設計者・施工者の認識不足/大臣認定耐力壁

壁量の計算で、告示仕様の倍率ではなく、大臣認定を受けた高倍率な耐力面材を採用している住宅が多く建築されています。大臣認定を受けた耐力面材は、仕様や施工方法がそれぞれ詳細に決められているのですが、そのことをしっかり認識せずに設計・施工をしているケースがあります。

例えば、耐力面材を使用した告示仕様では、1365㎜(4.5尺)の長さで耐力壁を計画することができても、一部の大臣認定を受けた耐力面材の中には、455幅(1.5尺)で使用が認められず910㎜(3尺)でしか計画できない商品もあります。

※継手間柱は45㎜×90㎜以上

使用方法を間違えると、必要な倍率を確保できず、構造的に問題となることがあります。自社で使用されている商品の仕様や施工方法を、見落としがないか、使用方法を間違えていないか、一度見返してみましょう。
木造の構造関係告示改訂で、高倍率の面材が追加になるので、今後は高倍率の面材も使いやすくなるのではないでしょうか。

事前計画の重要性

株式会社NEXT STAGEではビルダー様毎に基準を決めて、その通りに現場が出来ているか出来ていないかを確認する「現場監査」の業務を主に行っています。その中で、監査項目では判断が出来ない部分も数多く存在します。写真は、玄関部分の引戸部分の納まりになります。

玄関引戸を納めるために、引戸廻りの基礎をはつって玄関を納めています。結果、隙間が生じています。おそらく、玄関の仕様や寸法が決まっていないためにこのような状況が起こったと考えられます。この状況を見て、お施主様はどう感じるでしょうか? 「後で埋めるからいいのでは?」と思う方もおられるかもしれませんが、それはあくまでのビルダー側の都合です。このような状況を起こさないためには、事前計画が大切です。仕様をきっちり決めて、その内容を正しく設計図書に反映する。その内容を正しく現場で施工する。 このような当たり前の取組がだんだんとずさんになっている印象を強く受けます。

株式会社NEXT STAGEでは、このような内容からもビルダー様の課題点や問題点を把握して、一つずつから改善が出来るようにビルダー様と共に取り組んでいきます。

耐力壁の表記方法

最近、耐力壁の図面を良く目にし気になる事をEYEの記事に書かせて頂きます。金物図面には、耐力壁の倍率・取付位置の記載はされていますが、「真壁納め」や「大壁納め」と言った言葉の記載はあまり見かけません。

真壁納めや入隅部に納める場合は、受材(30以上×40以上)が必要になります。受材の使用方向を間違えると、写真の様な施工になります。面材の釘は利いていません。柱に金物が取付くと仮定すると、ほとんどの大工さんは金物を優先して受材をカットしたり受材の向きを変更されてます。それは、建築基準法の違反になります。必要な位置に必要な壁が無い事で建物に歪みが生じ、内外装に影響を及ぼす危険性も含まれています。
設計図には、金物位置は記載されていても、柱のどの面に取り付けるかまでは記載されていません。予め予測が付く問題点を事前に押さえておく事で、工程もスムーズに進むのではないでしょうか?

職人さんが、一番嫌うことは、後戻りと手待ちの状況です。購入者は、出来て当たり前の見方をしています。僅かな気づきが職人さんへの厚い信頼を生みます。事前準備を心構えることで、職人さんを守る事に繋がります。品質向上は、見た目だけではありません。僅かな気づきが、職人さんを動かしそして信頼を生み出し、最後に購入者の信用を生むのではないでしょうか。今からでも遅くありませんので、進行中の現場の受材を確認してください。

品質向上へのチェックポイント

近年、内壁の耐力壁両面張り(両面真壁納め)を目にする機会が多いのですが、真壁納めでは必ず面材を止め付ける受け材が必要になります。


受け材は30㎜以上×40㎜以上の材寸が必要になります。105㎜×105㎜の柱では、両面真壁納めで納めた場合は、105㎜-80㎜で残りは数字上25㎜残る扱いになります。写真の金物を柱に直で止め付けるには、金物の巾が30㎜の為、計算上収まらない数字になります。両面真壁納めで行う場合は金物の取付位置又は金物の種類、又は片面真壁、片面大壁と言う施工方法を現場において柔軟に対応することが求められます。大工さんは経験とスキルがそれぞれ違います。しかし、管理者がその理屈を理解すれば簡単に解決出来、少しずつ各ビルダー様の品質向上へ繋がります。

金物の納まりで、真壁納めを→大壁納めに変更した場合、周りの構造体に目が向きます。梁のジョイント・梁成といった所、又、角部の筋交いや直行金物の設置位置まで目が向きます。この様な事を事前チェックする事で、現場の後戻りを防ぎ、職方への信頼関係を築きます。事前準備(段取り)で概ね建物の形が見えてきます。

監査後の職人様の意識

株式会社 NEXT STAGEでは、住宅の施工の過程で絶対に後戻りできない工程を定めて、そのタイミングで監査を行います。現場監査では、現場での現状を確認後各監査項目に沿って監査を行っていきますが、監査後の施工状況までは不明なことが多いです。

写真は、「内部造作、プラスターボード施工完了後監査」に伺った際の状況です。玄関電気器具を取り付ける為に、外壁施工後に該当部分をくりぬいています。その時に、外壁の防水シートも一緒にくりぬいて施工を行っています。 雨水が侵入しないような施工方法を検討しながら、実施していくことが大切です。

このように何気なく行った施工が、後々に大きな問題に発展することも考えられます。「監査を受けて合格すればよい」という意識だけではなく、そのあとの施工までも意識が向くことによって、
施工品質の向上が果たせます。

株式会社NEXT STAGEでは、このような事例を含めて、ビルダー様及び協力業者様へのフィードバックを行い、「気づき」を発見できる場面を設けています。