製造をマネジメントする考え方ひとつで、工務組織の未来が決まる!

新年あけましておめでとうございます。株式会社 NEXT STAGE代表の小村でございます。 本年も引き続き有意義なコラム …


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新年あけましておめでとうございます。株式会社 NEXT STAGE代表の小村でございます。
本年も引き続き有意義なコラムを毎月お届けし、環境変化に伴う皆様の家づくりの正しいプロセス思考の転換の一助になる事を願っております。今年も一年間、お付き合い頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。

さて、今年一番のテーマは『マネジメント』にスポットを当ててみます。
これまで沢山の管理ツールやサービスを散々目にしてきたと思いますが、現在の皆さんの工務組織は大きく成長されましたでしょうか?

もし、今の現実が身の丈止まりであるとするならば、少なくともこれまでのやり方や進め方に、それなりの問題があったのだと謙虚に感じてみてください。その姿勢こそが、今年こそ成長する大切な気付きだと確信しています。

では、イマイチ成長しなかった点は特にどんな部分だったのでしょうか?

なんとなくツールを導入し、仕組みで回っていたような気がしても、現実は人的依存型の課題が水面下で勃発してしまっていたり、またスタッフ全体の雰囲気も良くなってきたように思えたが、個別ではあまりスキルそのものが身についておらず内々で疲弊していたりと、根本解決には至っていない印象ではないでしょうか。

こんな悶々とした見えづらい組織課題の場においては、まず『仕組み化』という言葉を是非今年のテーマにして頂くと、あらゆる課題をひとつひとつ整理する事ができます。そんな仕組み化の裏側には、その仕組みを作る経営層や部門長の思考とマネジメントスキルによって、組織や人材リソースは一変してしまうと言っても過言ではないので、その辺りを意識しながらコラムを参考にしてみて下さい。

『仕組み化』とは簡単に言えば、誰もが人に依存せず、シンプルにサービスや仕事をバラツキなく安定的に供給できる状況を保てる環境を指します。何となく夢のような話しです。

つまり、人的依存型と全く逆の推進状況が確立されたと仮定し、イメージするとわかりやすいのかもしれません。例えば、マクドナルドの凄さは仕組み化であり、結局、全国どこに行っても同じ味、同じサービスを提供できる凄さです。つまり、人によってバラつかない仕組みがまさに圧倒的な強みと言えるでしょう。さらには一貫した教育も含めて仕組み化されていることも忘れてはなりません。

それを具現化する為には、製造プロセス改善を回し続ける仕組みと学ぶ環境を体系化することなのです。

製造プロセス改善は、基本、デミングサイクルであるPDCAから成り立っています。その中で仕組みというものは、4つのいずれかを限定的に指すのではなく、4つ全てのフェーズに効果的な本質ルールを保持させる事です。更に工務店事業は総合請負業であるだけに、営業、設計、製造、維持管理という4つのサービスフェーズ全てに必要となるので、4フェーズ×PDCA=16の本質ルールを設置する計算となる事から、工務店事業は一筋縄ではいかない難易度の高い事業であるという訳なのです。

順序立てて解説すると、住宅を製造する上で、まずは受注を安定的に取る為のマーケティングセールスのPDCAが存在し、次に受注した住宅を正しく設計し製造工程へ橋渡しできるPDCAが存在します。そして請負契約内容及び設計図書通りにしっかり製造し引き渡せるPDCAが存在し、竣工後きっちり点検及びメンテナンスが成せるPDCAが確立されている状況が、工務店事業の完全なる仕組み化という訳です。それに加えて一貫した育成環境を完備しなければなりません。考えるだけで、気が遠くなります。

仕組みの中で、一番簡単に仕組み化できる手法があります。それがアウトソーシングという手法です。これは仕組み化を成立させる上では非常に楽であり、短い時間で形成できるメリットがある反面、デメリットはそこへの自社のサービス価値にならない副作用が働く事を忘れてはなりません。これについては、自社の存在意義からしっかりと経営的に判断した中で、実践して頂きたい部分です。

ただし、アウトソーシングがうまくいかないケースは、特に中途半端に元請側が関与してしまう事で、仕組みにイレギュラーを生み出したり、アウトソーシング先の仕組みに脆弱性を帯びさせるケースがあるので気をつけておきましょう。

工務店事業の価値を皆さんがどこに置きたいのかによって、マネジメント強化する部分が変わってきます。

最近であれば、顧客の安定受注の為のマーケティングにおいて、様々なメディアの活用が不可欠となってきました。特にアーンドメディアやペイドメディアなどにおいては、やはり専門家のアウトソーシングが必要不可欠であり、まさに社内で内省化するとなれば、本業価値とは違った方向に人的リソースが引き裂かれていきます。そういう観点から工務店事業を考えてみると、マーケティングセールス及び維持管理というサービスフェーズこそ、アウトソーシング向きなのかもしれません。

となれば、やはり工務店事業はまず『つくる力』が無ければ存在価値は無い訳ですので、設計、工務を自社の価値として醸成させる事が王道であると言えるでしょう。だからこそ、受注した住宅を正しく設計し製造工程へ橋渡しできるPDCAと、請負契約内容及び設計図書通りにしっかり製造し引き渡せるPDCAの2つの本質ルールを確立し、ここに学びを加えた事業の醍醐味を優先的に集中させる仕組みをいち早く推進していかなくてはならないのです。

もし、そこを優先できないとなると、それはすでに工務店事業ではなく、販売業、もしくは仲介業というサービスに変質してしまっているということなので、そもそものコアバリューだけは絶対に見誤らない事が大切です。技術社員のやり甲斐のほとんどが、この経営スタンスによって浮かばれたり、疲弊したりする事も忘れてはなりません。

ただ残念ながら現在のつくり手をみていると、どうも『つくる力』を優先する仕組みの本質から段々と遠ざかっているように感じるのは私だけでしょうか?

特に施工フェーズでのPDCAについてを取り上げても、中々明確な施工管理の役割や目的、そして施工要領や手順、品質基準、又は安全や環境保全の為の計画書なども明確に定義できていなかったり、またそれを正しく教えてもらえていなかったりと、経営者やマネジメントスタッフの大前提とした課題が非常に浮き彫りになっています。

そのようなP(計画)が皆無のまま、作業ルールとして施工管理アプリや遠隔動画などの媒体利用だけが先行してしまい、スタッフがそれを取り扱うだけの作業に置き換わってしまうことで、自社の存在価値となる製造プロセスそのものを付帯業務化してしまい、現場で働くスタッフのスキルアップやキャリアアップには繋がらない、全く真逆な疲弊する環境下に押し下げでしまっている事に気付かなくてはなりません。

『つくる力』に憧れチャレンジしたい優秀なスタッフは、そのようなつくる醍醐味の無い環境下には身を永く置きません。つくる力に比例した人材レベルでしか組織は形成されないという原理原則があるからです。

2023年こそ、付帯化する作業を脱却させる為にも、経営者や部門長が正しく自社のあるべきつくる姿をイメージされ、それをなし得る為の仕組みづくりに精を出して頂き、その基本思考から工務組織をしっかりとしたマネジメントで一変させて頂きたいと切に願っております。

弊社ネクストステージは、そんな本質への転換を志す企業様を今年もしっかりご支援していきたいと考えておりますので、お気軽にご相談くださいませ。