NEXT DOOR 弊社グループ代表の小村直克のコラムや導入されておられるビルダー経営者様との取り組み対談などにフォーカス!

『我々が考える建物価値向上へのプロセスとは』

投稿日:2017.12.08

35年という長い住宅ローンに対して、
住宅における建物の資産価値が非常に短く釣り合わないことが、
住宅産業界の課題でもあります。
更にすまい手の建物に対する価値観も日本独特であり、海外の意識と比べ、
まだまだスクラップ&ビルドの慣習が根付いている国だと言えるでしょう。
国政や行政が建物価値向上を図る政策として、
長期優良住宅認定やインスペクションといった
取り組みはあるのですが、体系的な政策として業界へ浸透できておらず、
部分的で手前味噌的な捉え方になりつつあることが、
本質に踏み込むにはほど遠い状況にしているのではないでしょうか。

我々の考える建物価値向上へのプロセスとは、
3段階のPDCAを回さない限り建物価値には到達できません。
更にその手順を間違えると、部分的な単体の対処で終わってしまう恐れがあります。
例えば維持管理をケースにあげると、点検やメンテナンスいったものがそうです。

まず第1段階は、やはり新築時の施工品質管理の徹底です。
施工精度を測る指針さえ存在しない現状では、
製造するプロセスにおける主要ポイントでの評価が出来ません。
この主要ポイントでの評価を行わない限り、
現場で起きる不具合の要因分析も出来ず、
次の現場で改善すべき具体的な課題を抽出する機会さえ損失してしまいます。
まずは施工におけるPDCAサイクルが回せる環境を構築すべきで、
これをやらない限り、建物自体の施工精度を製造工程で確認出来ず、
建物価値のベースにもなりません。

次の第2段階は、住宅性能向上へのプロセスです。
自らが目標値として定めた住宅性能がしっかり発揮出来ているか否かを
チェック・計測することが重要です。
この段階では、施工品質の良さが大前提となり、
やっと設計や企画の品質に対する品質管理に踏み込めるのです。
ちなみに設計品質改善については設計仕様の評価・改善だけでなく、
契約から着工までの社内業務フローも含めて評価・改善して行かなくてはなりません。
設計品質改善の具体的な課題抽出も、施工品質改善プロセスと同じであり、
やはり現場で引き起こっている現象や事象を謙虚に見つめない限り進みません。
イメージとしては「住宅性能=施工品質+設計品質+製品品質」のような公式が
成り立つのではないでしょうか。

最後の第3段階は、完成後の維持管理品質となります。
ここでのポイントは、やみくもで無計画な点検とメンテナンスを実施しないということです。
まず、新築時の設計仕様に基づく点検内容の是非を精査し、部位毎にいつ・どのように点検し、
その点検結果をどのように蓄積し活用するのかという維持管理基準を策定し、
課題抽出や経過観察、または手直し検討といった対処を実施する必要があります。
更に、この見える化は当然のこと、引渡し後の経過によって引き起こる現象をしっかり検証し、
何故引き起こったのかという要因分析と改善策を、新築の設計仕様に反映させていくという、
大きなPDCAが必要になってくるのです。
これが企画品質向上に繋がる大切な製造会社(住宅会社)の仕事です。
いずれにせよ、現場での気づきや改善策が製造会社である住宅会社のビッグデータとなり、
貴重な資産となる訳ですから、長期的な取組としてイメージしない限り、
住宅の将来的な資産価値向上への可能性を失ってしまうのだと考えます。

以上、製造サイドとして努力していくべき建物価値向上のプロセスを述べましたが、
購買サイド(ユーザー側)が見る建物価値は非常にシンプルです。
例えば、中古物件を買うユーザーは、この中古物件の新築時の製造工程や
維持管理工程が記録として蓄積され、前オーナーがどんな住まい方でどんなタイミングで
どういったメンテナンスをしてきたかの公正なプロセスの履歴が見えさえすれば、
その住宅の建物価値を客観的に判断し、いくらぐらいかという値ごろ感さえ一致すれば購入に至るという、
シンプルでてリアルな取引が成立すると言えるのです。

行政による中古住宅の流通活性化に準じて事業を進めていくことも大切ですが、
民間企業らしい本質的な建物価値向上への努力が一番重要なのではないでしょうか?

『「生産性向上と効率化」住宅業界での大きな勘違い!』

投稿日:2017.11.10

生産性向上というテーマは、住宅業界においても大きな経営課題となってきました。
そこで、あえて本来の『生産性』の意味を見てみると
「生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、
あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度を最大化すること」となっており、
また『効率性』とは「資源の配分について無駄のないこと」となっています。

しかし、我々住宅業界では生産性向上と効率化を同一と解釈してしまう習慣があり、
単純に労働時間の短縮や、仕事が早く終わるようにすることに、
総体的に取組み、改善して行くことを目指すイメージがありますが、
実はその思考こそ大きな落とし穴であることに気づいてほしいのです。

本来、「生産性向上」の根幹は、資源から付加価値を生み出す効率を
最大化させることにあります。
そのためには企業の本来達成すべきミッションが事前に明確になっていることが大切ですが、
その目指すべきものが明確でないと達成すべき価値の定義すら変わってしまう可能性もあります。
間違いなく言えることは、ここで言う付加価値を生み出すとは、
中長期的なミッションに寄与する価値のことであって、
短期的な売上高や利益額に寄与することではないということであり、
このことを忘れてはならないのです。

会社が求める成果には、短期的な売上高や利益額と、
中長期的な企業価値の向上がありますが、
特に後者の中長期的な成果を最大化させることとは、
掲げた事業ミッションを達成すべく、企画やマネージメントの基盤づくりを
効率よく進めていけるかどうかが正であると考えられます。

つまり、建築請負業の生産性向上とは、つくり手である皆様が家づくりを通じて
地域のすまい手にしっかり貢献するという使命を達成する為に、
経営資源である「現場で従事する技能者」などをマネージメントする環境づくりを
効率化することであって、現場の工期をただ短縮したり、原価やコストを単純に削減したり、
職人やパートナーに安易に依存することではないのです。

現場で働く現場監督や職人・パートナーという尊重すべき経営資源を、
上手くマネージメントできる体系づくりを効率良く推進させ、
人材スキルの向上や施工品質の向上など、そこで生まれる付加価値を
社内に根付かせ蓄積していくことこそが本質的な生産性向上と言えるでしょう。
それをもっと早く、もっと安く、もっと精度高く達成していく手段として、
様々なクラウドや仕組みといったツールが存在し、
その手段の存在が「効率性」を左右するということなのです。
効率性アップ(効率化)のツールという「手段」が、生産性向上に繋がることはありません。
なぜならば、それらのツールが企業価値として根付くことなど絶対にあり得ないからです。

生産性向上に向けた道具として、一定の作業のIT化や、
何らかの作業を効率化するツールが存在すると考えることが正しいと言えましょう。
住宅の付加価値は、モノの価値という存在を越え、豊かな生活や暮らし、
そして幸せな人生という形のない付加価値を達成する崇高なものであるからこそ、
単純な住宅製造における効率化と、企業の生産性向上を
同じ解釈で済ましてしまう考え方や思考は危険だと言えるでしょう。

『品質管理の源は、企画品質と設計品質にある』

投稿日:2017.10.12

住宅産業界で言われる『住宅品質』という概念を、
ほとんどの方々はクレームの無い住宅や、
性能が高い住宅、また施工がしっかりしていることと
何となくイコールに解釈してしまう傾向がある。
実は『住宅品質』には、4つの目指すべき品質が存在することを
ひとまず原点として認識していただきたい。

4つの目指すべき『住宅品質』。
それは「企画の品質・設計の品質・施工の品質・維持の品質」であり、
その総合的な精度を示すものである。
前段に認識されている『住宅品質』のイメージからすると、
施工の品質だけを見て判断しているケースも非常に多いのではないだろうか?
最後の「維持の品質」に関しては、全国的に見ても散々な状況であり、
長期優良住宅認定を受けた住宅でさえ、
引渡してからの力の入れようは非常に希薄である。

今回は、一番最初の「企画の品質」に目を向けていきたい。
なぜならば、我々が建築現場で、品質向上に取り組む上で、
現場スタッフだけで改善できる割合は3割程度に過ぎないからである。
もし、それ以上の改善を求めるならば、着工前の「設計の品質」を改善しない限り
現場が納まらなかったり、不具合が起きたりする。
更に言うならば、その設計が行われる前提として、
会社が作り出す商品企画の段階から、しっかり仕様や納まりを吟味していないと
惰性的に設計業務に流れ、工事管理にしわ寄せが行ったまま、
いつまでも改善されないケースとなることが非常に多いからである。

現在では、住宅仕様の企画化やパッケージ化が進んでいる。
ユーザー目線での趣味嗜好や、価格帯、暮らし方のご提案、快適性やランニングコストなど、
様々な角度から販売戦略を重視した企画バリエーションが年々進化していく半面、
施工性や安全性という現場目線からしっかりと企画されていく視点が、最近非常に乏しく感じる。
この辺りの現場目線をしっかり持って商品企画を行い、
生産性を重視した設計仕様の安定化と明確化に向けての設計品質改善を図らない限り、
現場生産性はいつまでも向上していかないのである。
つまり「企画の品質改善」が、品質向上に繋がる源であることを認識しない限り、
設計瑕疵が減少していかないのである。

瑕疵と言えば、何となく施工瑕疵ばかりを取り上げる傾向にあるが、
実は隠れた設計瑕疵がどれほど多いかを深刻に考えていただきたい。
どれだけ施工基準やディテール(詳細)を決めても、
根幹となる設計仕様がブレれば無用の長物となる。

商品に対する企画や設計の品質改善に必要な実践行動とは、
まず企画者や設計者がしっかりと現場に行くことである。
現場で引き起こっている課題を抽出し、同じミスを引き起こさない対策を
設計段階から見直して、取り組むことこそが重要である。

そこで我々の第三者品質監査の結果報告が、
住宅品質向上にどれほど貴重な情報源となりうるかをご認識いただき、
上手く品質改善に取り入れ、活かしていただきたい。

『当社、Acro Fields 季刊誌発刊制作を通じて感じること』

投稿日:2017.09.08

今回も、皆さまからご期待いただいている当社の季刊誌『Acro Fields』の秋号の発刊に際して、
インタビューや対談のため色々と全国を回っている。
住宅品質向上を本質的にチャレンジされているビルダー経営者様にスポットを当て、
有意義で貴重なお時間をいただけることが、我々の事業推進のエネルギーの源になっていることに
心から感謝したい。

日本には沢山のつくり手が存在する中で多種多様な価値観があり、
やはり中小企業が多いこの業界においては、経営者の根本的な価値観に委ねられていることが
非常に大きく感じる。
多くは、性能や仕様、そして機能を武装さえすれば最高の住宅スペックに変身したかのようになり、
また何らかの仕組みやシステムを導入すれば生産性を手に入れたかのように錯覚する。
販売促進についても、あらゆる成功事例やケーススタディーを試みながら、
他社との意見交換の中で真似をしてみたり、現場の品質管理となれば、
清掃や安全対策が出来ることが、イコール品質向上と勘違いしている企業も非常に多いことも事実である。
確かにどれも必要なことではあるのだが、つくり手として本質的な成果や成功を
おさめている企業に共通する点は以下のことだと改めて体感した。

自らが提供したい家づくりの芯をしっかり持ち、あくまで手段として、
性能や仕様を選択し、しっかり吟味し決断していることにあった。
また生産性向上を具現化する為のシステムや仕組みも同様、システム先行型ではなく、
仕事の風土改革の為に必要な手段であることに同じく軸があり、現場主義の精神が根強くあること。
さらに販売促進に関しては、第一線の営業が自社の家づくりに惚れ、
一番のファンであることに過ぎなかった。
つまり、経営ロジック自身が非常にシンプルであることと、経営者に人望があることが
共通して感じたことであった。

情報交錯の時代、沢山の情報を素早く取り入れる会社ほど、現場が混乱し、
社員との共有が一方通行になっていたり、逆に、自らの家づくりの目的が明確な企業ほど、
必要な情報を無駄なく的確に伝達され、現場を取り巻く環境が非常に豊かである。
さらに言えば、雇用状況や、協力業者の角度から見ても、成長している企業には、
優秀な社員が辞めないこともあげられる。優秀な社員という概念は、
売上を上げたり個人的な突出した能力を示しているのではなく、
素直で元気で謙虚な社員であることと定義づけてみよう。

協力業者も同様である。
やはり、職人の入れ替わりも少なく、日々の仕事に向き合う姿勢も全く違うのである。
仮に指摘があっても、素直に受ける謙虚さは、進化する仕様などにも挫けず
学び入れる力を持ち合わせている風土もある。
我々のような現場サービスを日々実践している企業だからこそ、本当の実態と要因が見えてくる。

戦略や戦術はあくまで手段。

やはり事業目的を果たし得る為の日々の改善を愚直に努める経営者は豊かな人望を抱き、
さらなる成長をしていくのであろう。
そんなつくり手に出会えたお客様は、どれだけ幸せなんだろうと今回はつくづく感じた。

『若い職人から学び得る大切なこと』

投稿日:2017.08.10

常にすまい手とつくり手のある一定の契約行為の中で、
一つひとつ建築物が供給されていくルーティーンがこの住宅業界とするならば、
時代を経て、各々の現場で様々な職人が入れ替わりながら活躍し続ける未来ある環境づくりを
真剣に考えていかねばならない。
「職人」とは、自らが身につけた熟練した技術によって、
手作業で物を作り出すことと定義している。

つまり、職人自身からみれば、特定の技能を身に着けていく学習環境と、
その技能を発揮出来る現場環境の2つがあってこそ、
職人としてのやりがいや存在価値、そして技能向上へと進化していく
必要不可欠なフィールドなのだと私は思う。

しかし、今の業界の現状はどうなんだろうか?
職人不足という社会現象は、社会問題としてとどめておいて良いのだろうか?

いや、私は決して社会問題なのではなく、企業に対する問題なのだと思っている。
企業には、サービスを永続的に推進していかねばならない宿命を持つ法人格である限り、
あらゆる社内外のリソースの永続性を配慮し、
顧客へのより良いサービスを提供し続けていくことが使命である。

永く生き続けるためには利益は必要なのであるが、
モノ作りを事業とする企業が、現場最前線の仕事環境を粗末にすることなど
絶対あってはならないし、どれだけ企業が大きくても、収益性が高くとも、
デザイン性があろうとも、絶対に永続はしない。
それはダーウィンの法則とも言えるが、「進化」しない限り永続は出来ないのである。

若い職人不足は、決して若者が軟弱なのではない。

根性が無い訳でも無い。
我々、モノ作りを牽引する企業のトップが軟弱なのであるからなのだ。
それを、もうそろそろ謙虚に自覚していくことが大切である。

若者がなぜ職人にならないのか…

心から耳を傾けてみたことはありますか?

ならない理由は、極々シンプルである。
それは、教えてもらえる環境が無いことと、
褒めてもらえる環境が無いことの2つである。
実は給料はその次であって、学び得る環境と認めてもらえる環境が欠けた時点で、
「職人」という存在価値を否定されてしまっていることを本当に考えて欲しい。
それは職人という括りだけではなく、「人間」そのものも同じである。
人は幸せになるために一生懸命に頑張っている。

社会に貢献できたり、人の役に立てたり、
喜んでもらえたり、そして周りから感謝され、
自身の存在価値が初めて認めてもらえるということになる。

やはり「成長=進化」である。
住宅そのものの設計や仕様、そして工法も多様化し、
そして性能住宅へどんどん進化していく中で、職人に必要とされる技能も変わっていく。
だからこそ、新たな技能を身につけられる学習環境、つまり現場工程でのOJT的な学び得る環境と、
褒めてもらえる環境、それは職人に対する敬意と成長過程をしっかり見守る器を企業が身につけ、
そして実践していける思考と仕組みを持てるように努力していくことが、
これからの未来ある業界への第一歩となるであろう。
我々NEXT STAGEは、これからも声をあげながら業界に大きく旗を振って行ける企業であり続けたい。

『購買視点での本質的な未来の建物価値を創造する②』

投稿日:2017.07.10

将来の住宅単体の動産価値をイメージする場合、例えば中古流通が盛んな自動車産業などを
仮に想像してみると分かりやすい。
まず中古自動車を購入する場合、一般市場の情報として、Gooやカーセンサーなどの情報雑誌や
情報ネットが存在する。
これは住宅産業でも同じように、不動産情報サイトと言われる大手情報サイトがあるのも同一であろう。
中古自動車の場合、検索するインデックスは、まずメーカー別、価格別、エリア別というのが基本にあって、
またトップページには特集というインデックスで毎月ピックアップされている。
そこで忘れてはならないのは、必ず「ディーラー車」というカテゴリーで仕分けされているという点に
注目していただきたい。

この「ディーラー車」というカテゴリーが実はキーワードであり、住宅産業には今後、
このディーラー車という性質のコンテンツこそが、本質に近い中古住宅の動産価値を牽引すると
我々はイメージしている。

では、ディーラー車の価値を挙げてみると、まずメーカーがしっかりと新車引き渡し時からの乗車履歴や
メンテナンス履歴を明確化していることの信頼と安心が最大の価値であると言えよう。

住宅産業と自動車産業の大きな違いは、住宅製造時の性能が自動車のように一切明確化されていないことと、
もう一つは住宅産業全体の特定大手メーカーシェア率が低く、非常に分散化し、
大手ハウスメーカーブランドがあまり無い点にある。
あと最大の違いは、製造工程が工場生産と現場生産といった製造環境の違いにあると言える。

以上の共通点や相違点を整理していくと、中古住宅の動産価値向上に取り組む我々は、
まず新築製造時の見える化をし、新築時の建物本来の性能や品質を見極めること。
次に、引渡し後の維持管理をしっかり明確化すること。
最後に中古受託流通時に、「新築時価値-劣化及び維持管理内容=中古住宅流通時価値」となるような
スキームを組み上げることになると言っても過言ではない。
これを組み上げられる企業はほとんど存在せず、デザインや立地条件、また仕様や採算価格情報を
モールのような仕組みで情報化していくことに過ぎないであろう。
これからのNEXT STAGEは品質管理企業として、新築時の性能及び品質価値をしっかり数値化し、
品質ディーラーと言われるブランディングを民間企業として築き上げ、大手情報サイト企業との連携で
正しい中古住宅流通活性化を手掛けていきたい。

『購買視点での本質的な未来の建物価値を創造する①』

投稿日:2017.06.09

日本の人口構造による世帯数の減少が、今や空き家の増加という課題となって
大きな社会問題となってきた。
当然、行政としても具体的な対策を取っていかなくてはならない中、
既存住宅に対するインスペクション(調査)を推進させていく動きは、皆さんもご存知の通りである。
その狙いの原点はあくまでも中古住宅流通の活性化にあり、世界環境への
取り組み配慮という枠組みだけでなく、日本特有の不動産価値と経年劣化に伴う
建物価値の関係性があまりにも矛盾している構造を、如何に埋め合わせながら、
かつ製造時の長期的な優良住宅供給を並行的に政策として推進させていく動きは
確かに重要であると言えよう。

しかし、この様な行政の働きかけで、将来的に日本の建物価値がどの程度市場に
評価されていくかは未知数であるが、本当にこの政策でユーザーが中古住宅を購入する際、
物件をしっかり本質的に見極められ、さらに納得のいく購買に発展していくのであろうか。
我々企業は、非常に疑問視している。

NEXT STAGEは、日頃から全国の様々な新築時の施工品質管理を実施していても、
引き渡し以降の維持管理精度によって10年も経てば劣化状況にも優劣が生じるし、
何より製造時の仕様内容や施工精度によっては、性能及び品質にまで恐ろしく差が
出てしまう現実もある。
現状のインスペクションは、どちらかと言うと表面を舐める程度のチェックにしか過ぎず、
仮に中古住宅に設計図書が存在していたとしても、まずその図書通りに施工されているか否かも
壊さない限り判らないし、さらには施工をした職人の人的裁量に応じて、
建物自体の品質が左右されている現状である。

この様な現実に、どれだけ能力のある有資格者が表面的なインスペクションをしたところで、
きっと中古住宅を購入するユーザーには、本質的な納得のいく建物価値を見極められないまま、
買わざるを得ない環境をまた業界は作り上げてしまうのであろうか。
中古住宅の本当の価値とは、製造時の品質や性能と、長期にわたる維持管理精度がしっかりと
可視化されていることが大前提になければ、何の根拠や信頼にも繋がらないのである。
今考えると、品確法の施行と共に、性能表示の義務化に近い普及を設計のみならず建設時にまで
しっかり根付かせられなかった痛手が将来的に非常に影響していると感じるのである。
現在も製造時では、長期優良住宅という施工前の仕様規定の線引きだけのクリアであり、
結果、工事中の変更も反映されない現状かつ、竣工図すら存在しない中で、
引き続きインスペクションという行為もまだまだ本質が見えないまま、形式的なチェックと何らかの延長的な
保証枠組みだけが何となく体系化してしまうのではかろうか?
グレーな中古住宅流通の付加価値創造が、同じ業界の過ちを繰り返さないよう、
本来のインスペクションという行為が業界へ果たすべき役割として、民間企業が中心となって
本気で考えていかないといけないのである。

『ローコスト住宅の量産に潜む、本当のリスクとは』

投稿日:2017.05.10

先日、週刊誌でローコスト住宅を供給する、とある成長企業の実態が暴露される
記事が業界を揺るがした。
我々にも、住宅品質管理企業という立場から、様々なマスコミが見解を求めてこられたのであるが、
日本の建築現場を日々、品質監査という立場から多くを見てきている我々からは一言、
『氷山の一角なのではないでしょうか』とお答えをした。
決してその事実をかばう訳ではないが、記事内容は、確かに「施工不良」と言わざるをえない
厳しい実態ではあったが、一番の問題は何故このような施工現場になってしまうのか?という
根幹が重要なのである。
企業体質や現場体質などと、漠然と経営的思考を語るのではく、何故このような現場風土が
蔓延するようになったのか?を解決していく必要があるのではないだろうか。
実はこのような現象は数百棟、数千棟といった量産ビルダーだけに引き起こる問題ではなく、
もっと小規模なビルダーでも、日常茶飯事に引き起こっていることも忘れてはならない。
つまり、年間10棟のビルダーが20棟を供給するケース。
また年間100棟のビルダーが200棟を供給するケース。年間1000棟のビルダーが2000棟を供給するケース。
桁は違うが、単純に2倍の現場供給数になれば、2倍以上の施工管理能力や各種職人の確保を含めた
高度な管理体制を充実させない限り、販売と製造のギャップが津波の如く押し寄せてくるのである。
さらに月次の着工仕掛かり具合に応じては、とても人間が管理する環境にも至らないケースも
しばしば見かける。

それだけではない。

職人や現場管理者不足やスキル不足といった現在の業界事情が重ね合わされば、
結果、現場施工は管理の面からも人的裁量に委ねられ、ローコスト供給からの安価な請負環境及び、
手間請けという作業チックな環境などが、いつの間にか拍車がかかり蔓延していく。
いわば非常に恐ろしい負のスパイラル現象なのである。
おそらく今後の対処としては、このような現場を引き起こさない事がこれからの企業にとっても当然重要に
なってくるのであるが、第三者検査機関のような仕組みを一時的に取り入れ、蓋をしていくケースが
過去にも非常に多い。
実はこの表面的な対処が、近い将来にはさらなる大きな企業成長を阻む大きな落とし穴として待ち構えている。
何故ならば、数回の検査対処で施工管理代行には成り得ないし、製造することはそんなに甘いものではない。
だからこそ製造に携わる企業は、根本的な体質改革に踏み切る為の品質管理の仕組みそのものを
根本から見直し、新たな風を取り入れながら現場管理者及び職人の教育も含めたスキームを作らない限り、
根深い経営課題は決して取り除けないであろう。
これが製造企業における本当のリスクなのである。

『パレートの法則に忠実な施工改善が、品質向上を加速させる』

投稿日:2017.04.10

パレートの法則とは皆さんご存知の通り、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが
発見した冪乗則(べきじょうそく)である。経済において、全体の数値の大部分は、
全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論であり、80:20の法則、
ばらつきの法則とも呼ばれている。
我々の施工品質監査業務においても同様、全国の建築現場で引き起っている様々な施工不備も、
2割の箇所で8割の不具合が引き起っていると言っても過言ではない。
あくまでも、地域性や工法、そして設計仕様に応じて、不備傾向も多様化する。

本来事業主が、自らの設計仕様を標準規格化し、その内容に応じて現場施工に挑むのであるが、
何棟引き渡しても人間が管理できる精一杯の品質管理を最大化することが中々出来ない所に、
今や職人不足というような環境や人的裁量に依存した現場事情が沢山関与しているのである。
その要因のほとんどが、職人の施工不備、設計図書の不備、工程管理の不備の三大要素に
起因している。
以前のコラムにも記載したが、やはりこの3つの根幹の要因の中を緻密に傾向を分析し、
自らの現場を具体的な改善に結びつけるアクションをスケジュール化していく必要が
あるのではないだろうか?

手順としては、まず自らの状況を正確に知ることが必要である。
その手段として、我々、住宅品質管理会社を第三者的に利用し、後戻り出来ない工程ごとに
不備内容項目を指摘順に抽出し、引き起っている傾向値をしっかり取り上げることが重要である。
すると、必ず全体の監査をする項目に対し、不備として挙がる項目の8割ほどを抽出すると、
実は全体の項目数の2割にも満たない部分の監査項目のみが課題として見えてくるのである。
次の手順として、どの工程タイミングで傾向把握するのか?というポイントである。
一般的には、基礎、構造、防水、断熱といった漠然とした主要瑕疵タイミングで、ある程度の
把握で済ましてしまう。
いわゆる検査会社的視点に過ぎなくなってしまう。
例えば基礎工程であれば、『基礎底盤コンクリート打設前』という明確なタイミングを
指示しない限り、設備配管が未設置状況でチェックするなどの作業行為でしか無くなってしまうし、
また法令に記載されない様々な箇所においても明確な施工基準が存在しないことで、やはり事前に
自社施工基準を自社で明確に構築しておく必要があることに気付くのである。
このような流れでしっかりと一定の数の現場を把握し、傾向を取らない限り、新たな職人の起用や
仕掛かりの多い時期に差し掛かるなどの環境の変化で、全ての傾向値が崩れてしまうのである。

 このような年次を通じての環境の変化も加味していくことも重要だとすれば、やはり通期的な
自社施工管理スキームとして標準的に根付かせることが、先行ビルダーとなる為の必須の仕組みと言えよう。
あとは、優先的に抽出される箇所を、日々の施工管理の中で具体的な改善を愚直に積み重ねていくことで
一気に抜本的改善が進んでいく。
やはり同じミスを繰り返さないという日々改善の継続を実践することこそが、
本質的な現場での課題解決であり、施工管理の本来の仕事であるに違いない。

『ビルダー事業における粗利率の改善思考』

投稿日:2017.03.10

今、建築業界における経営課題のトップ3には、『粗利率の低下』という
深刻な課題を全国的に抱えている。
ただ、粗利率の改善と利益率の改善とは意味が異なり、本来、事業収益と捉えれば
最終的に如何に利益を上げるかが本来の事業価値となる。

しかしながら一般的にビルダー経営者の多くは、粗利率の低下を経営課題として
捉えてしまいがちであり、粗利額アップということを一番に考えてしまう思考が、
【売上ー原価=粗利】という方程式である。
決して間違いではないが、粗利額をアップするという方策は、やはり売上の拡大と
原価の縮小という2つの戦術についつい陥ってしまうのである。
具体例としては、職人手間のカットや資材の値引き、そして更なる売上の強化に
走りがちになってしまう。
また、もう一つのデメリットは、粗利額を優先的に追い求めてしまうことで、
どうも瞬間風速的な利益勘定思考が根付いてしまう危険性もある。
つまり長期的な利益を見据えない思考である。
この従来型の考え方はこれからのビルダー経営において非常に危険であり、
将来的には職人からも地域のユーザーからも見切られてしまう結果となって
しまうのではないだろうか?

自らの建築事業価値の最大化を目的とするのであれば、
利益額を増やす為の費用や経営面の構成や優先順位を、もう一度見直すことが
今の建築事業には非常に重要である。

やはり、費用面の構成の多くが人件費である。

しかし、職人の手間や製造に掛かるコストは原価であり、その辺の区分けが
混ぜこぜになってしまっている経営者も数多い。
人件費とは役員や社員、パートに掛かる費用であり、
自らのサービスをしっかり提供する上で必要な価値の高い人材でなければならない。
従って、従業員のやるべき仕事の内容や領域が社内でしっかり役割として決まっていない限り、
非常にロスの多い経営となってしまう。
特に建築という製造現場では、社員である現場管理者の具体的な仕事の領域やマネージメントスキル、
オペレーションスキルがどれだけの事業の利益額に影響を及ぼすのかを本質的に
検討していかなければならない。

もし、仕事における具体的な役割や仕事の領域がやはり明確でないのであれば、
人件費という固定費から、現場管理費用という変動費思考にあえて切り替え、
一部、外部へアウトソースする発想も、これからのビルダー経営戦術においては
大切な思考なのではないだろうか?

今や、これだけの技術者不足の建築現場の環境において、決して製造品質を揺るがす
原価カットによる粗利額の増大思考は切り捨て、自社の身の丈と照らし合わせながら、
製造事業の効率的な費用分配をしっかり優先付け、選択と集中でもって役割を明確にしていく時代に
来たのではないだろうか。

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