今年を振り返り、2023年!勝つための工務店づくり

今年も一年間、メルマガをご拝読頂きましてありがとうございました。 2022年も最終月となり、この一年を振り返った中で、住 …


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今年も一年間、メルマガをご拝読頂きましてありがとうございました。

2022年も最終月となり、この一年を振り返った中で、住宅事業としての収穫や課題を各々が整理されるのではないでしょうか。我々ネクストステージもこの一年、全国沢山のビルダー様を、エリア、企業規模、商品、売り方などのマクロ的傾向を見て参りましたが、ある一定の傾向や本質的課題が見えてきました。

今年最後のコラムは、皆さん今年を振り返りながら、一つ一つ整理していきましょう。

課題1「エリア」

まずエリアについての整理ですが、圧倒的に優位に展開できる特定エリアは見受けられませんでした。当然、都心と地方での着工数の開きはあるものの、その市場ボリュームに対して存在する競合事業者数も比例することから、多少の難易度はあるとしても、あまり事業戦略へ直結するエリアの影響はないように思われます。

課題2「企業規模」

企業規模についてですが、今年も一層の寡占化が進みました。この寡占化領域は、分譲ビルダー層の寡占化であります。

分譲ビルダーと一般的に表現していますが、基盤は不動産事業であり、その副産物として新築着工数を占めてきた住宅事業の大型化が目立ちます。その地域活動に対して、地域工務店が非常に苦戦するという構図になっているという訳です。

これまでは、永く『ハウスメーカー×地域工務店』というような対局を言われてきましたが、ここに来てハウスメーカーは、ある一定層をブランディングと独自の工業化工法で確保しており、むしろ分譲事業など、売り方の面での新築着工シェアをプラスオンしていると言えるでしょう。

今や、『大型分譲ビルダー×地域工務店』という対局の方が正解なのかも知れません。今後はM&Aを含め、更に寡占化が進んで行くに違いありません。

課題3「商品」

商品についてですが、やはり目立つ商品戦略には『省エネルギー性』をPRする快適性のスペックです。耐震性や耐久性以上に快適性はユーザーに響きやすいのか、時代の要請に伴って標準化へ変化してきています。この取り組みはむしろ分譲ビルダーよりも地域工務店の方がよりこだわったスペックで供給されており、建物1棟に賭ける想いが確かに強みなのかも知れません。

ただ、マニアックなスペックまでを本当にユーザーが求めているのかという事や、スペックによって暮らしたいスタイルへの弊害なども、併せて議論してみる事も大切なのかも知れません。

課題4「売り方」

最後に売り方についてですが、やはり新築購入を牽引する30歳前後の住宅取得者の環境から考えると、建物購入にたどり着くまでに土地を購入しなければならないプロセスがどうしてもハードルになります。

特に今年顕著なデータ傾向として、分譲住宅の着工数の伸びはこれを改めて裏付けるものでしょう。対して地域工務店の主力の注文住宅の伸びは、かなり厳しい形となりました。

このように4つの視点から整理してきましたが、あくまでもこれはマクロ的傾向の整理に過ぎません。ここからは、このマクロ的傾向を踏まえて、これからの皆様の事業戦略、つまりミクロ的戦略に転換する場合、事業の優位性をどこで醸成させ、何を武器に顧客へどう訴求するのかという本来の勝ち筋を見つけなければならないのです。この勝ち筋の発見こそ、実は誰も踏み込まない、また踏み込めない自社の本質的な事業戦略となるに違いありません。

ここから皆様に、勝ち筋の発見の為のポイントを伝えて参りましょう。

エリア傾向や寡占化傾向は理解されたと思いますが、そのキーワードに『土地』というハードルがありました。つまり、地域工務店はあらゆる地域のリアルタイムな土地情報を、いかに有効にユーザーにマネジメントできるかの仕組みを高いレベルで備える事が最重要課題となります。また地域小規模型のビレッジ型分譲事業などを手掛けてみるのも、住まい手の暮らす環境提案という視点では非常に魅力的で、有効な戦略ポイントになるでしょう。

また、企業規模が大きくなればなるほど統率する難易度が上がってしまうという製造マネジメントを、早く高いレベルで仕組み化してしまうというポイントです。

これができないと、先程マクロ傾向でもあったように、折角の省エネルギー性能訴求も設計段階止まりで、これでは誰でも真似できてしまう名目性能レベルでしかなく、決定的な強みにはなりません。

具体的には、施工時の実質性能までを裏付けるレベルとなれば、これは誰も真似できない自社の本質的な実力になるのではないでしょうか。誰が担当しても、決められた正しい施工基準、施工要領において確実な品質管理を再現化できる会社となれば、全国レベルでもトップ級である事は間違いないでしょう。

最後のポイントとして、やはり事業全体にデータ&アナリティクスを取り入れ、常に数字で課題や可能性を見極め、定量的に判断するという組織体質を作る事です。

すでに販売活動に対するマーケティングでも、Googleアナリティクスを採用されている会社も増えてきました。しかしながら、他業界に比べて我々の建築業界は遅れており、人的裁量と定性的体質からの脱却が、全ての業務の生産性を落とし、また自社の利益体質までを悪化させているのです。今年のビルダーの勝敗ポイントは、データマネジメントをしたか否かが分かれ目であったといっても過言ではないでしょう。

当社が今年ローンチした、QualIZ(クオリツ)もヒンシツアナリティクスクラウドとして一気に広がって来たように、製造プロセスこそ可視化し評価しながら定量的に分析し、改善していく事が圧倒的な他社との競争優位性を実現する事業戦略を担うと考えております。

今年の一文字は『戦』でした。業界を取り巻く環境においても、戦い一色であったように、この戦いを勝ち抜く術はまさしく『本質力』なのです。

2023年は、必ず本質の時代に突入します。つまりこのような時代を勝ち抜く会社の自力をいち早く身につける事が最大の勝ち筋となります。だからこそ、緻密なデータを駆使し、課題解決の為の最短最速の改善に努め、自社の圧倒的な本質力をユーザーにデータで訴求する事が重要になるでしょう。

皆様方におかれましては、2023年が素晴らしい充実した飛躍の一年になりますよう心より祈念申し上げ、来年も引き続き一層のご愛顧賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

株式会社NEXT STAGE
代表取締役社長 小村 直克