「言葉と文字」の概念がDX化を促進させる

今、建設テックも非常に勢いを増しており、施工管理に関するマネジメントツールも沢山登場し、大きく普及してきました。恐らくL …


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今、建設テックも非常に勢いを増しており、施工管理に関するマネジメントツールも沢山登場し、大きく普及してきました。恐らくLINEのような簡易的なチャットツールから取り上げれば、皆様の会社でも何らかのツールを採用されているのではないでしょうか?

そのような環境下で、今月は『言葉と文字』という原始的な視点が、実はDX化を促進させる鍵になるという事を少し紐解いていきます。

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『言葉と文字』という今回のテーマは、実はDX化においてもこの思考を整理しておけば、ツールを非常に効果的に利用できたり、利便性高く運用できたりします。

つまり目的思考を発展させる事が非常に大切であるという要点を体感できる事に気付いて頂ければ幸いです。

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それではまずは、逆の視点から考えていきましょう。

これだけの素晴らしいITツールが普及しているのに、何故上手く使いこなせないのだろうか?また、これだけのサービス機能が充実しているのに、何故一部の機能しか使えないのだろうか?

更に言えば、住宅業界の生産性が20年間で1%しか上昇していないのはどうしてなのだろうか?実はこれら全ての考え方は同じことなのです。

その原因は、ツールを基盤に仕事を手順化しているからなのです。本来、やるべき仕事にツールを手順化【セットアップ】させなければならないものが、全て逆転してしまっていることに課題があるということになります。

これは目的と手段の逆転現象が生まれているからなのです。

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今回のテーマでもある『言葉と文字』は、この逆転現象に歯止めを効かせる基本思考となりますので、このテーマを少し分解していきましょう。

世の中の商品やサービス消費で、住宅は恐らく一番高単価であり、また納品に時間のかかる、生涯かけがえのない買い物です。

そんな住宅を製造する上で、20業者を超える専門技能者の取り合いによって積み上げられる集大成が家づくりと言えます。

つまり、一番大切な事は技能者一人一人の統制をどれだけ適切に実践できるかに掛かっている訳です。そして技能者は人間だと言う事です。

だからこそ施工管理統制には、人に対する『言葉』と言われるコミュニケーションと、『文字』と言われる指示や伝達の2つが、重要なアクションと言えるのです。

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さて、『言葉と文字』の特性を考えてみましょう!

言葉にはどんな特性があるのでしょうか?実は言葉の特性には、人が伝えたい深度があると言う事です。

例えば、朝から上棟を行う場面では、沢山の大工さんが高所で怪我をしないように、言葉でしっかり安全を呼びかけたり、またクレーンが近隣に危険を及ぼさないよう、環境保全を呼びかけます。

すると人は呼びかけられた言葉の深みで注意喚起がされ、瞬間の安全を保てるのです。

ただし1点、ここでデメリットもある事を覚えておきましょう。それは、持続性がないと言う事です。

深度は与えられても持続が与えられないという裏側がある事から、言葉で管理すべき内容と、言葉では管理しない内容を使い分けておく必要があるのです。

次に、文字にはどんな特性があるのでしょうか?文字の特性には、言葉のデメリットであった持続性という効果がメリットとしてあります。

言葉だけでは頭で忘れてしまったりするため、文字を書き留めることで、長く情報を保つ事が出来るのです。

例えば、工事中の玄関の高価な上り框にキズが行かないようにしっかり養生をしておいたとします。

しかしながら、長期間の工期には沢山の業者の行き来や、材料の搬入がある中で、キズを付けてしまう可能性も高い訳です。

仮にその養生材に、赤のマジックで『踏むな!』と言う文字が目立つように書かれていたとしましょう。

そうすれば、玄関を出入りする人達に常に視覚で注意喚起できる環境を保つ事ができるのではないでしょうか?

また、建物に広告用に大きな養生シートを皆さん掲げていらっしゃるのも、工事期間中、近隣に当社の家づくりを宣伝する為に文字にして近隣の方々へ長期間に渡って印象付ける為の手段だと言うことなのです。

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このように、施工管理を一環して進める中で、何を目的に成したいのか?と言う明確な主旨があるからこそ、言葉という手段がなぜ効果的なのか、文字という手段がなぜ効果的なのかという方策が後付けとして生まれてくる思考となるのです。

これから普及し続けるITツールもしかり、何を達成する為にどんな形式でどのようにフォルダに保管しておく事が有効なのか?また、何を回避させる為にチャット機能をどんなルールで利用すれば良いのだろうか?など、ツールに仕事を手順化させない目的先行型の運用が、DX化に向けて大切な考え方だという事をヒントにしてみては如何でしょう。