心の価値観を求める新卒こそ、 これからの現場監督にフィットする

住宅建築業界では、既に正しい施工管理キャリアを保有する人材流通は、ほとんど厳しいと言っても過言ではありません。 仮にキャ …


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住宅建築業界では、既に正しい施工管理キャリアを保有する人材流通は、ほとんど厳しいと言っても過言ではありません。

仮にキャリア組と言われるベテラン現場監督を獲得したとしても、培ったキャリア形成は今までに働いてきた個社別の住宅会社の常識から成り立ち、どうしても個人商店化した独自のやり方に依存されます。このような環境下から住宅会社が工務部門の刷新や改善を図ろうとしても、ベテランゾーンと若手ゾーンの仕事の考え方にギャップが生まれ、組織内での管理統制は上手く行かず部内は疲弊し、若手から順番に組織から脱落してしまうという現象が後を立たないのです。なぜこのような現象が引き起こってしまうのでしょうか?

実はこのような現象を引き起こす大きな要因は3つあります。。

1つ目はベテラン層や若手層を問わず、現場監督という役割に対する各々の考え方やスキル以上に、会社として、部門としての『施工管理の目的と役割の上位概念』が明確に存在しない事にあります。

どれだけ個人が自身の行動を肯定したとしても、その行動に対して『なぜ?』『何の為に?』と動機となる目的を探ってみれば、自ずと答えはわかるのです。しっかりとした目的の解答であれば行動は正しいのですが、ほとんどの答えは『今までこうだから!』『こうすると教わったから!』という根拠のない作業解答が非常に多いという点です。

2つ目は、『現場監督の未来のゴール』が住宅会社に無いことです。脱落する現場監督のほとんどが、『楽しくない、評価されない、スキルが上がらない』の3要素となり、この働く環境を生み出している会社側の環境整備の課題は非常に大きな問題です。
毎日とにかく仕事に追われ、残業や休日出勤をしながら仕掛かり現場の進行に色々な段取り業務に追われ毎日が過ぎていきます。そんな毎日の仕事をどれだけ続けたらよいのだろうか?という不安に駆られるのは当然の事、それ以上に毎日の仕事を頑張った未来には、どんなスキルが身に付き、どんなキャリアアップが実現できるのかという明確なゴールすらないことが最大の問題です。

3つ目は、現場監督だけでなく設計士や職人などを含む、技術者や技能者の正しい定量的評価が明確に存在しない事です。営業であれば、毎月の売上額や粗利額、また売上棟数などの明確なKPIに対する達成度を計測できるのですが、技術系スタッフにはどうしても定性的評価に留まってしまいます。仮に定量的評価をしたとしても、ほとんどが『工期が間に合ったか?』『粗利は確保できたか?』『どれだけの現場数を担当したか?』など、スローガン的な結果評価でしかなく、ロジカルプロセスの無い評価軸が設定されているからなのです。

ここで考えていただきたい事は、20歳代前半の経験値の浅い若手スタッフに対する管理側からのモノの見方です。

恐らく、『現場を知らないから任せられない!』『職人から舐められてしまう』『対処方法を適切に知らない!』など、常に現行のベテラン監督を軸に、『どう劣っているのか?』という比較から若手スタッフを見下げて評価します。

逆に、『なぜ理解が及ばないのか!』『どうやったら仕事が出来るようになるのか!』という、あるべき姿から逆算するギャップ解消を会社が仕組みとして環境づくりをしない限り、きっとあるべき姿には近づくことはないでしょう。

20代の若者の価値観は、幼少期よりある程度身の回りが充足している時代を生きてきただけに、社会に出た今、『心への価値観』を持ち合わせています。ちなみに30代の若者は、リーマンショック時代の不景気な市況に社会に放出されてきた事から『時間への価値観』を持ち合わせています。

このような若者達に対して会社の組織構成は、既に管理職やベテラン監督は50代に達し、バブル期を生き抜いてきた『カネへの価値観』を持ち合わす年代がマネジメントする環境下となり、若者をコーチングするという経験なしに、定性的な管理統制やOJTばかりの手法を続けておれば自ずと若手は疲弊し、離脱していくのです。

今変わらなければいけない事は、まずは会社、そして管理職やベテラン現場監督のマネジメントスキルです。マネジメントは、パフォーマンス【マネジメント力】とリーダーシップ【メンテナンス力】です。

時代を生きた様々なキャリアを活かして、いかにこれからの『現場監督の成果』を新たに定義付けてあげれるかが重要です。

今や昔と建物の在り方も違い、規格化していっています。そのような建物環境に合った施工管理体系を今こそ刷新し、現場把握力、タスク実践力、そして現場改善力の3つを軸に、正しい成果を定量的に評価してやらなくてはいけません。これがこれからのマネジメント力なのです。

一方、スタッフ1人1人に対して、日々の成果や習熟度に応じたアドバイスや学ばせる環境を作り、コーチング手法でもってスタッフをメンテナンスしなくてはいけません。これがこれからのリーダーシップ力なのです。

これからは会社とマネージャーが一体となって、若手の現場監督の未来のゴール(あるべき姿や出口)を明確にしてやりながら、日々の成果を測定してあげられる環境作りが大切です。そうすることできっと自分の輝く場所を探す『心への価値観』の高い20代が育ち、これからの現場監督にフィットしていきますし、更に女性現場監督となれば、更にきめ細かさを発揮できる貴重な人財となるに違いありません。

我々NEXT STAGEも、非常に現場技術者の人財化に力を入れており、全国のビルダーの皆さま方の学習環境提案や実践学習を提供しております。

受注を取っても、既に住宅を納品する事の課題の難易度が高いだけに、是非ともこれからの新しい工務部門の組織の刷新や現場監督の地位向上を目指して、一歩勇気を持って改革して参りましょう。