NEXT DOOR 弊社グループ代表の小村直克のコラムや導入されておられるビルダー経営者様との取り組み対談などにフォーカス!

『現場管理業務に、今こそ言葉と文字を駆使する工夫を』

投稿日:2017.01.10

『言葉』と『文字』は、本来それぞれ大きな意味を持つのである。
ネット社会にはナンセンスなのかもしれないが、『言葉』というものは、
人が口に出して相手に伝えるというコミュニケーションの原点にあると言えよう。
またその効果とすれば、感情や物事を伝える手段として即効性が期待できる特徴がある。

例えば、現場管理において一例を挙げると、朝の職方との朝礼や近隣の挨拶。
また、安全対策などに対して直接声をかけることで、瞬間的なモチベーションや意思が
相手にしっかり伝わるということで現場風土づくりには非常に有効な手段だと言えよう。

また『文字』というものは、看板や掲示板に書いたり飾ったり、
視覚によって相手にしっかり情報を残すことで、内容の反復と情報の持続性が期待できるのである。
特に上記は販売促進系の手段として業界では多く使われ、例えば建築現場の垂れ幕や養生シート、
そして看板などを設置したりすることを実践されている会社も非常に多い。

なぜならば、この様な文字を利用する行為は情報を持続されたい意図が含まれ、
言葉では常に伝え続けられないことを文字にして表現するという意味が隠されているからである。

現在の現場管理業務においては、実はあまり言葉と文字を適材適所に有効活用されていないことで、
現場の段取りや職人への指示が滞ってしまっている、案外シンプルな課題も沢山あるのではなかろうか?

先日、お施主様が現場に来られた時に、ある職方がお施主様に挨拶ひとつしなかったことからの
大きなトラブルになったと聞いたのだが、この挨拶をしなかった原因に、
職方がお施主様の顔を知らなかったことが要因だったことを知り、私は驚いたのである。
逆に捉えれば、その職方がお施主様の顔をもし知っていたならば、
このようなトラブルが起こらなかったのではなかろうか?という逆説も成り立つ。

あの時、もし建築現場内にお施主様の家族写真でも掲載していれば…。

などと今考えるのであれば、実は明日からでも簡単にチャレンジできる簡単な現場管理戦術ではないだろうか。

実は現場管理において最も重要なことは、常々職方に伝え続けたい物事は文字や写真にして
現場内に情報を残せば良い。
例えば、玄関の框に絶対傷を付けたくないのであれば、框養生に黄色のテープでも貼り、
赤いマジックで『絶対踏まないこと!』と書いて残しておくだけで、日々の職人の動線に注意喚起ができるし、
また現場作業工程の把握を共有する為や、様々な建材納品の受領や置場などの指示をしたいのであれば、
何かホワイトボードを現場内に設置し、常に記載し習慣化しておくことも非常に有効な手段だと言える。

これからの現場風土づくりの中で、確かに職人同士の情報共有が非常に大事ではあるのだが、
あまりにも無機質なシステム化だけが仕組みとして先行していくことはあまり良くないのである。
なぜならば、現場作業のオペレーションの効率は確かに上がるのだが、安全管理や清掃管理などは、
逆にコミュニティの中で言葉として喚起し続けることも非常に重要な取り組みなのである。

特に現場施工は一瞬の気の緩みで大事故に繋がるため、
常にお互い言葉に出して啓発していくチーム環境づくりに意識を置いた方が良いのである。

言葉と文字。

ソフトとハード。

管理とモチベーション。

この関係を適材適所に捉えながら、
バランスの取れた施工品質管理を常に探求し続ける現場風土を築き上げたいものである。

『蔓延した経営者の受注先行意識が経営の危機を呼び起こす』(2)

投稿日:2016.12.08

建築に携わる経営者が、どれくらい現場管理への執着心を持っているかをマーケティングしたところ、
案外8割以上の経営者がかなりの意識を持っている。
しかし、我々が全国の現場を通じて見ていると、全体の8割以上の現場施工が杜撰になっている。

このギャップは、何故起きるのだろうか?

やはり、住宅産業における販売と生産の関係性を紐解くことと、
経営者の価値観や資質に関わることの2点が非常に大きな鍵を握るのである。

販売と生産の関係性については、まず大前提として他産業との環境の差として
現場施工であることと、ある一定の工期が必要であることが挙げられる。

仮に、これを悲観的な戦略に発想転換すると、
いかに工場生産化して短い時間で住宅という商品を効率よく売れるか。
といった何となく冷たい発想に偏っていく。

つまり、経営価値観でいくと、人的に左右されず、
手離れ良い「早いキャッシュ回転を生む事業づくり」という考え方に近いであろう。

この考え方は、確かに従来の建築文化に対して悲観的に聞こえるが、
現代の職人事情や現場環境を加味すれば、ある意味建設的な発想とも言えよう。

逆に従来の建築文化を肯定的及び楽観的に捉えると、
現場の職人を信じ、お施主様の変更や要望を受け入れ、
手作業でお客様の夢のマイホームをしっかりと築きあげるという感じで、
本当にお客様のワガママを精一杯寛容するイメージであると言える。

これも前者の逆説で、経営的に非常に貢献高く、熱く前向きのようであるが、
現場は人的裁量に依存され、また生産性と言う面では
無駄なコストを大事なお施主様から引き出しているようにも捉えられる。
また、事業として利益が出せる経営が維持できるか否かといった懸念も考えられる。

以前のコラムにも記したが、日本の建築現場はまだまだ棟梁制文化が根付いた中で、
自社現場の理想と現実とのギャップが今まで以上に広がり続けているからこそ、
ここで立ち止まり改めて自らの製造戦略をSWOT分析してみることをお勧めしたい。

つまり、『自らの現場を知る!』ということを本気で実態に踏み込むということである。
案外、これを置き去りにしている企業がかなり多い。

経営者の価値観が仮に多様に渡っても、共通して向かわなければならない優先順位は、
先ず自社の経営資源【ヒト、モノ、金、情報など】の身の丈で今日からやれることのメニューを立て、
しっかりやり切ること。
また建築会社の製造使命として絶対にやらねばならない品質管理に着手することが製造会社の大前提となる。

その後に、各々の経営者が描く『やっていきたい理想』に向かって進化させていく
改善フローを取り組み続けることが、これからの住宅経営者の分かれ目となる
重要なポイントとなるに違いない。

『蔓延した経営者の受注先行意識が経営の危機を呼び起こす』(1)

投稿日:2016.11.10

住宅経営者において、『安定受注』という言葉は永遠のテーマであり、
非常に重要である。

また様々な企業においても、日々、家づくりを通じて多くのユーザーに
自らの住宅を認知していただき、ファンになっていただくための
営業展開を切磋琢磨していることは素晴らしいことである。

しかしながら、『受注を取る!』という必要不可欠な考え方が
あまりに先行し過ぎることが、今や住宅経営の真髄を蝕み、
取り返しのつかない経営状況に陥っているビルダーが
最近増加してきている。

特に年間棟数の多いビルダーに傾向値が高い。

なぜならば、受注数と着工数のギャップが広がることで、
想定している売上高にキャッシュが追いついてこない現象が
引き起こるからである。

つまり、現場が動かないという現実である。

現場が動かない理由として、多くの経営者は
職人の引き当てという課題に直面するのだが、
なんとか職人を見つけることで、
また現場が回ると考えていることが、
さらなる落とし穴になっている。

どうしても営業系の経営者が多いことで、
自らが現場をそれなりに把握している自負と、
現実に引き起こっている現状に、
まだまだ誤差があることを気付かないのが
致命傷となっている。

その現実は、職人不足という環境問題以前に、
職人がその企業の現場から離れていっていることを
本当に気付いているか否かにかかっているのである。

では、職人がその企業の現場から、なぜ離れるのか?

簡単なことである。
単純に現場生産性が悪いからである。

つまり段取りが悪いということである。

その原因には、以前のコラムにも何度も書かせていただいたが、
現場管理者の雇用教育や品質管理といった部分に
経営者が投資する価値観を持たず、
コストという経費的概念を拭い去ることができないなか、
結果、後回しにしているツケが回ってきているのである。

このことを本気で原点回帰し、
一日でも早く経営者が決心覚悟をしない限り、
根本的な解決が絶対できないのである。

やはり、全てのどんな産業においても同じことで、
製造する企業が品質管理を怠って末長く成長している企業は、
一社もないことは製造会社の原理原則ではなかろうか。

『置き去りにしてきた建築会社の使命に、今こそ原点回帰する』(4)

投稿日:2016.10.07

数万社ある日本の建築会社で、年間20棟以上の建物供給をしている会社は、
今年すでに2000社を切っている。
ハウスメーカーまでを含めると日本の新築着工を支えている企業数の割合は、
ほとんどがその層の企業で成り立っていることが現状である。
だがその2000社弱の企業層全体を100として住宅品質管理状況を分析すると、
下記のような現実があることを深く認識していただきたい。

我々NEXT STAGEは、住宅品質の安定と向上を具現化するために、
全国の建築現場を通じて、多くの建築会社の住宅品質を監査しているのであるが、

まず大前提として、各々の建築会社の施工基準及び品質基準を明確に決められていない会社は
全体の約86%もあり、この段階で各々の会社が目指す具体的な品質基準が存在していない企業が
ほとんどであることがわかる。
また、我々が住宅品質の基準指針作りとしてご支援している『標準施工手引書』を構築している企業、
もしくは具体的なディティール集などを自社で構築している企業はなんと全体の14%に過ぎない。

さらに驚くことは、自社の施工基準を持っている14%の企業の中で、
しっかりと常の現場をその自社で確立した品質基準をしっかり守り、
適合させる取り組みをしている会社はたったの2%くらいしかいないのである。
仮に2000社の2%と試算すれば、日本の建築会社で約40社くらいしか
本質的な品質管理実践をしていないことになる。
本当に驚くべき業界環境である。

我々NEXT STAGEは住宅品質の安定のステージを1段階目に設定し、
まずは自らが決めた品質基準を必ず守るという取り組みからしっかり第三者監査という手法でフォローし、
監査を通じて現場教育も一環させていくものである。
しかしながら多くの会社は、この時点で現場監督の人材不足やスキル不足といった就業環境から、
この段階さえ乗り越えられない会社も事実多いことも否めない。
ここで乗り越えていく会社を、我々は『先行ビルダー』と称している。
『先行ビルダー』の定義は、絶対に基準を守る!という習慣から、
不備が発生した現場での課題を次の現場から二度と起こさない為の工夫を常に社内で取り組み、
PDCAをしっかりと回そうと日々改善に努める会社である。
このようなレベルの会社は、正しい現場風土が当たり前のように根付いているのであるが、
悲しいかなこの割合は、全体の約0.5%くらいの会社数しかない。
先程の40社を引用すれば、日本に10社くらいしか存在していない計算となる。

以前にも住宅の製造責任について触れたのだが、異業種をみてもやはり品質のトップを歩む企業は、
その分野での決定的なポジションを築いている。まさしく製造分野の方程式なのである。
その方程式を、なし崩しに成長させてきた建築分野に与えられたブランドは、
今や『クレーム産業』というネガティブブランドでしかない。
これからの地域で成長する住宅産業は、このネガティブブランド脱却できるだけの実践を
覚悟していく地域産業であり続けたい。

『置き去りにしてきた建築会社の使命に、今こそ原点回帰する』(3)

投稿日:2016.09.08

住宅産業には、FCやVCなどのチェーン事業が常に新たな形で生み出され広がりをみせる。デザインや仕様、機能、性能そして工法など、販売強化や他社との差別化につながる仕組みやアウトソーシングコンテンツが含まれることも最近ではニーズポイントになっている。
こういったチェーン加盟増加傾向の要因も、地域工務店単体ではなかなか時間的、スキル的に商品企画が出来ない現状を、出来るだけ早いスピードで手に入れられることが最大のメリットになるからである。今の時代、おそらく何らかのチェーン加盟経験をお持ちの工務店が多いのではないだろうか?
この加盟思考を解りやすく表現すると、案外、人間の薬に置き換えると非常に解りやすいのである。

例えば人間の身体異常に対し、特効薬と漢方薬の2つの処方選択の違いに非常に似ている。
特に現在の住宅産業では、やはり特効薬的な加盟理由が非常に多く、受注強化や性能担保など、他社との付加価値戦略を早いスピード感で確立し、時代に乗り遅れない最大の経営課題の克服に繋げようとするする動きである。
しかしながら、特効薬は効目も早いが副作用も大きいことを忘れてはならない。
逆に漢方薬であれば、比較的身体に優しく外も少ないが効目に時間がかかり、早い課題解決には繋がらないことで、なかなか漢方薬的な戦術には躊躇するビルダーが多いのも事実である。

前回のコラムに掲載した内容でもあったように、例えば現場監督を含む生産系スタッフの人材不足とスキル不足について、社内教育スキームの皆無の課題に触れたのだが、まさしくこのような業界事態を引き起こした原因には、常に販促面の特効薬的戦術ばかりが先行し続けてきたツケが、今の現場環境を作り出したことを忘れてはならない。

住宅事業をソフト面とハード面に分離すると、生産系はやはりハード面を担う部隊であり、営業系はソフト面を担う部隊である。
実は生産系は漢方薬的な戦術、そして販売系は特効薬的な戦術をバランス良く使い分ける必要性があることが住宅経営には絶対に必要なのではなかろうか?

トヨタ自動車の企業文化などはまさしくお手本であり、日々改善、日々改善の繰り返しに作り上げられた現場力である。
製造戦略の第一の軸には、『製造現場に品質高い健全な管理風土を根付かせる戦略』であり、となれば、やはり日々改善を繰り返し継続できる現場管理の仕組みをひとまず定着させる必要が今、経営判断として腹をくくる時期に来たのではないだろうか。つまり人間の成長と同じ、『身体と心の成長のバランス』と全く同じと言っても過言ではない。
仮に売上成長ばかりが先行したとしても、製造責任を全うとする現場の志や、請負を履行する為の品質管理風土は、決して磨かれ成長していくものではなく、むしろ内面【現場】から経営を崩壊していくリスクだけを膨らましていくことになるであろう。

『置き去りにしてきた建築会社の使命に、今こそ原点回帰する』(2)

投稿日:2016.08.08

全国のビルダーの経営者さまとお会いする度に、必ず質問されるフレーズがある。
その共通フレーズは『社長!良い現場監督さんは居ませんでしょうか?』という内容である。
以前にも現場管理者不足やスキル不足の業界課題を取り上げたが、先ず考えていただきたいことは、何故、現場監督が今日、足らなくなってきたのか?という背景である。

一般住宅の現場管理者という仕事は、必ずしも有資格者でなければならない訳でもなく、この業界では一般的に『経験者求む!』という既存マーケットから探索して雇用し続けてきた蔓延化した雇用体系が存在することに原因がある。

ここで原点に戻って考えてみると、結果、経験者を求めたことで、雇用した現場監督の経験に頼って現場を任せたという事実は否めない。決して一人一人のスキルの高さといった議論ではなく、人による思考の違いやスキルによるムラが非常に埋め切れないまでも、ここまで現場依存型管理を放任してきたことに大きな問題が潜んでいる。
多かれ少なかれ、当然過去にも様々な現場でのトラブルや不具合を経験されてきているにもかかわらず、実際には現場管理者教育そのものを社内的な教育スキームとして定着させていないのである。
そのような社内環境であれば、社員も育たず現場に放り込まれては退職し、また足らない人材に埋め合わす過酷な休日出勤や労働時間となれば、やはり長く就業していくことは厳しいであろう。

しかし、やっとここにきて、新卒者を含めた若者を雇用し、自社で育てていこうといった事例も最近良く見かけるようになり、我々もその流れをできるだけご支援できるプログラムを開発したり、実践的スキームを構築している。

これからのビルダーの経営計画には、販売戦略メインでない生産部門の教育という製造戦略が必須となるに違いない。また、その教育そのものの中身が重要となり、安易に座学セミナーや講演会、またCS的な外部コンサルティングに依存をするといった、一過性のものであってはいけない。やはり継続的かつ実践的な教育をしっかりと考え、選択していくことがこれから重要である。

本質的な現場管理者とは、どういう使命と役割、そして思考を持たなくてはならないのであろうか?

それは、ユーザーとの請負契約に基づく製造責任の履行が使命であり、施工管理の上では『節目に必ず振り返る!』というマネージメント的な役割が必須なのである。
まさしく現場経営者と言っても過言ではない。
だからこそ、その振り返る節目のポイントすら理解できなければ本質を逃してしまい、住宅そのものの品質管理は絶対にクリアされていかないのである。

ではその節目とは、どういうものであるのか?

そのポイントは、単純に建築工程上、絶対潰さないと後戻りできない重要なタイミングということなのである。
そのタイミングを間違った段階で既に中身は隠蔽され、自らが振り返ることなく、その工程を作業した職人個人に品質を人的に依存したまでである。

果たして、その行為そのものを良しとするか否かを議論するまでもないが、日本の住宅産業の現実は、そういった業界環境にもかかわらず、未だ着々と家が建ち続けている現実を、今、本気で製造責任の原点回帰をしていく時にきたのではなかろうか?

『置き去りにしてきた建築会社の使命に、今こそ原点回帰する』(1)

投稿日:2016.07.11

どんな事業であっても『責任』という社会的に果たし得る使命がある。

日本社会では、最近『責任を取れ!』と言われれば、辞職する…降格する…減給する…場合によれば頭を丸める…などと、マスメディアでも良く見かける光景である。しかしながら、全ての行為はどこまで行っても自己都合な行為ではなかろうか?
『責任』という言葉をウィキペディアで調べてみても『対処する』と書いてある。そう考えれば、前者のような行為では決して責任を取ったことにはならない。やはり責任とは対処するという質的行為である。

では、建築会社の社会的責任とは何であろうか?

答えは間違いなく『製造責任』であるに違いない。大手、中小に関わらず、お客様と約束した家づくりをする行為こそ製造責任そのものなのである。

では、製造責任は何に紐付くかを考えてみよう!

間違いなくお客様と交わす請負契約書を履行するということであろう。
請負契約書には、請負金額や支払い条件、また建築工期、そして様々な約款事項、そして設計図書が添付される。つまり、請負契約書に綴じ合わせた内容全てを履行する責任ということになる。
特に設計図書を添付している限り、お客様と約束した仕様、性能、品質を果たし得ることが絶対的な建築会社の使命となる。

だからこそ、今、建築経営の原点に回帰し、真剣に住宅品質を見直すラストチャンスではなかろうか?

これから2020年に向かっての環境保護や家の長寿命化、性能担保、動産価値向上への維持管理。さらには資材や手間の上昇。つまり工事原価の上昇も想定しておくとなると、もっと今迄以上に請負履行のハードルが上がっていくに違いない。
品質や生産性を、今先送りにすればきっともうその時は施工現場における蔓延した課題を解決できないギャップに陥り、販売よりも現場そのものから、事業を破綻せざるを得ない時が直ぐそこに来ているのである。

『受注の裏側には、職人離れの危機が潜む』(3)

投稿日:2016.06.10

今月は職人の中でも、特に今の大工職についての現状をお話したい。

一軒の新築工事には、おおよそ30前後の各種業者が現場に関与していくのであるが、仕事が以前に比べて分業化が進んでいるとはいえ、やはり大工職人の仕事範囲がまだまだ多い

全体の仕事量だけの問題ではなく、大工仕事が出来るようになるまでには、他の業種に比べても経験が必要とされ、即席でやれる仕事でもない

現在では、全国の大工職人の平均給与もまだ400万円くらいにしか過ぎず、特に15歳~19歳までの10代の大工職人の総数も、全国で2000人を満たない就業状況である。
ここで着目していただきたいのが、各種業者の手間代に比べ、大工職だけが非常に不利な状況であることを忘れてはいけない。

なぜならば、現在の建築会社が求めるシビアな工期を全うするには、たくさんの道具が必要になる。スピード・精度共に、それなりに求められるなかで、10分・1時間を出来るだけ効率良く、手戻りなくやる為の知恵と工夫を自らが築いていく

仕様設計に対し、専用の工具でないと仕事が出来ないのも事実であり、例えば土台をN90の釘で留め付けるとすれば、よく使う65や75では道具が対応出来ないので、当然N90専用のインパクトが必要になる。ちなみに1台10万円以上す品でもあることは覚えておいて欲しい。また、軒天がサイディングボードであれば、当然外装専用のインパクトが必要であるし、断熱材の留め付けも同様であり、専用の道具で対応する。

だから若い大工職人には、道具を購入するお金すらなかなか現在の手間代の中で買うことが難しい現実であり、仮に全てを揃えるとすれば、150万円くらいかかるのではなかろうか。また、毎日使っていれば故障もするであろうし、また替えの道具までも対応するとなれば、最低でも毎月道具代だけで定額で最低5万円くらいはかかるであろう

特に10代の大工職は、年収300万円を満たないなかで道具代を単純に差し引きしても、若者は大工職を目指すのだろうか

住宅を供給する企業として販促第一主義も良いが、是非これから大工職人を含む多くの技術者たちに、新たなるモノづくりの醍醐味と明るい希望に旗をあげていただきたい

『受注の裏側には、職人離れの危機が潜む』(2)

投稿日:2016.05.10

前回は、現場からの職人離れの加速について少し触れたのだが、新築が年々減少していくと言えども、まだまだ事業者の受注に対応していける職人の引き当てバランスは安定していかないのである。

よく様々な専門紙にも、1棟あたりの職人の引き当てに関する統計なども出されたり、また現場監督一人あたりの適正な現場管理棟数などの目安も目にする。

しかし実際の現場では、建築会社がどの職人にどれくらいの仕事量をどこまで管理させるのかという、具体的な仕事の役割と責任が明確に分解されていないし、また現場監督に契約から着工までの社内業務にどれだけ関与させているかで、適正な管理棟数配分は求められないのである。

先ず現場を進める上で今、大切なことは全ての事前計画にある。

工期中のムダやムラには、直接的に現場監督の管理スキル等も確かに挙げられるが、実は会社が指示している工期そのものの適正化や、着工するまでの設計業務やコーディネート業務、営業活動の段取りに大半、紐付いていることを忘れてはならない。

つまり、契約したお施主様との契約内容をしっかり履行する為のプロセス管理として、いわば契約から着工までの会社の業務工程管理が根本的に杜撰であることが、結果、工事着工後の現場管理へのしわ寄せになっており、現場段取りの悪さに繋がっている。

会社トップが早くここにしっかりと関与し推進していかない限り、職人達はこれからもどんどんその会社から離れていくに違いない。

『受注の裏側には、職人離れの危機が潜む』(1)

投稿日:2016.04.15

2015年の秋くらいから、全国的に目に付く現象がある。

それは職人離れの動きであり、今迄は元請けの受注の強さに比例して業者が紐付くという神話が、とうとう崩壊していく流れを感じるのである。

現実、過去に県下ナンバーワン着工のビルダーだった会社が、今や、工務、設計業務を排除し、販売のみに特化するといった経営の切り替えを行っているビルダーも出てきていることも現実である。

なぜなのであろうか?

答えは単純で、工期単価段取りの3本柱が職人として採算が伴わず、仕事として限界に来ている状況であることと、新築が減少したと言えども大工職を含む職人自体の減少の加速が止まらないことが拍車をかけている。

しかしながら、業界の現場環境がここまで危機的状況に堕ちいっても、まだまだ仕様や工法の差別化を含め、消費税アップなどの機会を見据えての販売促進戦略が懲りないまでも新たに市場に注入されてくるのだが、ここで一度立ち止まり、自らの家づくりの原点を整理することが必要な時期なのである。

ものづくりの基本は、現場でしか利益は生まないということ。これからの厳しい業界環境を正しく切り抜けるには、現場絶対主義を貫き通し、品質の向上と生産性 の向上を死守しない限り、建築会社としての未来の本質的な利益は生み出されないし、これから職人は誰も着いて来ないという時代が来るのだと言えよう。

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