施工管理改善が住宅会社にとって、最重要な必須課題となってきている昨今、各社様々なやり方で取り組まれています。
我々から俯瞰的に各社改善手法を見ていると、一番主流なのが施工管理アプリ等のツールを導入し、何か生産性向上の糸口を見つけていこうという取り組みです。
また第三者検査のような他の目線を入れ、ダメな部分を指摘しながら対処改善を繰り返し、反復の中で少しでも安定性を高めていこうという取り組みの2つが主流になってきたように感じるのです。
この2つの取り組みを採用するきっかけには、各社様々な目的にバラツキがあることに少し気付いて頂きたいのです。
我々ネクストステージが考える施工管理改善における有効な目的と手段の考え方とは、施工管理アプリは比較的に出来型と出来高を繋ぐあらゆる業務効率化を高めるために効果を発揮するものであり、第三者サービスは実際の施工プロセスを評価し、『成功の再現性を高めるため』に発揮すると定義しています。
つまり、何を導入するとどんな効果があって、何を導入したらどんな効果がなかったのか?という導入事象に左右されるのではなく、そもそも各社ビルダーがどの部分をどのように改善したいのか?という目的に対する動機づけを、まず明確に社内に伝えておかないと、やはり組織運営において求心力が低下したり疲弊するといった結果になりがちなのです。
ここから少し整理していきましょう。
施工管理に関する皆様が期待している改善の成功定義とは一体どういうものなのでしょうか?
おしなべてそれは『引き渡し』というトリガーに対して、あらゆる計画通りであったか否か?という結果や事実なのではないでしょうか?
予算計画に対して完工時に計画通りの利益であったのか。また、計画性能や品質に対して本当の性能や品質が確保されたのか。更には、工程計画に対して予定通りの工期で実施できたのかなど、時間やコスト、そして品質や性能などがどの程度バラつかず想定内であったのかを期待されているに違いありません。
その結果がおそらく顧客満足度や引き渡し後の実態に繋がってしまい、苦い経験になってしまっているのだと思います。
であるとすれば、仮に成功した現場というものはどのようなプロセスを踏んで引き渡しにたどり着いたのかという事実や、またどのようなプロセスを踏んでしまうと失敗に終わってしまったのかという両面からPDCAをしっかり回し、自社の正しいプロセス管理体系を作り上げることが大切なのではないでしょうか?
そしてこのような成功可能性の高いプロセス管理体系が正しいプロセスであると定義したとなれば、言い換えるとそれはベテランでなくとも誰もが確実にそのプロセスさえ踏むことができれば、『理想の引き渡しの再現性』が高まっていくということなのです。
まさしく『プロセスを踏む=結果が出る』という方程式が成立する環境という認識です。だからこそ『いかにプロセスコントロールをするか?』ということに注力頂きたいのです。
そのための前提には、まずプロセス重視な社内環境やファクトコントロール(事実に基づくデータ)で語れる社内環境を是非根付かせて頂きたいのです。
そうすることにより、プロセスを上流管理する習慣が少しずつ芽生え始めてきますし、更には重点思考が自然と身に付いて行くようになっていくのです。
このような社内環境が身に付いてこそツール導入動機も大きく変わり、このような成功への再現性高いプロセスに対して、いかにスムーズに管理させるかの手段として施工管理アプリを採用してみようというようなポイントに自ずと変わってくるでしょうし、またプロセス管理の重要なマイルストーンとして第三者サービスを採用してみようというような、品質管理の強化に合わせてしっかりと出来型をモニタリングするんだという明確な運用目的に変わっていくのです。
これからのDXは絶対に重要な取り組みなのは間違いありません。むしろ取り入れないと住宅製造業としての未来はないと言われるくらい大切です。
しかしながら、施工改善の大前提には再現性の高いプロセス管理をまず作り上げる事が第一ステップであり、そして第二にそのプロセス管理をいかに効率よく愚直にやり続けられるかに対してツールを紐付いていくのです。そうすれば必ずや効果的で有意義な社内改善に繋がると思うのです。