新築事業の正しい受発注管理の在り方

梅雨入りし、皆さまの施工現場の工程計画も中々思うような段取りで進めにくい時期がやってきました。天候が読みにくい季節では、 …


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梅雨入りし、皆さまの施工現場の工程計画も中々思うような段取りで進めにくい時期がやってきました。天候が読みにくい季節では、予め資材の保管や出来形の養生を意識し、余裕を持った工程で臨んで頂きたいと思います。

さて今月は、着工前業務でも皆さんが案外軽視されている受発注管理の在り方にスポットを当て、生産性の高いワンランク上の考え方について皆さまと一緒に理解を深めていきたいと思います。

受発注管理が最良の引き渡しには欠かせない着工前業務として位置付けられる意味は、そもそも住宅製造は「材と工の原資から成り立つ集大成」だからなのです。仮に施工者が確保できていても、適切なタイミングに資材が到着していなかったり、到着していても数量が足りないなどの段取りミスが引き起これば、これは手待ちという現場負担に加え、補うための配送コストやリードタイムにも影響する内部不良コストと化してしまうのです。

つまり生産性とは単なる業務効率化を示すものではなく、このようなムリ、ムダを発生させない事前業務こそが受発注管理という訳であり、この管理こそ実行予算の要であると言っても過言ではないでしょう。

そも受発注業務とはどういう業務なのでしょうか?

まず「受注」とは、実際にユーザーと請負契約を交わした請負金額内の材工内訳そのものの内容の注文を受けることを意味します。単に「注文を受けること」と一言で表わすのは簡単ですが、実際にユーザーから注文を受ければ、注文内容の確認から始まって、設計、積算、工務という一連の部門業務に紐づいていきます。このプロセスが、実は受発注管理に支障をきたす大きな上流のボトルネックです。

受注管理における住宅の場合の注文内容とは、設計図書を中心に営業もしくは設計が同行し、お客様と間取りや仕様などを確認し合い決定していきます。この内容全てに対する品番や単価、そして数量を材工リストとして転換され、最終的に発注業務に回って行くという仕組みなのです。

ここに問題が起きる要因は3つしかありません。

そもそもお客様の要望が汲み取れていない営業プロセスの課題か、設計に申し送られてはいるものの正しく設計図書に反映されていない設計の課題か、設計図書に反映はされているが積算で拾い出されていない積算の課題か、の3つしかないということです。

このような発注業務に至るまでにつまずく理由には、大きく5つのことが考えられます。我々ネクストステージも多くのクライアントの改善コンサルティングに入り課題抽出を行なわせて頂いていますが、やはり下記のケースのいずれかに当てはまるビルダー様がほとんどです。

① 商談段階から着工前までの業務フローや規程が決まっておらず、人的裁量で業務が回ってしまっている

② 様々な社内ツールが部門最適で氾濫し、一連の社内業務が煩雑になっており情報が伝わらなくなっている

③ CADの利用がシーンによって様々に使われ、実施設計段階までにヒューマンエラーを起こしやすくなっている

④ 積算システムが正しく運用されておらず、実行予算精度が低くなっている

⑤ そもそも設計図書が設計士任せになっており、記載の仕方のバラツキや詳細が不明瞭であったり不整合が多くなってきている

このような部門をまたぐ業務プロセス課題から、受発注管理のための材工リストへの転換に対して精度が上がりにくくなってきており、いくら発注システムを導入して業務効率を図ろうとしても、上流工程の課題をまずは潰していかない限り、中々本質的な改善は難しいと言えるでしょう。

次は、発注管理についてです。発注管理は正しく拾い出した内容を着工前までに全て発注し、納材タイミングを工程表に紐づけながら事前計画し、しっかりタイムリーに納品や検品を行った上でエビデンスをしっかり残す事となります

このフェーズでのボトルネックは、やはり着工前までに全ての材料における発注業務を完了させるという行為です。仕様が決まらないことや図面が上がって来ないなどの理由から、完全着工化を阻む販売優先体制から脱却できずにいるビルダー様も多いように感じます。

もし本当のお客様本位であると考えるならば、住宅製造過程そのもののムダな時間やコストを逆に還元してあげるくらいの提案があってしかるべきで、これからの時代、このような製造過程への効率化に対するプライオリティも有効な手段なのかもしれません。

一方、手間の部分の発注業務先は協力業者となります。この手間における発注業務は、ほとんどが「工程表」と「一式の下請負金額」を工務部門が施工管理アプリ等で連絡指示して完了しているビルダー様がほとんどではないでしょうか?

以前のコラムで手間における発注業務は、『品質』『コスト』『納期』というQCDを伝えないといけないお話しをいたしました。

確かに、工程表と下請負金額については、『cost:コスト』及び『delivery:納期(工期)』と解釈してOKではありますが、『quality:クオリティ』については、全く触れていない事が大きな課題だと言えます。

品質(quality)は、着工後に工務部門が苦労をして品質管理業務を行いますが、やはり発注時点で各協力業者に対し『どのレベルの施工品質基準を保たせるのか?』という到達させる品質レベルまでを発注業務に組み込む事で、協力業者との正しい下請負契約内容が形成でき、責任を持った仕事が互いに実現できるという訳なのです。

今月は受発注管理に関する正しい考え方をお話ししましたが、ご参考になりましたでしょうか?

冒頭に記載した通り、受発注管理業務こそ『実行予算』の最終承認機能として非常に重要な業務である事のご理解を頂きたいと思います。きっと皆様の会社でも年次経営計画を社長様が発表され、それを実現する為の売上や利益の予算計画があるのと同様に、住宅製造にも現場単位に実行予算計画が存在する事と全く同じ考えです。プロの住宅事業者として是非とも精度高い実行予算計画にチャレンジして頂き、次のステップとして、完工時の粗利との差異を如何に狂わさずに着工後管理を行うことができるかという施工管理の醍醐味を噛み締めながら、これからも前向きに取り組んで頂けたら幸いです。