昨今、住宅の製造プロセスに関わる技術者や技能者の人材リソースやスキルが、建築事業の収益を左右するようになってきたことは、皆さんが一番実感されていることでしょう。
わかりやすく言い換えると、技術者とは現場監督や設計士を指し、また技能者とは協力業者や職人を指します。
また建築事業の収益の影響には、大きく分けて、売上影響、粗利影響、営業利益影響の3つがあげられます。
事業収益の中で、製造プロセスの課題に一番直結するのが、製造原価から紐づく粗利低下であり、その次には管理体系やクレームなどから引き起こる営業利益の低下です。
売上への影響は、結果、生涯顧客化しない課題から、間接的にリピート率や紹介率にじわじわと影響するということです。
今回のコラムは、そんな建築事業の根幹となる製造過程で活躍する、現場監督と職人の『シゴトの評価』の在り方にスポットを当てていきたいと思います。
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まず職人の評価についてです。
皆さんがイメージする『良い職人さん』とはどんな要素なのでしょうか?
住宅事業者側からの部分最適でいうと、『安く請けてくれる』とか、『無理を聞いてくれる』などという内容だけに執着していたとすれば、これはプロとして絶対に改めなければなりません。
全体最適でいうと、やはり『良い仕事をしてくれる』という事だと思います。そして『良い仕事』とは、自身の仕事の範囲をQCD【品質、コスト、納期】という適切なバランスできっちり仕上げてくれる職人だということです。
つまり、決められた期間や期日までに、指示された設計図書通りに、目指すべき品質レベルを確保しながら施工してくれるという事ならば、この精度が高ければ高い職人ほど、手間代が高くなくてはいけないという事なのです。
でなければ、職人のモチベーションや未来のキャリアアップ、また業界における今後の地位向上は望めないからです。
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次に現場監督の評価についてです。
同じく、皆さんがイメージする『良い現場監督さん』とは、どんな要素なのでしょうか?
住宅事業者側から、『現場を沢山持てる監督』や、『職人と一緒になって手伝う監督』など、もしこんな思考があるならば、本末転倒だという事を認識し直してください。
現場監督は、施工管理における専門業者の仕事を管理する力、言い換えればマネジメント力を求められる役割です。
例えば品質管理業務であれば、いかに職人の施工作業のバラつきを無くす事ができるかという役割であり、目指す品質基準に沿って評価し、バラつきがある部分を判断し、適切に対処することです。また同じことを次に起こさない為の改善取り組みを、いかに実践するかでシゴトの成果を評価すべきなのです。
そうした評価軸で適正に成果を図ってやらなければ、正しい監督業の役割認識は深まらないし、スキルも絶対に向上しないと言うことです。
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このように、職人は施工実践値を定量的に評価し、現場監督は管理タスク実践値を定量的に評価することがポイントです。
職人に対しては施工実践値を測定する訳ですので、必ず手順や許容範囲、また品質基準を明確に伝えておかなくては、適正に評価することはできません。
また現場監督においても、どのタイミングにどんなやるべきタスクを計画しておくかという、体系やモノサシがないと適正に評価することはできません。
営業部門のように、売上額や受注数といったわかりやすいKPIが明確に設定できれば簡単なのですが、技術者や技能者に対しては難易度が高く、ほとんどが定性的な視点でしか評価ができていないのが現状です。
これではいつまでもキャリアアップは望めず、魅力を感じない惰性的な仕事環境から脱却できないでしょう。
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これからの建築事業のテーマは、『つくるを売る』ことができる事業者しか、適切な収益や事業継続が困難な時代が到来します。しっかり仕事の目的を理解し、スタッフを定量的に評価してあげられる雇用環境が急務になっていくのです。
2022年2月に弊社がローンチする、ヒンシツアナリティクスクラウド『QualiZ』は、今回のテーマを払拭し、新しい世界観を作り出してくれるのです。
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