現場のリモート環境構築で更なる理想の施工管理体系をつくる

原価高騰及び技術者の人材課題が山積している今、どこの住宅事業者も施工管理全体の仕組みを見直したいというニーズが増えてきま …


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原価高騰及び技術者の人材課題が山積している今、どこの住宅事業者も施工管理全体の仕組みを見直したいというニーズが増えてきました。製造における品質をトレードオフさせず、採算性の高い施工管理を創り上げたいとイメージしている会社が多いのではないでしょうか。

今月のコラムは、製造過程における現場監督の工数削減に「現場リモートツール」を採用している、また採用を検討している住宅事業者様には必見です。どのような準備をすれば効果的な理想の施工管理が実現できるのかを紐解いていきましょう。

まず大前提に、会社として現場監督という役割に対する根本的な定義を明確にすることが重要です。

現場監督とは「着工から竣工までを一貫して管理する」というような従来の考え方で、漠然とした役割しか定義されていない会社が殆どではないでしょうか。この状態をQCDの視点から見てみると、全てが粗い状態であることから、なかなか効果を発揮しにくいことがイメージできます。
※QCDとは、「quality:品質/cost:コスト/delivery:納期」を示す

現場監督の役割をこのQCDの視点から、施工管理全体を組み立てていくと、効率的かつ効果的な理想に近い仕組みを生み出すことができます。そうなれば、「現地でしかできない管理」と「リモート環境でも出来る管理」が明確に仕分けられます。そしてこの2つの環境(環境コスト)にマッチしたそれぞれの管理タスク(役割)を適切に設定し、併せてどんなタイミング(納期)にどのレベル(品質基準)まで達成させるかを決めれば完成です。

特に管理タスクと品質基準では、従来より皆様がお使いの「独自のチェックシート」という概念を一旦打ち崩してください。なぜならば、おそらく羅列的で重要度で優先順位づけられていない抽象的な文脈のチェック項目に留まってしまっているものが多いので、基準に沿った具体的な項目にすることが必要です。

それでは、上記のフレームワークを具体的に解説していきましょう。

施工管理には大きく着工前管理と着工後管理の2つに分かれます。ここが一番重要なポイントで、着工前管理精度次第で着工後管理の成果に大きく差が出ます。

一番大きな差がでる根源が「設計図書精度」です。なぜならば、設計図書に基づき施工をして行く上での適切な材料や手間を拾い出す「原価管理」に直結するからです。この時点で精度が粗く、粗利益に影響を及ぼしていると、既に実行予算が成り立っていない状態ですので、是非、実施設計を中心とした改善を早期に行なっていきましょう。

着工前管理で次に大切なことは、工程管理です。工程管理に対してほとんどの住宅事業者様は、工程表通りに間に合わせて施工を進めるという認識だと思います。確かに間違いではないのですが、正しくは、作業を分解し、品質をトレードオフさせない一番短い工期、つまり「採算工程計画」を作ることなのです。その採算工程表に基づき、作業をマイルストーンで管理することが重要になります。

この採算工程表に基づくマイルストーン管理が着工後管理の『品質管理』と紐付き、後戻りできないタイミングであり唯一、バラツキを是正できるタイミングであることから、ここだけは現地での管理を中心に行わないといけないポイントとなります。間違ってもリモート環境での品質管理は浅いレベルでしか成し得ないことから、避けることをお勧めします。

もう一点は情報管理です。情報管理ツールは、既に皆様が使っている施工管理アプリ等を指します。実はこのツールが業務効率化を促進させている反面、使い方によっては異常な工数増加に繋がっているケースを良く見受けます。

例えば、社内品質チェックシートのようなタスクを現地に行って作業のように写真撮影したり、また、そのツールの運用統制が効いていない環境で、間違った情報を共有してしまい手戻りを引き起こすなど、様々な弊害が生じています。便利なものこそ、適切な運用を管理しないととんでもない負の作用が働くことを認識しておきましょう。

以上のような着工前管理をまずは確実に仕組み化しておく事で、着工後のリモート環境下での管理体制がひとまず確立すると言って良いでしょう。ここが整わない過程で現場リモート環境を構築された会社は、一部の効率が上がったとしても、全社視点での生産性向上という大きな成果はおそらく出ることはないでしょう。

着工前管理の仕組みが整えば、着工後は品質管理、安全管理、環境保全の3つが主軸となり、後は工事を進める上での管理タスクのみとなります。

ここから、現地管理とリモート環境の仕分けに入る訳ですが、まず決める事は現地管理の内容から確定していきます。

既にお気づきのように、後戻りできないタイミングを品質管理マイルストーンに紐付け、基本現地管理としましょう。さらに、お客様との決められた立ち合いや催事のような内容も必ずプラスしておきましょう。ここまでしっかり紐付けられれば、後は全てリモート環境で、ある程度管理できる筈です。

逆に日々、エビデンスを残すためのアプリでの現場撮影ならばリモート環境でも充分対応できます。ただ、リモート環境でチェックするタスクは、まず「何のために」という目的と、「どのタイミングに」という時期と、「どのレベルまで」という品質レベルが大切になります。
結局一番難易度の高い仕事は、リモートで映し出された映像をいかに適切に判断できるか否かという「人の力」に依存されてしまうことでしょう。ここは人がやるしかない環境下から、判断がバラつかないようにするためのマニュアルや基準がどうしても必要となるのです。

リモート環境でのメリットは、「現場環境状況を適時監視できる」ことと、「工事進捗の出来型に対して、協力業者の出来高に転換できる」ことです。これは協力業者の受発注管理を効率的に管理できるというメリットです。併せて納材管理も同等にリモート環境で扱っていけるでしょう。

このように、上流過程からしっかりと仕組みを組み立てた上で、もし下流で課題が出たとすれば、それはほとんどが着工前管理精度の低さのツケでしかありません。例えば部位の納まり等の現地打ち合わせなどもよくある例で、着工前段階で詳細をしっかり設計図書に落としていないことや、早い段階で設計に質疑を上げて解決していないことの副作用でしかないのです。是非とも根を上げずに、着工前管理から手順よく着工後管理に向けて、今月のコラム内容をご参考にトライアルして頂けたら幸いです。