『これからのリフォーム事業の施工管理の在り方とは?』〜Vol.1〜

 2020年10月15日に、久しぶりにリフォーム業界に向けて、今回のコラムタイトルでNSウェビナーを開催いたしました。
 当日はリフォーム産業新聞社の中村様をお招きしながら、変化するリフォーム市場の課題やニーズを聞かせて頂き、これからの施工管理の在り方を紐解いていきました。

 ウェビナーご視聴者のご参加内訳は、約半分がリフォーム専門会社様で、残り半分が新築をメインにリフォーム事業強化を考えられているビルダー様であり、特に経営者のご参加が目立ったように感じました。
 また今回は、メーカー様各社の企画開発部スタッフ様のご参加もかなり多かったように思います。

 ということで、今月号からはご視聴頂けなかったメルマガご登録者様にも、今回のウェビナーでのポイントを簡単に掻い摘みながら数回に分けてコラムという形で皆さまにお届けしたいと思っておりますので、是非楽しみにしていてください。

***

 今回のウェビナーは、5つのステップでお話しを致しました。

 まず1ステップとして、「何故リフォーム業界に施工管理という概念が根付かなかったのか?」というテーマに対して、3つの要素を上げました。

 1つ目は、リフォーム事業を起業した際の、経営者の事業目的にあるとお伝え致しました。
 つまり、リフォーム事業の起業目的が、「販売」することなのか?それとも「つくる」なのか?という、そもそも論が根源となる重要な部分だという事です。

 2つ目は、リフォーム業界に対して、現在の日本のコンサルティング会社を筆頭に、「集客」「収益」「販促」という3つのキーワード以外、提案したり教えたるする企業がほとんど無いという環境にあるという事です。
 毎年開催されているリフォーム産業フェアの提案ブースの構成について、当日リフォーム産業新聞社の中村様にお伺いしたところ、リフォーム業界の現在のテーマが、新規受注強化から生涯顧客化へシフトしている点で、近年は商品提案ブースから販売促進、顧客管理といった内容の提案ブースへ比重が大きく移り変わってきたという事象も近年のニーズとして確認できました。

 そして3つ目は、社員教育および人材育成についての課題です。
 つまり、建築知識や施工管理知識を学ぶ環境がこのリフォーム業界に全く存在しない事が挙げられ、仮に会社が社員に対して研修等へ参加させたとしても、「集客」「収益」「販促」というテーマに集中してしまい、社内には建築技能的なリソースが蓄積されず、社内の技術的キャリアアップ形成にはどうしても及ばない状況である事が挙げられます。

 このような3つの理由から、「つくる」という行為そのものの優先順位が中々上がらず、施工品質という重要性の高い課題は内面では認識しているものの、どうしても緊急性の高い、受注やキャッシュという事を優先してしまう業界文化が根付いてしまっているという訳です。

***

 一方、今回の「施工管理」の在り方を進めていく前に、リフォーム業界という大きな業態から、リフォーム内容をセグメント化し、どの範囲から施工管理という業務が必要となるのかを、我々建築技術コンサルティング会社視点で以下の4つの分野にセグメント化しました。

 まず、センスや提案性が少なく価格先行で受注するメンテナンスリフォーム。そして、逆に価格は去ることながらセンスや提案性が必要となる仕様改善リフォームです。
 ただし、両者とも共通するのは、建築知識が薄くとも、販売先行で獲得できるリフォーム内容となりますので、この2つは施工管理という領域ではなく、「作業管理」の領域となる訳です。
 この内容のリフォームをメインに事業として推進される会社は、短い工期に、身の回りの養生やマナーを中心とした環境保全対策や単発的な納材管理程度となることから、事業領域はむしろ「販売業」だと言えるでしょう。

 しかしながら、快適性を求める性能改善リフォームや、増改築と言われるライフスタイル改善リフォームの2つは、住宅そのものの耐久性という長寿命化を考えた主要構造に関わる重要なリフォームカテゴリーとなりますので、正しい建築知識と施工管理知識が必要となりますので、絶対に「建築業」という思考でなければならない領域となるのです。
 特に新築の建築知識がない状況で素人的なプロセスで受注することが危険な領域となりますので、技術的な社内の人材リソースの開発や育成を強化した中で、チャレンジしなければならないリフォームだと言えるでしょう。

【Vol.2へつづく】

コロナ禍で引きおこる職人との情報共有の懸念

 コロナ禍で職人との接点機会が少なくなることで、最近では正しい情報伝達に歪みが生じ、製造現場でのオペレーションに問題が出てきているようです。

 従来、定期的に実施していた安全大会や協力業者会の未開催に始まり、各物件の着工打ち合わせにまで未開催に至っている事が大きな要因の一つでしょう。

 特に着工前打ち合わせの未開催の影響は大きく、従来でも職人依存型管理体制が蔓延している中、せめてもの事前確認の場であったはずが、その接点も止むを得ず機会を損失してしまっているようです。

 一方、クラウドツールを積極に取り入れているビルダー様も数多くなり、このコロナ禍の中、利用する事で逆に利便性が良く、施工管理が上手くできていると仰る人達も少なくありません。

 このような対局の意見を聞く限り、どうもクラウドツールの運用の仕方でコロナ禍の建築現場の施工管理を賄えるのでは?と、一瞬勘違いするのも不思議ではありませんが、それは決してクラウドツールを導入する事そのもが左右するのではなく、クラウドツールをどのように運用していくかという目的に左右されるように思うのです。

 では、両者を検証していきましょう。

***

 中々クラウドを活用できず断念したり、導入しているが上手く機能していないと仰るビルダー様の課題は一体何でしょうか?

 一番良く言われる事が、『職人が中々全員使ってくれない!』という話しを良く聞きますが、そもそもビルダー様側がどんな成果を得たくて実施していきたいのか?
 またクラウドを使って、職人達がどんなメリットやベネフィットを受けるのか?という、明確な内容をしっかり伝えているのでしょうか?
 ここは結果、使わない外部要因よりしっかり伝えていない内部要因がそもそもの課題のようです。

***

 また、ある程度使ってくれているが、中々上手く運用できていない!と答えるビルダー様はどうでしょうか?

 このケースは、社内の業務フローがアナログであってもそもそもしっかり決まっていなかったり、ルールが定まってなかったりする事が根本にある事で、その状態で無理矢理クラウドの世界に業務フローを乗せ込んでも、自ずと機能しないのは当然であるように思います。

 このように導入したが上手く回らないケースでは、ほとんどが運用側の社内に課題が隠されている事がわかりますね。

***

 では一方、利便性が良く、施工管理が問題なく進んでいると答えるビルダー様はどうやっているのでしょうか?
 ここも一度検証していきましょう!

 上手く利用できていると仰るビルダー様のほとんどが使っている機能は、まずどのような機能を使っているのかを見ていくと、代表的な機能が、設計図書を中心としたデータ共有です。また各工種毎の作業日報的なメッセージや写真の伝達共有も非常に使われています。

 次のステップでは、工程表の共有なども多く、工程表に合わせての材料や段取りを含めた受発注関連にも積極的に利用されている方もおられるようです。

 更に利用を深めている方は、自主検査の為のチェックシートや品質管理の為の写真UPなど、どちらかというとお施主様への出来形報告を中心に積極的な顧客満足UPに利用されているビルダー様もいらっしゃいます。

 使われる機能の深さとビルダー様が感じるベネフィットの関係は、皆さん各々の価値観として様々ではありますが、いずれにせよこの辺りがクラウドを使って行うビルダー様側の現在の運用範囲のMAXであり、逆にクラウド会社さんは更なる利便性の高い機能を開発し、そして追加装備するも、これ以上は中々現場での本質的な運用までは踏みこんでいけず、ある程度、運用側の限界が来ていると言えるでしょう。

***

 ここで一つ、皆さんが気付かれているようで、理解されていない盲点が潜んでいます。

 ここが今回のポイントとなります!

 それは、現場管理ですべき本当の役割と目的が、クラウド活用の習慣化によって認識が少しずつズレが生じているという事なのです。

 これはクラウド活用を否定しているのではなく、活用すべきポイントを間違えないようにして頂きたいという事ですから、逆に間違いなく運用して頂ければ、まさしく『鬼に金棒』なのです。

 例えば、『設計図書の共有』というテーマに関して、クラウド共有という新旧図書を間違えない!全ての職人達にリアルタイムに伝達する!という事では素晴らしい媒体なのですが、施工管理の本来の目的からすると、UPされた設計図書そのものの精度が直接現場施工に反映されてしまう事を理解し、本当に精度の高い設計図書が提供されているのか?という根本的な事なのです。

 また現場の出来高をしっかり写真に収め、エビデンスを残しながらお施主様にクラウド上で進捗報告するという点でも、媒体としては素晴らしい取り組みだと思うのですが、施工写真をエビデンスとして残す事が品質管理の本来の目的ではなく、自社の施工基準にしっかり適合しているのか?そして万一適合していなければ、確実に是正して改善したんだというエビデンスを残す事の方が、品質管理において一番大切な仕事だという事です。

 特に自社チェックシートまで運用をされている熱心なビルダー様ですら、チェック項目にただただ○をつけ、写真を撮るという作業に至り、自分達はしっかり品質管理をしていると勘違いしてしまっているビルダー様も少なくありません。

 このように、『目的』と『手段』の使い分けをしっかりと理解し、運用さえすれば、実は素晴らしい施工管理ツールとして運用できるのです。

***

 施工管理でのリモート化のポイントを最後にまとめると、本来現場ですべき役割に特化し、ここを徹底的にリモート化することを考えていきましょう。

 現場ですべき役割とは、品質管理、安全管理、環境保全の3つです。

 その他の原価管理や受発注管理、そして工程管理等は現場のリモート化ではなく、着工前に全て完了しておく為の徹底した社内改善作業にあります。

 そして、現場ですべき3つの役割のリモート化のポイントは、職人達を含めた現場スタッフの共有浸透を一気に加速させる事が大切になります。今や現場スタッフとの共有浸透が図れない環境下の中、利便性かつ効果的な共有浸透手段を模索し、ここに焦点を絞って取り組んで頂きたいのです。

 きっとここをしっかり取り組んだビルダー様とそうでないビルダー様の施工品質や現場環境のレベルの差は、やはり決定的なものを生み出すに違いありません。

 コロナ禍で受注をしたお客様の生涯顧客化は非常に難しいと思われます。だからこそ、施工管理全体での精度が素晴らしい引き渡しを迎えれるか否かの分かれ道となりますし、顧客満足度を如何に引き上げられるか?そして、自分達の生涯顧客と成せるか?に繋がる大きなポイントとなるでしょう。

 

【PR】

自社専用動画チャンネルが実現!

施工に特化した共有浸透クラウド動画サービス

『ACROmember’s』が2020年9月1日、ついにリリース!

 

NEXT STAGEの品質監査サービス導入で、貴社の課題となる施工課題や改善手法を、症状に合わせてリアルタイムに動画作成。

自社専用動画チャンネルにUPする事で、全ての監督職や職人達に正しく、正確に、素早く浸透!

 

是非、お問い合わせください!

リモートワークで得た経験を、製造現場に生かそう!

 2020年春からコロナ禍によって本格的に始まったリモートワークも、当初の困惑からメリットやデメリットを数多く経験した中で、今や違和感のない様相と化してきました。

 社外においては、出張をしてミーティングをしてきた事や、人を沢山集客して周りに理解を求めてきた事、また社内においてもスタッフを集めて会議やオペレーションを行っていた事など、導入前までと比べて時間やコスト面においては、従来の内容にあまり遜色ない結果を実感した事で、案外このリモートワークというものが受け入れられ、むしろこの方が「経営効率が良いのではないか!」など、今までとは全く真逆の思考に染まっていった感覚が、遠い過去のように感じてしまうほど早い環境の流れを実感されていることでしょう。

 リモート環境の前提は、やはりコロナウイルスからの接触感染を避ける為の個人的、そして社会的配慮から成り立っています。その背景をきっかけに、手段として強制的に実施したリモート環境から、自らの仕事の意味や価値に対する原点回帰を経て、仕事そのものの必要性や生産性などを改めて考え直した思考の結果なのです。

 それを環境からの学びとしてポジティブに受け止めれば、やはり時間というものに対する効果や成果というものを、より引き上げる為の「習慣的価値改善」なのだという事でしょう。

***

 実際の住宅営業においては、新しいお客様の認知から好感に引き上げる集客業務。そして好感から興味に引き上げるファンづくり業務。更に興味を持って頂いたお客様に他社との比較を経て納得して頂くクロージング業務と3つのステージに分かれていますが、この顧客アプローチ全体においても、リアルプロモーションからWEBプロモーションに軸点が加速的に変化しようとしているのです。

 ただ失ったものの多くは、「人」という存在から生まれるリアルコミュニケーションという価値そのものにある醍醐味とプロセスではないでしょうか?

 単なる購買行為そのもから言えば、確かに効率性というものを重視する事は非常に重要な事なのですが、家づくりという購買行為は、唯一「一回性産業」と言われる崇高な行為だけに、単純な効率重視だけでは、その先の生涯顧客という長期視点においては、大きな影響を与え兼ねないという懸念はここで抑えておくべきでしょう。

***

 さて、上記でも述べた生涯顧客化の重要な課題でもある、施工管理工程における顧客満足度の低下に関しての具体的な対策であります。

 確かにコロナの影響によって、どうしても新規契約数の獲得を優先しなければならない事で、本来の「ちゃんと造る!」という工務店事業の本マルが更に置き去りになって来ている事も忘れてはなりません。このような環境下である事を改めて認識する中で、製造工程に対してもリモート環境をテーマに、どのような手法で安定した管理をしていくべきなのかに知恵を絞る時が来たのです。

***

 ポイントは、「PDCAのオートメーション化」がキーワードとなります。言い換えれば、前回にも取り上げたプログラムマネジメント手法を用いたオートメーション化という感覚となります。

 最優先事項である「P :計画」に対しては、兎にも角にも自らの施工品質基準を明確にしておく事であり、このステップが無いと品質管理そのものがスタートできません。

 また、「D :実践」に関しては、自社で決めた品質計画の何を測定するかという項目化と、レベル設定を確実に行える「モノサシづくり」が大切になります。

 次に、「C :評価」は、自社で決めたモノサシを使って、適合状況を客観的に評価出来る仕組みを運用する事にあります。ほとんどのビルダーがつまずくポイントはこの評価のフェーズであり、どうしても人的に依存したチェック作業と化し、写真を使ったエビデンスづくりの業務にすり替わってしまうのが現状と言えるでしょう。

 最後に、「A :改善」となります。この改善については、「対処」で終わるケースがほとんどです。やはり対処で終わる原因には、適切な評価ができない事から正しい現状分析に導けないという流れとなる訳です。正しい現状分析に至らない事で、改善すべき優先順位や要因が発見できずに改善計画が全く見えなくなり、結果、品質が保たれないという実情なのです。

 まず、この4つのフェーズは、リモート環境の有無に関わらず仕組み化すべき大前提の取り組みとして正しく認識しておいてください。

***

 そして、本質的な課題が最後に残ってしまいます・・・
 それは、上記のプロセスを仮にスキーム化したとしても、一番の大きな課題となるのは、「職人浸透」という、家を建てる当事者である末端職人まで伝えるという作業がとても重くのしかかってくるのです。

 これは従来の安全大会や協力業者会、そして着工前会議など、職長を中心としたアナログなコミュニケーションを幾度と積み上げてきました。
 しかしいくら継続していたとしても、細部の職人スタッフまでは浸透することはなく、本質的な施工品質改善には辿りつけなかった経験を実感されているのではないでしょうか?

 実はその「伝える」という一番困難な部分こそ、徹底的にITを使ってリモートで適切かつリアルタイムに情報を事前共有出来る発想を送り込めば、一気に解決出来る糸口が掴めるのではないでしょうか?

工務店は今、施工管理という 概念を整理する時(後編)

プログラムマネジメントに大切なことは、どのような管理結果を達成したいか?という、目標設定が重要となります。

まず様々なコンテンツに基準設定を設けて、マニュアル整備を進めるさながら、達成したい評価項目に分解し、客観的評価を実施し、評価結果を分析した中で、達成度合いや優先順位を明確にし、同じことが起こらない改善計画に戻していく。

つまり、PDCAのデミングサイクルを企業の生産管理スキームに根付かせる点が重要なポイントとなります。

特に8つの役割のデミングサイクルを回すとなると、並大抵の事ではありません。

そこでまず切り分けないといけない事は、現場で行う仕事と、現場で行わない仕事を仕分けすることから始めて行きましょう。

***

まず、施工管理をする上で絶対に現場でしか出来ない仕事は何でしょうか?そう!「品質管理」「安全管理」「環境保全」の3つとなります。

この3つだけはどうしても現場で実施すべき仕事となりますので、この3つに関する達成すべき基準やレベル設定を確実に行い、その基準やレベルに対する評価をしっかり行う事に特化することで、現場管理担当者を専任制からチーム制に転換しながら少人数で行うことができます。

その他の5つの仕事は現場ですべき仕事でしょうか?全く違います!

工程管理」「原価管理」「情報管理」「受発注管理」「納材管理」は、着工前に全て明確に計画されていなければならない仕事であり、現場ですべき仕事ではありません。

<ここで気付かれた方も多いと思いますが、良く考えてみれば、この5つの仕事も現在の現場監督に全て背負わせて、何となく現場担当に割り振りしてしまっていることが、そもそも生産管理を正常に進めて行こうとする上では、非常識かつ異常な世界観である事を認識しなければなりません。

つまり、この5つの仕事は特に施工管理経験者やベテランのスタッフが、設計図書承認から工程計画承認、または原価や数量などのチェックを出来るだけ高い精度で着工前にやり切る仕組みを作る事で、実は施工計画が安定し、製造現場がスムーズに進めていけるという事なのです。

まさしく「段取り八分!」という訳です。

***

これからの新築住宅の規格化が進む背景に、まずもって管理計画そのものの概念を切り替え、「何を」「どのレベルまで」「どうやって」という一定の仕組みにして行く事が、これからの新築住宅の施工管理のスタンダード化となるでしょう。

我々NEXT STAGE GROUPは、ご愛用頂いている標準施工手引書に加え、今後、「安全管理手引書」及び「環境保全手引書」なども順次リリースしてまいります。

このような基準指針を単体で終わらせず、明確な目標設定に転換しながら計画的な運用フェーズに向けて乗せ込んでいけるバックアップサービスを強化して参りますので、人材育成を兼ね備えながら素晴らしいお取り組みにチャレンジしたいと思っております。

工務店は今、施工管理という 概念を整理する時(前編)

住宅建築業界では、今や施工管理や工事管理という言葉を合言葉の様に簡単に使うことが多いですが、「施工管理」という、そもそもの概念を本質的に理解している企業が非常に少ないのが現状です。

施工管理の本来の役割としては、工程管理や安全管理、品質管理などを建築現場で行う仕事であり、目的としては、工事が大規模になるほど工程は複雑になり技術者の数も増えるために、施工管理によって計画性のある質の高い工事を行う必要性を追求するためです。

そして、施工管理の主な仕事は、発注者との打ち合わせや技術者の指導といった、現場管理や監督業務を行うという仕事という事なのです。

***

如何でしょうか?なんとなく皆様の感覚でのイメージは、そんなにずれていないとは思いますが、やはり皆様の認識では感覚に過ぎない部分を今、お感じになってないでしょうか?

実は本質的な品質向上や生産性向上に繋がらない大きな原因の1つには、この概念をどうしても感覚で持ち過ぎてしまい、論理的なロジックとして持ち合わせない点にあります。

だからこそ、今一度このコラムで再認識して頂き、改めて自社のこれからの具体的改善に結び付けて頂けたら幸いに思うと同時に、この大前提の概念としての役割、目的、仕事内容を再度振り返ってみて、皆さんが今の施工管理という仕事に対する考え方や企業としての向き合い方を今一度、振り返って頂きたいと思っております。

***

まず戸建住宅業界「町場工事」での役割ですが、「工程管理や安全管理、品質管理」などと先程記載致しましたが、正しくは8つの役割が有る事を認識しておきましょう。

実は、上記に記載した3つの役割に加えて「環境保全、原価管理、受発注管理、納材管理、情報管理」の5つをプラスした、8つの役割となるという原則です。

野丁場工事の施工管理概念では、戸建住宅業界と少し実務上違っていて、情報管理を組織管理に置き換えて管理して行くという事も特徴の一つです。

そして目的で整理した「計画性のある質の高い工事」を本当に実現させる答えは、まずこの8つの役割をどれだけ精度高く機能させ、そしてルーティンとして実運用させるかが鍵となり、全ての成果となります。

また現場そのものの管理監督を現場監督が中心に担っていく、つまりマネジメントして行くという流れになります。

***

次に「管理すべき枠」のお話しに入る前に、今の戸建建築の仕様やスペックを振り返ってみましょう。

戸建住宅建築そのものは時代を経て、新築購買層の低年齢化や新建材や設備品の進化に伴って、住宅そのものが規格化してきていると言えいます。

注文住宅といえども、最近では表面的な仕上げ中心の選択肢の幅だけにとどまり、主要構造からの多彩なラインナップでは無い事から、むしろほとんどが規格化してきていると言っても過言では無いでしょう。

この規格住宅という特性を活かそうとした施工管理の場合、「管理すべき枠」は1棟1棟という物件毎にプロジェクトとして管理する従来型の概念を捨てない限り、活かし切れないという訳です。

つまり、物件毎のプロジェクトマネジメント思考では、今の工事管理は全て現場に関わる職人や監督の個人スキルに依存させないと、どうしても進めていけないという点です。

確かに昔の注文住宅は、現場毎のプロジェクトマネジメントとして、経験豊かな現場監督や棟梁中心に腕を奮ったものでしたし、そこに価値があることで、特に大工職人指名という購買ニーズも普通にあった時代でもありました。

規格住宅の施工管理すべき枠の在り方は、年間棟数に関係なく、仕様スペック毎に連続して管理して行くというプログラムマネジメントという思考と手法を仕組みとして用いる事で、品質や生産性という様々な改善が図れるという管理枠に、ひとまず改めて頂きたいのです。

それをまず改めることで、一定のスタンダードな管理スキームの構築を目指していけますので、メリットとしては現場スタッフ依存型管理の脱却や、また現在非常に広がりを見せているクラウド管理ツール等が活かせていく事ができ、少人数制での安定感ある管理が実現出来るのです。

 

また現在においてはクラウド管理ツールの普及も非常に大切な事ではありますが、使いこなせ無いビルダーが非常に多いことも事実です。

特にその原因となるのは、まさしくプログラムマネジメント型での施工管理を運用していない点から、残念ながら個人に依存するチャット機能や写真UP機能止まりの利用でしか無いのが現状でしょう。

このプログラムマネジメントは、極端にいうと工場生産管理型手法に近いと言えます。

考えてみれば同じ仕様スペックのものを様々な立地場所で量産する訳ですから、このような考え方の切り口でも決して間違いでは無いということです。

ただ、家電製品などの工場生産管理と違うことは、製造場所が建築現場である事で、規模や立地、お客様によって間取りが異なるという点になります。

この辺りを頭に入れながら、1つずつ紐解いて行きましょう。【後編へつづく】