工務マネージャーのあるべき姿

今月のテーマは、工務部門の管理責任者にスポットを当て、如何に工務という組織を活性化させながら主体業務のマネジメントを行い …


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今月のテーマは、工務部門の管理責任者にスポットを当て、如何に工務という組織を活性化させながら主体業務のマネジメントを行い、技術部門としての正しい成果をあげられるかという内容をお伝えして行きたいと思います。

今回のコラムのテーマをマネージャーにフォーカスした理由としては、最近の工務部門の課題要因の大部分に、マネージャー層の工務としての役割認識の相違やマネジメントそのものの不理解によって、益々チーム全体の運営状の障害やスタッフの疲弊感、そしてやりがいの低下が深刻化してきているからです。

さて、マネージャーの役割の原則からお話ししていきましょう。

マネージャーは、どんな部署においても組織の成果を高めるために、組織内の人材やプロジェクトを管理するポジションを指します。 具体的には部署全体のビジョンを策定したり、部下の動機づけや育成・指導をしたりする役職のことです。 組織内のリソース(ヒト・モノ・カネ・情報等)を円滑に運用することで、組織全体の成長を実現する役割ともいえます。つまり簡単に表現すると、パフォーマンスとメンテナンスを両立しながら、組織としての成果を出すことにあると言えば、皆さんにわかりやすいのかも知れません。

それでは、工務部門のパフォーマンスとは何を指すのでしょうか?これは上文でも述べたように、「プロジェクト」に関するパフォーマンスを指します。

ではプロジェクトとは何を指すのでしょうか?それは端的に「1邸の製造現場」を指します。

このような、1邸の現場が年間に複数動く事で、同時に仕掛かり現場が増加していき、そして複数仕掛かかる環境全体を統制管理して行きながら組織の生産性を向上させたり、引き起きたロス・ミス等をしっかり対処しながら再発防止に努める改善を繰り返す取り組みを指します。この辺りまでは皆さん何となくご理解できるのではないでしょうか。

そして何より一番重要なことは「1邸の成果」についてです。この成果に、皆さまの大きな誤解や間違った認識が多く存在します。沢山の会社からヒヤリングしてみても、管理量【担当棟数】で成果が決まると言う会社も少なくはありません。確かに、沢山の管理棟数を抱える負担も評価軸の1つかも知れませんが、プロジェクトの成果はあくまでも、「実行予算=完工粗利」の精度が本質的な成果である事を再認識してみてください。

製造プロセスをマネジメントするという仕事は、製造計画に対して完工時の利益が計画通りに完了するという業であり、偶然に計画通りに完了したとしても、再現性を確保する為にはQCDSの視点で達成できている状態を担保し、初めて計画的達成を成し得る結果となるのです。

つまり、Q【quality:品質】C【cost:コスト】D【delivery:納期】S【scope:範囲】という視点から達成をしない限り、計画的な達成は見込む事はできません。これくらいのロジカルな管理技能を有しなければならない高い技能こそが現場管理者であり、崇高な地位にある高い仕事だという事を、まずはマネージャーからしっかり認識し、伝えていく事が大切です。

もしマネージャークラスが、現場監督とは現場の段取りという「職人のお世話係」や「現場の御用聞き」という認識でいたならば、これは非常に危機的な考え方であり、この考え方で部下に沢山の棟数を担当させていたとしたら、それは管理者がすべきマネジメントではなく、現場の窓口作業の量産化推進であり、組織疲弊に導く組織崩壊の最たる罪なのです。さらには自らの存在価値や役割を放棄している事にもつながっていきます。

一方、1邸1邸のプロジェクトの成果を組織で上げていく為には、もう一つ、人材への動機付けや育成指導といったメンテナンスをしていかなければなりません。ここで大切な事は、上記で述べた現場監督の仕事の成果の正しい目的や動機付けと、それを発揮するための具体的な育成指導内容に掛かってくるのです。

これまでにも、施工管理における技術者としての主体業務をコラムでご紹介してきましたが、ここで改めてお伝えさせて頂くと、特に着工前に必要な原価管理、受発注管理、工程管理という、【CDS】コストや納期、そして範囲といった製造計画が、どれだけ事前に高いレベルで設定できるようになるかの指導育成が重要となります。ここは難易度が高いので、工務マネージャーがしっかり各々の技能を見極めながら、着工後管理から順番にキャリアアップさせて行く事が重要です。

そして着工後の【Q】品質管理を中心とし、安全管理や環境保全、納材管理を現場への適時訪問を通じて、きっちり自社基準や計画に沿って適合させ、不具合があれば修正しながら愚直に管理できるような指導実践からまずは基礎を固めていきます。併せて、情報管理は今やDXツールなどを上手く利用しながら、関係者への正しい情報共有を図り適切に工事を進めていく事を学ばせ、タスク管理を確実にモニタリングしながら定期的なミーティングで指導を行っていく事が重要です。決して仕事がツール運用を目的とした作業にならないよう、あくまでも主体業務を達成する為の手段である事だけは、肝に銘じてください。

このように工務部門のマネージャーが修正していかなければならない心構えは、まずは工務部門の役割の明確化と、その役割を果たした成果が一体何につながり、つながった結果、どんなベネフィットが得れるのかをスタッフにイメージさせて行く事が大切です。

成し得るワクワク感や主体業務達成に対するわかりやすい成果を取り上げながら、周りと共感させてみてください。そして、QCDSという難しい環境でのせめぎ合いこそが現場管理者の醍醐味であることが技術者としてのやりがいであり、また現場管理者こそが現場経営者であるという責務を誇りに転換できる指導を是非試みていただきたいと思っています。