『蔓延した経営者の受注先行意識が経営の危機を呼び起こす』(2)

建築に携わる経営者が、どれくらい現場管理への執着心を持っているかをマーケティングしたところ、
案外8割以上の経営者がかなりの意識を持っている。
しかし、我々が全国の現場を通じて見ていると、全体の8割以上の現場施工が杜撰になっている。

このギャップは、何故起きるのだろうか?

やはり、住宅産業における販売と生産の関係性を紐解くことと、
経営者の価値観や資質に関わることの2点が非常に大きな鍵を握るのである。

販売と生産の関係性については、まず大前提として他産業との環境の差として
現場施工であることと、ある一定の工期が必要であることが挙げられる。

仮に、これを悲観的な戦略に発想転換すると、
いかに工場生産化して短い時間で住宅という商品を効率よく売れるか。
といった何となく冷たい発想に偏っていく。

つまり、経営価値観でいくと、人的に左右されず、
手離れ良い「早いキャッシュ回転を生む事業づくり」という考え方に近いであろう。

この考え方は、確かに従来の建築文化に対して悲観的に聞こえるが、
現代の職人事情や現場環境を加味すれば、ある意味建設的な発想とも言えよう。

逆に従来の建築文化を肯定的及び楽観的に捉えると、
現場の職人を信じ、お施主様の変更や要望を受け入れ、
手作業でお客様の夢のマイホームをしっかりと築きあげるという感じで、
本当にお客様のワガママを精一杯寛容するイメージであると言える。

これも前者の逆説で、経営的に非常に貢献高く、熱く前向きのようであるが、
現場は人的裁量に依存され、また生産性と言う面では
無駄なコストを大事なお施主様から引き出しているようにも捉えられる。
また、事業として利益が出せる経営が維持できるか否かといった懸念も考えられる。

以前のコラムにも記したが、日本の建築現場はまだまだ棟梁制文化が根付いた中で、
自社現場の理想と現実とのギャップが今まで以上に広がり続けているからこそ、
ここで立ち止まり改めて自らの製造戦略をSWOT分析してみることをお勧めしたい。

つまり、『自らの現場を知る!』ということを本気で実態に踏み込むということである。
案外、これを置き去りにしている企業がかなり多い。

経営者の価値観が仮に多様に渡っても、共通して向かわなければならない優先順位は、
先ず自社の経営資源【ヒト、モノ、金、情報など】の身の丈で今日からやれることのメニューを立て、
しっかりやり切ること。
また建築会社の製造使命として絶対にやらねばならない品質管理に着手することが製造会社の大前提となる。

その後に、各々の経営者が描く『やっていきたい理想』に向かって進化させていく
改善フローを取り組み続けることが、これからの住宅経営者の分かれ目となる
重要なポイントとなるに違いない。