社には全く追いつけない人とモノの仕組みの差別化が出来なければ、これもまた同じことになる。まさしくリフォーム業界もこの現象と同じではないだろうか。

建築におけるブルーオーシャンの基本を整理すると、周りが簡単に真似が出来ず、日々の積み重ねで尖らせられることとは、「モノの品質でしか無い」。そして作り上げて根付かせる、品質に取り組む仕組みは、人でしか無い。この基本思考は誰もが解っているようで、成し遂げる会社は希少である。つまりまだまだ、解っていないということになる。

令和の時代。人それぞれに輝きを持たせ、このように周りが成し得ない領域を創り出せる会社こそ、建築ブルーオーシャンの第一歩では無いだろうか。本質を映し出し、選ばれるつくり手に成長される為に創意工夫する会社と関わることが、今、何よりも感動的である。