家を売ることと選ばれることの最大の格差とは?

以前のコラムにも、住宅会社の本来の事業目的は家を造ることで、受注することは手段であると言ってきた。この目的と手段の意味をあまり理解されない理由には、やはり安定した経営をする為には理想過ぎるという意見も少なくはない。そこで、改めて違う視点からその意味を分解し、思考を整理していきたい。
 
『売る』という行為は、基本的にマーケットインという流れであり、『選ばれる』という行為は、マーケットアウトという事になる。卸業界で例を挙げてみるとわかりやすく、販売代理業と購買代理業の差をイメージしてもらえれば非常にわかりやすい。販売代理業というものは、メーカーやフランチャイズ本部が企画商品化したものを、如何にマーケットへ流通させるかという販売量の仕事となり、購買代理業というものは、商品やサービスを手にしたいユーザーやクライアントが、どんなモノを、いつまでに、どれくらいの価格で提供して欲しいというニーズや課題に対して解決したり、供給する価値量の仕事である。まさしく、マグロの時価のようなものである。
 
我々、日本の住環境のマーケットを図る上で一番の目安となる人口や世帯数などのマクロ的変化からもわかるように、少なくとも縮小して行く産業であることは間違いない。だからこそ、建築会社は様々な付加価値を有する為に、設計仕様や性能、そしてインテリアや様々な保証やアフターサービスを手にして、受注拡大というテーマに、手にしたメニューを前面に押し出して、受注結果に結びつけようとするのである。この行為は、何となく付加価値を抱いたように感じるが、あくまで販売メニューという武器を持ったに過ぎず、戦術としてはやはりマーケットインという手法体系と全く変わらないのである。
 
マーケットアウト的な選ばれ方を実現するとなれば、建築会社の価値というものは人からもらう武器を持つことではなく、企業内で生み出され、内製化された価値でなくてはならない。これは非常に難しいことのように思うが、実はシンプルである。これが、これからの建築会社の格差となるのである。
 
建築会社が唯一、自社で生み出して内製化出来るコンテンツは、施工という製造に関する価値しか生み出すことはできない。仕様や商品はお金を出せばマネは出来るが、施工品質だけは自社で生み出すしかない。だからこそ、一番難しいことであり、信念と継続が無ければ成し得る事の出来ない付加価値なのだと思う。こんな思考を持ち合わすつくり手が、地域にドンドン広がって行く力強い住環境こそが、これからの職人達の希望となり、また地域のユーザーをワクワクさせ、結果、地域産業の活性化につながるに違いないと、夢を描き応援していきたい。