今月は、住宅の製造での品質に対するコストについて焦点を当てていきたいと思います。
以前より私は製造業である限り、『品質コストは原価であれ!』と提言してきました。工務店事業は製造業であるからこそ、この考え方を常識的な基本思考としていただきたいという主旨が詰まっています。
ただ原価といえども、品質確保への効果に対する原価(コスト)があまりにもバランスが悪くなると、これこそ無駄な投資という事にもなりかねません。
そこで、皆さんがこれからの工務店事業において、適切な品質コストとはどれくらいのものなのか?また、どのようなロジックで自社の適切な品質コストを見出せば良いのか?という、具体的な考え方をお伝えしていきたいと思います。
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まず大前提としての品質コストとは、顧客のニーズを満たし、維持するためのコストを指します。
そして品質コストには、予防コスト、評価コスト、内部不具合コスト、外部不具合コストの4つに分類されることを覚えておきましょう。
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住宅建築に関する予防コストは、施工される建物やサービスの品質不良を防止するために投資するコストのことです。
例えば、技術者や技能者への教育、基準マニュアルなどの整備など、施工不良を未然に防ぐための品質コストを指します。
評価コストとは、施工される建物やサービスが、品質不良にならない為の評価やテストをするためのコストのことです。
例えば、外壁の防水シート完了後に散水試験を実施したり、弊社が提供する第三者ヒンシツ監査のような客観的な品質評価を導入したりする費用を指します。
ここまでが、適合関連コストに属する品質コストです。
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相反して、次は不適合関連コスト、または不良コストともいう2つの品質コストです。
これは、施工された建物やサービスの品質が不良であった際に発生するコストのことです。
この不良コストは、建築中に発見された場合の内部不具合コストと、実際に建物を引き渡してからお客様より発見された場合の外部不具合コストの2つに分けられます。
内部不具合コストは、施工中でのムリ、ムダ、ムラに直結する手直しや手戻りなどにかかるコストそのものです。コストだけでなく時間などのロスも大きく、生産性を低下させる厳しいコストと言えるでしょう。
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一方、外部不具合コストは、引き渡し後、例えばクレーム対応や補修にかかるコストだけでなく、損害賠償などの金額や法的責任、それに対応する労力なども外部不具合コストとなります。
これは金銭面だけでなく、会社の信用や経営的な損失にまで発展する重大なコストと言えるでしょう。
まず、内部・外部不具合コストを削減するには、予防コストに費用をかけることで、不良コストを減らすことができます。
品質計画・工程管理・品質保証などにお金をかけておけば、必然的に建物品質を向上させる事ができ、手直しや補修などの不良コストを削減することができます。
ただ、予防コストの増加は確かに不良コストの減少につながることが多いのですが、施工管理の上では適合関連コストと不適合関連コスト(不良コスト)のバランスを考えることが大切です。ここが重要なポイントです。
基本的には予想される不適合関連コストを削減するために、必要な適合関連コストが小さければ、絶対に適合関連コストを支払って予防や評価を行うべきなのです。
例えば、仮に現場管理のための監視システムを開発したとして、万一ヒューマンエラーやITシステムの欠陥によって情報流出がおこってしまえば、何百万、何千万という損害賠償とそれに対応する労力がかかってしまいます。
もし一千万円の不適合関連コストがかかったとしても、それを導入するための使用マニュアルや利用研修などのコストが小さく効果があれば絶対支払うべきであり、一方で不適合関連コストよりも上回った場合はやはり考えなければなりません。
このように適合関連コストが不適合関連コストを上回ってしまった場合の判断が施工管理の難しいところです。
施工管理をする中ではこうした適合関連コストと不適合関連コストのバランス、すなわち品質を担保するための費用対効果を検討していく必要があるという事なのです。
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また、目指すべき品質レベルの設定も重要です。
現状から8割の改善までは恐らく小規模な品質コストで一定の効果が出ると思いますが、9割、そしてパーフェクトという改善レベルにおいては、きっと適合関連コストは数倍、いや数十倍といったコストをかけなければ達成不可能なレベルといっても良いでしょう。
つまり、目指すべき品質レベルに対する費用対効果というバランスを常に意識することで、適切な品質コストをかける事ができ、またその安定的な推進から一定の原価という思考に転換していくに違いありません。
住宅業界では残念ながら、不適合関連コストに対する保険や保証といった担保的要素にコストをかける風潮があります。やはり予防に対する前向きなコスト意識がないと、社内的な成長は望めません。
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我々ネクストステージの品質基準などのマニュアル作成や、自社基準に沿った第三者ヒンシツ監査サービスは、非常に品質コストにおいてはバランスの良いサービスであり、不適合関連コストの削減効果以上の価値をユーザーへ生み出してくれるサービスだと思います。
是非そんな観点から自社の施工管理のムリ、ムダ、ムラや、引き渡し後の残工事やクレーム、手直しなどのコストの統計をしっかりとり、適合関連コストの検討をしてみてはいかがでしょうか。
2022年2月にローンチするヒンシツアナリティクスクラウド『QualiZ』では、このような品質コストバランスにも触れながら、ビルダー様へコンサルティングを強化して行きたいと考えております。