住宅事業のあるべき利益構造とは?

日本には、様々な事業がある中、この住宅産業の事業構造を種別すると、小売業でありながら製造業である。自動車業界や家電業界をみても、製造業としての製造利益と、小売業としての販売利益の二重構造となっている。しかしながら、建築事業は製造業としての利益だけで、製造以外に関する一切の費用については、利益転嫁出来ずに留まっている業界常識が、今や建築事業の限界利益となり、頭打ちとなっている。利益の前に、まず粗利率に対して着眼してみよう。
 
様々な産業界の製造業に的を絞って私なりに経済産業省のデータを調べてみると、売上総利益率【粗利率】は、製造業平均で22.3%となっている。これを規模別にみると、中小企業が24.9%、大企業が21.0%となり、中小企業が大企業を3.9ポイント上回っている。また、小売企業に的を絞って調べてみると、売上総利益率は、小売業平均で27.6%となっており、これを規模別にみると、中小企業が29.1%、大企業が26.4%となり、中小企業が大企業を2.7ポイント上回っていた。住宅産業も本来、この2つの利益構造を持ち合わせていかないとダメなのではないだろうか?わかりやすく例を上げて考えてみよう。
 
例えば、分譲事業のような業態であれば、土地の仕入れに対して販売に必要な小売粗利をプラスし、更に土地の上に乗せる住宅という製造粗利が二重になることで、 グロス的な発想で利益の出し方が検討でき、事業戦略によっては非常に高い収益を望め、また様々な投資戦略も活発になる。しかし一般建築請負業をしている地域の工務店事業をみてみると、住宅を製造する粗利の範囲で様々な販売活動から引渡し後のメンテナンスに対する経費までもその枠内でやり繰りしている。これでは正直、次への投資は厳しくなり、保守的な事業戦略になってしまうであろう。やはり住宅を販売したり維持管理をしたり小売としての役割と価値が明確になれば、販売やサービスに対する対価としての小売の粗利をしっかり産み出すことができるのではないだろうか?
 
しかしながら、現在の工務店経営の実態としては、販売に対する価値を産み出す以前に、分譲会社やローコスト住宅が提供する市場の土俵に取り巻かれ、どうやって受注していくかをまだまだ価格という視点からでしか検討出来ていない部分が沢山あると感じている。分譲事業と地域工務店事業は本来の事業目的が全く異なっており、分譲事業はいかに不動産戦略に価値を生み出し、地域工務店事業は本質的な住まいづくりという小売戦略に価値を見出さなければ、いけないのではないだろうか!販売価格とは、家単体のモノだけを示すものではなく、サービス価値そのもの全てでなければならない。
 
つまり、工務店事業の足らない部分とは、まず製造利益を最大化することを体質化し、そして提供するサービスに対する価値向上を本気で検討し、実践していくことが大切であるろう。顧客にとって、特別と言われる自社の得意を社内で探求し、その得意をピカピカに磨き上げていただきたいといつも願っている。結果、これがきっと真の地域ブランドに繋がるのだと確信している。