「令和こそ未来に尖れる事を模索し自社を磨く時代」

2019年の住宅市場を総括すると、消費税も増税となり、また人口減に対するマーケット市場も緩やかに下降したかに見えたが、後半に向かって特に激変した一年でもあった。それを象徴するかのように、目まぐるしく変化する市場に明確な戦略として手を打てない経営者に対する課題が浮き彫りとなり、M&Aなど後継者問題にまで発展する機会を今まで以上に沢山目にした年はなかったであろう。

市場全体をみると、世帯数の減少傾向と比例し新築受注数が減って来ているものの、伸ばすビルダーとジリ貧の工務店の二極化がかなり開いた事も言えるでしょうし、またユーザーの購買動向や媒体に関するプロセスの変化を感じ、その変化を察知しながら自社が環境適合させたか否かの実践結果が、この一年でのギャップであったと言っても過言ではないでしょう。

ここで大切なことは、販売、設計、業務、施工管理、アフターメンテナンスなど全てにおいて、あくまでも効率化や業務生産性という視点での二極化が進んだという選別の第一波でしかない事を、改めてここで押さえておく必要があるのです。

例えば、クラウドツールを導入による業務生産性向上へのトライアルをはじめ、販売活動においては従来型の集客先行型から成約重視型へ転換、そして施工においては協力業者へのコストアップや自社職人の育成、さらには工業化への仕様の変更など、様々な業務生産性に対する取り組みを人材リソースを含めて投資ポイントをしっかり判断されたビルダーさまが、やはり業績を安定させている事が明確になりました。実は、これを乗り越えられれば安泰という事ではなく、第二波として、必ずや「付加価値生産性」という選別の次の波に飲み込まれない準備をしておく事が、2020年から各々のビルダーとしての中長期戦略と言えるのではないでしょうか?

世界的に見て、日本における住宅市場のIT化が進まない根本的な理由は以下の3つと言われています。
 1つ目は、総合請負業という体系が未だ日本に強く根付いている事
 2つ目は、法的なリスクを含めて、まだまだ製造過程にたいする危機感を持たない事
 3つ目は、現場職人の権限や存在が未だ強い事

考えてみると現在の住宅産業構造は、規模に関わらずほとんどが総合請負業であり、営業、設計、施工、アフターのどこかに尖る事なく、程々にこなしながらなんとなく事業を回している風潮があります。他産業をみても、例えばラーメン屋さんに、イタリア料理、フランス料理を提供するお店はない訳で、更に限定して言うと、味にこだわらず様々な味を提供するラーメン屋は、どこも流行っていない訳です。

つまり、施工環境に関する需要と供給バランスが今後もさらに崩れていく時代に、総合請負業という何でも屋さんでは事業そのものを脆弱化させ、その脆弱化した組織からは様々なリソースが遠ざかっていくという負のスパイラルに陥って行くことにつながるのです。

「二兎追うものは、一兎をも得ず」

売ることが得意なビルダーなのか?設計することが得意なビルダーのか?それとも製造することが得意なビルダーのか?という、自社の尖る部分を今こそ見出し、そこに向かって誰にも負けない技能や品質を磨き上げることこそ、令和という光るものを輝かせる時代なのではないでしょうか。今、本物の施工ができる会社がほとんど無い環境こそ、製造に尖れる会社は希少価値なのです。

「業務IT化への目的を明確にし、まずは人材育成環境整備へ」

ここ数年の業界の変化として、業務IT化へ取り組む企業がかなり増えてきたと言えます。この普及していく流れのビルダー側の根底には、現場スタッフの労働不足に対して、業務生産性向上という命題に無理矢理でも踏み切って行かなくてはならない厳しい環境に置かれてきたことが一様に挙げられます。そしてこのように急務な現場環境改善に対して、施工管理や人材マッチングなど、沢山のベンチャー企業の参入と企業努力で、IT化というものが少しずつスタンダードな環境を根付かせて行ったとも言えます。一方、市場から見たこのIT化の普及要因としては、タブレットのような簡単に持ち運べるデバイスが広がった事と、個人利用に対して多くのアプリの誕生による利便性と習慣化が後押ししたことも挙げられるでしょう。

では国内だけで見ても、何故、他産業に比べ建築業界のIT化の進度が遅かったのか?また世界的に見ても、何故、同じ産業界でも他国に比べ、我が日本がIT化の流れが遅れているのか?ということを、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?実は、この業界普及進度の遅れの要因には3つの理由が隠されているのです。

1つ目は、「ゼネコン」と言われる日本独自の請け負う仕組が根底に存在するからです。ゼネコンとは、元来英語の「General Contractor」の略称であり、元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者を指します。つまり、この総合請負体制が、実はIT化の普及を阻止していたと言えます。

2つ目は、世界的に見ても日本という国は、まだまだ建築行為そのものが、市場に対してあまり大きな問題にならない環境下にあると言われています。裁判が当たり前のアメリカなどに比べ、日本はまだまだ不具合の潜在化に対しても、あまり危機感という点において緩いと言えるでしょう。

3つ目は、日本の建築現場において、職人や技能者の権限や権力という個人に属する力が大きく存在しているからです。職人不足だから気を使うという単純なことではなく、会社が請負をしても、まだ下請側の職人個人のやり方や考え方という部分に依存仕切っている元請側の管理軸が弱いことが挙げられるのです。

以上のような背景から、これからITを使って、何を業務改善するのか?また何の為に生産性を向上させるのか?という意図や、現在の業務の仕組みや組織体制という点からも、しっかり導入目的を具体的かつ明確に示して行かなければ、本末転倒となってしまいます。ITツールは魔法ではなく、万一、アナログであってもしっかり業務目的や業務フローが築かれ、浸透しているからこそ、デジタルの力というものが大きな力になるという事の「目的と手段」を見誤ってはいけないことを、ここでしっかり振り返っておきましょう。

ここで皆さんに考えて頂きたいことは、労働不足という原因の奥底には、ただしんどい仕事、またお金がもらえないからという事ではなく、未来を描けない不安があるからなのです。仕事をしていて「楽しくない!」「必要とされない!」「認めてもらえない!」という環境では、そもそも自分の仕事を天職と思える機会を奪っていると言えるでしょう。つまり、各々が仕事を天職とおもえる魅力という部分と、その知識や技能を得ることで自身が未来を描けるインプット、つまり学習環境というプラットホームを作ってあげる事が必要なのです。働き方改革の原点はきっとこの根底にあるといえるでしょう。

例えどれだけ業務が効率よく回っても、どれだけ現場の生産性が向上したとしても、そこで任される人の思考やモチベーションを進化させる何かがなければ、サービスや製品そのものに、大きな価値の差が生まれてしまうという訳です。だからこそ生産性向上実現に向けて、労働生産性という部分だけの改善で留まらず、付加価値生産性というもう一方の視点を決して忘れずに意識して改善して行きましょう。その付加価値生産性向上を実現していく大前提には、まず各々で働く人達の仕事の目的を正しく気付かせる学びの機会を習慣化させて行く事が大切でしょう。

我々NEXT STAGE GROUPもそのご支援出来る環境整備に一助できるよう、
「思考を変え、実践が変わる!」
をテーマに、遂に2020年1月6日に業界待望のクラウド動画学習サービス「ACRO5 」をリリースさせていたます。まずはご体感していただき、是非ともサービスインして頂ける事、心よりお待ち申し上げます。

「工務店事業を選ばれる喫茶店から学ぶ」

読まれた方もいらっしゃると思いますが、遠藤功さんの書籍である「ホットケーキの神さまたち」を是非地域で事業をする工務店さんに読んで頂きたい。成功へのヒントになる一冊です。この本は、人通りがあるのに有名どころの各種飲食店が次々撤退していく街として、ウルトラマンの発祥の地である東京小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅にある「黒田珈琲店」を描いた書籍です。実はこの黒田珈琲店が取り組む3つの創意工夫というものが、我々工務店事業にも必要な思考と取り組みであることを、今月は少しご紹介していきましょう。

 

この駅は、成城学園前駅などに比べると人は少ないですが、それでも1日に5万人近い人達が乗り降りする、決して人通りの少ない駅前ではありません。なのに有名どころのチェーン店がことごとく撤退して行く中で唯一、この黒田珈琲店が何故今まで30年に渡って支持されてきたのか?

 

その理由はたった一つ!「わざわざこの店に行く理由」というものを創り出してきたということなのです。つまり「ちょっと寄って行こうか?」という特別な何かなのでしょう。

 

この黒田珈琲店が創り出した創意工夫の1つは、当然珈琲店だけに自家焙煎した珈琲を丁寧にいれて提供することはもとより、デザートに力を入れた点にあります。サンドイッチやホットケーキだけでなくパンケーキを含めて、様々なトッピングに工夫を凝らし、「選ぶ楽しみ」というコンセプトをお店に植え付けた点にあります。

 

2つ目の創意工夫は、「他では味わえないプロのこだわり」をコンセプトにしている点にあります。つまりメニューに対する工夫に余念がないことと、素材に対する妥協がないことです。例えば、ベーキングパウダーひとつとっても特別な素材を使用したり、パンケーキについては食感に対する工夫、そしてホットケーキを焼く銅板には必ず厚さ5ミリの一枚銅板を特注で製造し焼き上げる。また、型をくり抜き見た目にもこだわりを持ち、お客様に対して全てのシーンにおいてプロを感じさせる商品の提供をしている点です。

 

3つ目の創意工夫は、「味と共に、お客様との交流」を大切にしている点にあります。オーナーの黒田さんが「早く閉めて、好きなことをやってもいいよ!」と言ったきっかけから、定期的に読者会を開いているそうです。お客様が好きな本を読んで、その感想をお客様同士で語り合ったりと、常にお客様との交流を深め、大切にされているのです。

 

このオーナーである黒田さんの事業思考は、「喫茶店とは、人と交流し語り合い、触れ合うことが喫茶店という事業の原点であるから」というミッションを大切にしていることだと言えるでしょう。我々住宅産業も同様、工務店事業とは、本来工務という技能に対して如何に価値を出すかというプロ意識こそが事業の目的であり、その発揮する現場を創造するために手段として受注をする。これがモノづくりをする企業のミッションと言えるのではないでしょうか?

 

一方、黒田さんはマーケットについてこう語られていました。「通行人はお客様でない!」という言葉です。考えてみれば確かにお客様予備軍ではあるが、本当のお客様ではない。つまり単なる通行人を消費者と考えるから、チェーン店などが撤退するということに繋がるのだと。人口分布や人通りと言う立地という観点からの事前調査は確かにマーケット戦略なのかも知れないが、やはり本当のマーケティングとは、売ることではなく選ばれることにあるのです。

 

通行人を本当のお客様に変えること。これが事業(商売)なんだと黒田さんは語ります。これは家づくりも同じく、ショールームや完成見学会など、集客というステージは所詮、通行人である。その来場者と言われる通行人を、本当のお客様に変える為にはどうしたら良いのだろうか?

 

この答えを、黒田さんはこのように答えていました。「お店に魅力があること。そして、提供する商品に本質的な価値が無ければ、絶対にお客様にはなり得ない」と…。全てはこの言葉に集約されるに違いありません。

 

工務店が生み出す価値は、他社には絶対に真似出来ない工務力を提供することと、地域に魅力的な交流を深めながら、常にお客様が相談してみたくなる理由を創り出し続けるかが、地域密着事業の本当の在り方なのでしょう。本当の企業の実力とは、実は見た目の集客力ではなく、興味を持ってくれたお客様予備軍に対する成約率であることが、この本で学び得ることができたのではないでしょうか。上っ面の世知がない販売競争からの脱却というものから、造って楽しめる工務店の事業を是非残していきたいものです。

住宅建築業界にスタンダードな学習環境を!

この業界は特に、自分達の仕事をより探求していく上で、まず建築会社そのものに学習するという基本環境が整備されていないことと、学習をする必要性を現場実践そのものだけに頼らせてしまう風潮があることが今の大きな課題ではないでしょうか?これでは、社員達が学習するというヤル気を芽生えさせたいと思っても、結局何かあれば誰かに聞けば良いという安易な就業思考がより根強いてしまうことで、仕事に対する興味や関心までも奪い去ってしまうのです。働き方改革の原点には、この問題を避けては通れないのです。

学習の基本は、その物事に対して『何故?』という仕事の目的そのものを学び、更にその目的を理解した上で手段として考えながら実践していくことでスキルが積み上がっていくのですが、目的を軽視する中で実践を積み上げさせても全く身にならないのは何故でしょうか?その理由は、仕事の作業手順しか積み上がらないからなのです。

例えば野球というスポーツを事例にあげるとしましょう!投げる、打つ、守るという一つ一つの作業プロセスを仮に教えてもらって個人スキルがそれなりに磨かれたとしても、チームプレイとしての試合にはなかなか勝てません。それは、ゲームそのものの流れでの役割連携という前後が掴め無いこと、つまり対局が理解出来ないことで自分の役割る目的が見えなくなり、チームとしての連鎖が生まれ無いから勝てないのです。

施工現場も同様ではないでしょうか?1件の住宅を建てる場合、仮設工事から完工まで、20社以上の工種の職人達の個人スキルさえ高ければ、計画された住宅がしっかり建つという訳ではありません。むしろスキルが高い職人に限って、自分のやり方や納め方という持論の中で仕事が個々で進んでしまっているケースが多いのではないでしょうか?

例えば基礎であれば、鉄筋の継手寸法や定着寸法をただ覚えることも重要なのですが、何故、継手を取らないといけないのか? 何故、定着を取らないといけないのか?という目的を知ることが大切なのです。鉄筋は1本の長い材料として使えないことで、分断された鉄筋を繋いで1本とみなすための重ね継手寸法でありますし、鉄筋がコンクリートにしっかり引き抜けないように埋め込み寸法として定着寸法を設けている訳です。

鉄筋の特性、コンクリートの特性をまずしっかり熟知すれば、両者の特性が相反関係にあることが分かり、お互いの弱点をかばい合うことで鉄筋コンクリートが、本当に強固なものになることの本質を理解できます。だから施工方法に工夫が生まれ、新たな探求が根付きます。

その為にも、施工手順を理解してみよう!また、妥当な許容範囲を検討してみようという意思が芽生え始めてくるのです。現場管理者が、絶対に品質管理という仕事の役割が本当に大切なんだという思考に進化している建築会社は非常に少ないですが、そういう学習環境を風土として根付かせることが製造業の使命なんだと考えます。

我々NEXT STAGE GROUPは、2020年1月より、待望の住宅建築業界におけるクラウド学習環境サービス『ACRO5』をリリース致します。今までになかった住宅産業界の学習環境のスタンダードを目指し、「3カテゴリー」「21チャンネル」「約300番組」をリリース時にラインナップし、これからの学習環境整備を牽引していきたいと考えています。

2019年12月11日~13日に「東京ビッグサイト・青海展示棟」で開催される工務店支援EXPOで体感いただけますので、是非ともご期待ください!

 

住宅業界向けクラウド動画学習サービス

 

 

 

原価管理に対する本当の考え方とは?

原価管理とは、決められた予算内で工事を完成するようマネジメントすることが基本となります。そしてそれを達成するために、協力業者から提出された見積書の合算である「積上原価」というものと、お客様との契約金額から想定された「見積原価」との差を如何に埋めていくかの作業が、実は原価管理の仕事そのものなのです。

これを適正な計画書にしたものを、「工事原価書」といいます。しかしながらこの「積上原価」と「見積原価」の差を埋めていくとき、一般的な経営者や現場監督は単純なコスト削減として、決まって次の3つの方法を取ろうとします。

① 協力業者から提出された見積金額をそのままの状況で値下げ要求をしようとする。
② お客様に分からない部位の仕様を、勝手に安いものに変更しようとする。
③ 道具の機械化や協力業者任せによる、作業効率アップと作業代のコストダウンをしようとする。

しかし、これらの方法をそのまま強引に進めてしまっては、やはり施工品質や工事工程に大きな影響がでてしまうのではないでしょうか?

例えば①の価格に関しては、協力業者に何の根拠もなく発注金額を落とした結果、協力業者のやる気が失せ、職人たちのモチベーションも当然下がってしまい、現場作業では最低限の配慮でしか工事をしなくなってしまいます。仮に、もっとこうすればよい仕事になるのになあと職人が思っていたとしても、受注した金額があまりにも安いことで、仕事というよりもボランティアに近い思考に陥ってしまい、結果、お客様が期待しているモノづくりには、到底、実現不可能な状況になってきます。

また②の仕様変更に関しては、もし設計仕様を安易に安いものに変更したとした場合、確かに一旦見た目も変わらず、完成するまで何とか予定通りの住宅として建築できたとしても、経年劣化によって、ひどく粗悪なことになってしまう可能性だってあり得るわけです。住宅の仕様は、見た目の豪華さ以上に、その素材の耐久年数に応じて価格が設定されている部材も多いので、「安いもの=耐久年数が短いもの」という結果になってしまうことも、ここでしっかりと頭に入れておきましょう。

また③の作業に関しては、確かに作業効率は絶えず改善し効率化を目指すべきではありますが、作業に必要な道具や機材を電動化することで作業効率ばかり気にした結果、納まりや施工精度がおざなりになったり、現場が散らかったりのすることで作業環境が悪化したり、また安全でも様々な部分が損なわれたりします。特に現場が散らかっていると、材料を見つけにくくなりますし、化粧材など注意すべき材料の目印が見えなくなることでキズを付けたり、ごみで隠れた場所からモノを落下させてしてしまう可能性だってあるのです。

ここで大切なポイントは、工事原価は「つくり込む」という思考が非常に大切であるということなのです。決して「積上原価」を削ることではありません。大前提として、やはり原価をつくり込むためには、十分にその作業のことを理解することから始め、コストパフォーマンスの高い作業になるような創意工夫を検討することが原価管理の本当の考え方と言えるでしょう!

現在、日常的に行われているこの3つの従来型のコスト削減手法からまず脱却し、元請だけが儲かる工事原価ではなく、利害関係者全員が納得できる工事原価の設定意識を基本にしていきましょう。やはり現場管理とはプロジェクトマネージメントの成功であることから、利害関係者全員が満足してその工事を完成させることだという原点思考軸をブラさないよう、これからもしっかり取り組んでいきましょう!