『購買視点での本質的な未来の建物価値を創造する②』

将来の住宅単体の動産価値をイメージする場合、例えば中古流通が盛んな自動車産業などを
仮に想像してみると分かりやすい。
まず中古自動車を購入する場合、一般市場の情報として、Gooやカーセンサーなどの情報雑誌や
情報ネットが存在する。
これは住宅産業でも同じように、不動産情報サイトと言われる大手情報サイトがあるのも同一であろう。
中古自動車の場合、検索するインデックスは、まずメーカー別、価格別、エリア別というのが基本にあって、
またトップページには特集というインデックスで毎月ピックアップされている。
そこで忘れてはならないのは、必ず「ディーラー車」というカテゴリーで仕分けされているという点に
注目していただきたい。

この「ディーラー車」というカテゴリーが実はキーワードであり、住宅産業には今後、
このディーラー車という性質のコンテンツこそが、本質に近い中古住宅の動産価値を牽引すると
我々はイメージしている。

では、ディーラー車の価値を挙げてみると、まずメーカーがしっかりと新車引き渡し時からの乗車履歴や
メンテナンス履歴を明確化していることの信頼と安心が最大の価値であると言えよう。

住宅産業と自動車産業の大きな違いは、住宅製造時の性能が自動車のように一切明確化されていないことと、
もう一つは住宅産業全体の特定大手メーカーシェア率が低く、非常に分散化し、
大手ハウスメーカーブランドがあまり無い点にある。
あと最大の違いは、製造工程が工場生産と現場生産といった製造環境の違いにあると言える。

以上の共通点や相違点を整理していくと、中古住宅の動産価値向上に取り組む我々は、
まず新築製造時の見える化をし、新築時の建物本来の性能や品質を見極めること。
次に、引渡し後の維持管理をしっかり明確化すること。
最後に中古受託流通時に、「新築時価値-劣化及び維持管理内容=中古住宅流通時価値」となるような
スキームを組み上げることになると言っても過言ではない。
これを組み上げられる企業はほとんど存在せず、デザインや立地条件、また仕様や採算価格情報を
モールのような仕組みで情報化していくことに過ぎないであろう。
これからのNEXT STAGEは品質管理企業として、新築時の性能及び品質価値をしっかり数値化し、
品質ディーラーと言われるブランディングを民間企業として築き上げ、大手情報サイト企業との連携で
正しい中古住宅流通活性化を手掛けていきたい。

『購買視点での本質的な未来の建物価値を創造する①』

日本の人口構造による世帯数の減少が、今や空き家の増加という課題となって
大きな社会問題となってきた。
当然、行政としても具体的な対策を取っていかなくてはならない中、
既存住宅に対するインスペクション(調査)を推進させていく動きは、皆さんもご存知の通りである。
その狙いの原点はあくまでも中古住宅流通の活性化にあり、世界環境への
取り組み配慮という枠組みだけでなく、日本特有の不動産価値と経年劣化に伴う
建物価値の関係性があまりにも矛盾している構造を、如何に埋め合わせながら、
かつ製造時の長期的な優良住宅供給を並行的に政策として推進させていく動きは
確かに重要であると言えよう。

しかし、この様な行政の働きかけで、将来的に日本の建物価値がどの程度市場に
評価されていくかは未知数であるが、本当にこの政策でユーザーが中古住宅を購入する際、
物件をしっかり本質的に見極められ、さらに納得のいく購買に発展していくのであろうか。
我々企業は、非常に疑問視している。

NEXT STAGEは、日頃から全国の様々な新築時の施工品質管理を実施していても、
引き渡し以降の維持管理精度によって10年も経てば劣化状況にも優劣が生じるし、
何より製造時の仕様内容や施工精度によっては、性能及び品質にまで恐ろしく差が
出てしまう現実もある。
現状のインスペクションは、どちらかと言うと表面を舐める程度のチェックにしか過ぎず、
仮に中古住宅に設計図書が存在していたとしても、まずその図書通りに施工されているか否かも
壊さない限り判らないし、さらには施工をした職人の人的裁量に応じて、
建物自体の品質が左右されている現状である。

この様な現実に、どれだけ能力のある有資格者が表面的なインスペクションをしたところで、
きっと中古住宅を購入するユーザーには、本質的な納得のいく建物価値を見極められないまま、
買わざるを得ない環境をまた業界は作り上げてしまうのであろうか。
中古住宅の本当の価値とは、製造時の品質や性能と、長期にわたる維持管理精度がしっかりと
可視化されていることが大前提になければ、何の根拠や信頼にも繋がらないのである。
今考えると、品確法の施行と共に、性能表示の義務化に近い普及を設計のみならず建設時にまで
しっかり根付かせられなかった痛手が将来的に非常に影響していると感じるのである。
現在も製造時では、長期優良住宅という施工前の仕様規定の線引きだけのクリアであり、
結果、工事中の変更も反映されない現状かつ、竣工図すら存在しない中で、
引き続きインスペクションという行為もまだまだ本質が見えないまま、形式的なチェックと何らかの延長的な
保証枠組みだけが何となく体系化してしまうのではかろうか?
グレーな中古住宅流通の付加価値創造が、同じ業界の過ちを繰り返さないよう、
本来のインスペクションという行為が業界へ果たすべき役割として、民間企業が中心となって
本気で考えていかないといけないのである。

『ローコスト住宅の量産に潜む、本当のリスクとは』

先日、週刊誌でローコスト住宅を供給する、とある成長企業の実態が暴露される
記事が業界を揺るがした。
我々にも、住宅品質管理企業という立場から、様々なマスコミが見解を求めてこられたのであるが、
日本の建築現場を日々、品質監査という立場から多くを見てきている我々からは一言、
『氷山の一角なのではないでしょうか』とお答えをした。
決してその事実をかばう訳ではないが、記事内容は、確かに「施工不良」と言わざるをえない
厳しい実態ではあったが、一番の問題は何故このような施工現場になってしまうのか?という
根幹が重要なのである。
企業体質や現場体質などと、漠然と経営的思考を語るのではく、何故このような現場風土が
蔓延するようになったのか?を解決していく必要があるのではないだろうか。
実はこのような現象は数百棟、数千棟といった量産ビルダーだけに引き起こる問題ではなく、
もっと小規模なビルダーでも、日常茶飯事に引き起こっていることも忘れてはならない。
つまり、年間10棟のビルダーが20棟を供給するケース。
また年間100棟のビルダーが200棟を供給するケース。年間1000棟のビルダーが2000棟を供給するケース。
桁は違うが、単純に2倍の現場供給数になれば、2倍以上の施工管理能力や各種職人の確保を含めた
高度な管理体制を充実させない限り、販売と製造のギャップが津波の如く押し寄せてくるのである。
さらに月次の着工仕掛かり具合に応じては、とても人間が管理する環境にも至らないケースも
しばしば見かける。

それだけではない。

職人や現場管理者不足やスキル不足といった現在の業界事情が重ね合わされば、
結果、現場施工は管理の面からも人的裁量に委ねられ、ローコスト供給からの安価な請負環境及び、
手間請けという作業チックな環境などが、いつの間にか拍車がかかり蔓延していく。
いわば非常に恐ろしい負のスパイラル現象なのである。
おそらく今後の対処としては、このような現場を引き起こさない事がこれからの企業にとっても当然重要に
なってくるのであるが、第三者検査機関のような仕組みを一時的に取り入れ、蓋をしていくケースが
過去にも非常に多い。
実はこの表面的な対処が、近い将来にはさらなる大きな企業成長を阻む大きな落とし穴として待ち構えている。
何故ならば、数回の検査対処で施工管理代行には成り得ないし、製造することはそんなに甘いものではない。
だからこそ製造に携わる企業は、根本的な体質改革に踏み切る為の品質管理の仕組みそのものを
根本から見直し、新たな風を取り入れながら現場管理者及び職人の教育も含めたスキームを作らない限り、
根深い経営課題は決して取り除けないであろう。
これが製造企業における本当のリスクなのである。

『パレートの法則に忠実な施工改善が、品質向上を加速させる』

パレートの法則とは皆さんご存知の通り、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが
発見した冪乗則(べきじょうそく)である。経済において、全体の数値の大部分は、
全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論であり、80:20の法則、
ばらつきの法則とも呼ばれている。
我々の施工品質監査業務においても同様、全国の建築現場で引き起っている様々な施工不備も、
2割の箇所で8割の不具合が引き起っていると言っても過言ではない。
あくまでも、地域性や工法、そして設計仕様に応じて、不備傾向も多様化する。

本来事業主が、自らの設計仕様を標準規格化し、その内容に応じて現場施工に挑むのであるが、
何棟引き渡しても人間が管理できる精一杯の品質管理を最大化することが中々出来ない所に、
今や職人不足というような環境や人的裁量に依存した現場事情が沢山関与しているのである。
その要因のほとんどが、職人の施工不備、設計図書の不備、工程管理の不備の三大要素に
起因している。
以前のコラムにも記載したが、やはりこの3つの根幹の要因の中を緻密に傾向を分析し、
自らの現場を具体的な改善に結びつけるアクションをスケジュール化していく必要が
あるのではないだろうか?

手順としては、まず自らの状況を正確に知ることが必要である。
その手段として、我々、住宅品質管理会社を第三者的に利用し、後戻り出来ない工程ごとに
不備内容項目を指摘順に抽出し、引き起っている傾向値をしっかり取り上げることが重要である。
すると、必ず全体の監査をする項目に対し、不備として挙がる項目の8割ほどを抽出すると、
実は全体の項目数の2割にも満たない部分の監査項目のみが課題として見えてくるのである。
次の手順として、どの工程タイミングで傾向把握するのか?というポイントである。
一般的には、基礎、構造、防水、断熱といった漠然とした主要瑕疵タイミングで、ある程度の
把握で済ましてしまう。
いわゆる検査会社的視点に過ぎなくなってしまう。
例えば基礎工程であれば、『基礎底盤コンクリート打設前』という明確なタイミングを
指示しない限り、設備配管が未設置状況でチェックするなどの作業行為でしか無くなってしまうし、
また法令に記載されない様々な箇所においても明確な施工基準が存在しないことで、やはり事前に
自社施工基準を自社で明確に構築しておく必要があることに気付くのである。
このような流れでしっかりと一定の数の現場を把握し、傾向を取らない限り、新たな職人の起用や
仕掛かりの多い時期に差し掛かるなどの環境の変化で、全ての傾向値が崩れてしまうのである。

 このような年次を通じての環境の変化も加味していくことも重要だとすれば、やはり通期的な
自社施工管理スキームとして標準的に根付かせることが、先行ビルダーとなる為の必須の仕組みと言えよう。
あとは、優先的に抽出される箇所を、日々の施工管理の中で具体的な改善を愚直に積み重ねていくことで
一気に抜本的改善が進んでいく。
やはり同じミスを繰り返さないという日々改善の継続を実践することこそが、
本質的な現場での課題解決であり、施工管理の本来の仕事であるに違いない。

『ビルダー事業における粗利率の改善思考』

今、建築業界における経営課題のトップ3には、『粗利率の低下』という
深刻な課題を全国的に抱えている。
ただ、粗利率の改善と利益率の改善とは意味が異なり、本来、事業収益と捉えれば
最終的に如何に利益を上げるかが本来の事業価値となる。

しかしながら一般的にビルダー経営者の多くは、粗利率の低下を経営課題として
捉えてしまいがちであり、粗利額アップということを一番に考えてしまう思考が、
【売上ー原価=粗利】という方程式である。
決して間違いではないが、粗利額をアップするという方策は、やはり売上の拡大と
原価の縮小という2つの戦術についつい陥ってしまうのである。
具体例としては、職人手間のカットや資材の値引き、そして更なる売上の強化に
走りがちになってしまう。
また、もう一つのデメリットは、粗利額を優先的に追い求めてしまうことで、
どうも瞬間風速的な利益勘定思考が根付いてしまう危険性もある。
つまり長期的な利益を見据えない思考である。
この従来型の考え方はこれからのビルダー経営において非常に危険であり、
将来的には職人からも地域のユーザーからも見切られてしまう結果となって
しまうのではないだろうか?

自らの建築事業価値の最大化を目的とするのであれば、
利益額を増やす為の費用や経営面の構成や優先順位を、もう一度見直すことが
今の建築事業には非常に重要である。

やはり、費用面の構成の多くが人件費である。

しかし、職人の手間や製造に掛かるコストは原価であり、その辺の区分けが
混ぜこぜになってしまっている経営者も数多い。
人件費とは役員や社員、パートに掛かる費用であり、
自らのサービスをしっかり提供する上で必要な価値の高い人材でなければならない。
従って、従業員のやるべき仕事の内容や領域が社内でしっかり役割として決まっていない限り、
非常にロスの多い経営となってしまう。
特に建築という製造現場では、社員である現場管理者の具体的な仕事の領域やマネージメントスキル、
オペレーションスキルがどれだけの事業の利益額に影響を及ぼすのかを本質的に
検討していかなければならない。

もし、仕事における具体的な役割や仕事の領域がやはり明確でないのであれば、
人件費という固定費から、現場管理費用という変動費思考にあえて切り替え、
一部、外部へアウトソースする発想も、これからのビルダー経営戦術においては
大切な思考なのではないだろうか?

今や、これだけの技術者不足の建築現場の環境において、決して製造品質を揺るがす
原価カットによる粗利額の増大思考は切り捨て、自社の身の丈と照らし合わせながら、
製造事業の効率的な費用分配をしっかり優先付け、選択と集中でもって役割を明確にしていく時代に
来たのではないだろうか。