今回は、当媒体を運営するNEXT STAGEの住宅品質監査の現場で活躍する「認定現場監査士」という仕事について紹介します。
認定現場監査士は、NEXT STAGEが定める独自のカリキュラムを受講し、認定試験に合格した人のみに付与される資格で、施工会社とは異なる立場から住宅品質を確認する「第三の目」としての役割を担う外部の専門家です。
そもそも監査士とはどんな役割を担い、家づくりの現場で何を見ているのか。実際に近畿エリアで活躍する3名の認定現場監査士、田中さん・野村さん・柳田さんにお話を伺いました。
監査士としてのやりがいや苦労、これまでの経歴や監査士になったきっかけ、そしてプロの目から見た「良い現場・悪い現場」など、現場で品質を見守り続ける3人だからこそ語れる、仕事のリアルに迫ります。
全国各地で行われる「監査士Summit」や毎週オンラインで行われる「定例質問会」など、現場で起きた課題や最新の情報を共有することで、常に監査の質をアップデートし続ける取り組みについてもご紹介します。
<取材協力>※掲載順不同
田中監査士
2級建築士/監査士歴4年目/2024年度は622件の監査を担当
野村監査士
1級建築士/監査士歴13年目/2024年度は296件の監査を担当
柳田監査士
2級建築士/監査士歴10年目/2024年度は468件の監査を担当
住宅の品質を守る!「認定現場監査士」はどんな存在?
住宅の施工現場には、建築基準法に基づく「検査」と、施工品質をより広く・深く確認する「監査」の2つの確認軸があります。認定現場監査士は、NEXT STAGEが独自に設けた認定制度のもと、住宅現場の施工品質を安定した高い精度で「監査」する専門家集団です。まずは検査と監査の違いをシンプルに整理すると、次のようになります。
つまり監査は「法律を守れているか」 だけを見るだけでなく「その会社が約束する品質が本当に施工できているか」を見極める役割を担っています。
NEXT STAGEの認定現場監査士は、これまでに蓄積した監査データをもとに体系化された独自基準・項目を用いて、どの監査士が監査しても同じ判断ができるレベルで施工品質を確認します。現場監督や職人とは異なる、完全な第三者として現場に立つことで「品質の偏り」や「不備の見落とし」をなくし、家づくりそのものの精度向上に貢献しています。
もっと詳しく認定現場監査士制度について知りたい方はこちらをご覧ください。
▶認定現場監査士制度について
https://nextstage-group.com/lp/partner/
認定現場監査士は、住宅の品質を守るうえで欠かせない存在であり、現場の最前線で日々さまざまな判断を積み重ねています。
では、実際にその仕事を担っているのはどんな人たちなのでしょうか。
今回は、近畿エリアで数多くの監査業務をしている田中さん、野村さん、柳田さんの3名にお越しいただき、監査士になった経緯や仕事のやりがい、そして「良い現場」はどのように見えているのかまで、本音で語っていただきました。
現場監督からの転身も。監査士になった理由と、これまでの歩み
──まず、皆さまの経歴からお伺いしていければと思います。
田中さん:私はもともと現場監督として、30年間勤務していました。住宅の現場を長く見てきた中で、年齢的にもこの先ずっと現場監督を続けるのが本当に正解なのか、迷うようになったんです。そんな時に、もともと友人だった関西の監査士さんに紹介してもらい、挑戦してみることにしました。長年の現場経験で一定の知見もありましたが「より精度の高い監査をしたい」と思い、50歳を超えて2級建築士の資格も取得し、その後、監査士になりました。
柳田さん:私は現場監督として働いたあと「何か違うことをやってみたい」と思い、設計事務所で設計をしていました。その時の上司の知り合いに、NEXT STAGEの社員さんがいたんです。関わっていく中で、次第に監査士という仕事に興味を持つようになり、最終的には設計事務所を退職して監査士になりました。
野村さん:知り合いから、NEXT STAGEが監査を始めたと聞いたのがきっかけです。その当時は、まだ外部の監査士登録が始まったばかりで、社員さんが中心。登録している人も本当に数人しかいないような状況だったと思います。そんな立ち上げのタイミングから、監査士として関わるようになりました。
──皆さんのお話を伺っていると、現場監督としての経験や、設計事務所や同業者からの紹介など「横のつながり」から監査士という仕事を知り、広がっていったことがよく伝わってきました。
認定現場監査士の仕事とは?現場を冷静に見て、小さな気づきを積み重ねる
──そもそも監査士とはどんなお仕事なんですか?現場では、具体的にどのようなことをされているのでしょうか。
野村さん:監査士は、NEXT STAGEが行っているカリキュラムに沿って講習を受け、認定試験に合格した人だけができる仕事です。
現場では、設計図書や監査項目、チェックリストをもとに、コンベックスや水平器などの監査道具を使いながら、スマートフォンで写真を撮影し、基準通りに施工できているか確認項目をチェックしていくのが基本的な流れですね。
田中さん:明確な指摘事項でなくても「少し気になるな」と感じた点があれば、監査アプリの機能を使って現場や関係者に共有することもあります。些細なことでも、そのままにしないことも大切だと思っています。
柳田さん:NEXT STAGEの品質監査の特徴は、自分の経験や感覚で判断するのではなく、関連図書と実際の現場施工をしっかり見比べて評価するところです。あくまで基準に照らして、冷静に現場を見る。それが監査士の役割です。
──監査士の仕事のなかで、やりがいを感じる場面があれば教えてください。
野村さん:家づくりの中で、施工がうまく回っている様子を現場で目の当たりにしたときに、やりがいを感じますね。
自社で決めた基準に沿って、職人さんが動いてくれたり、丁寧に作業してくれているのを見ると「ちゃんと伝わっているな」と思います。
もちろん、現場では指摘をすることもあります。でも、それを何度か伝え続けるうちに改善されて、いつの間にか当たり前のようにできるようになっている。そういう変化を見ると、良かったなと思います。
田中さん:私も同じですね。やはり、現場が少しずつ改善されていくのを見ていると、やりがいを感じます。
現場で伝えたことに対して「ありがとう」と言ってもらえるだけでも、素直に嬉しいです。中には無言で作業を続ける方もいますけどね…。
柳田さん:やりがいとは少し違うかもしれないですが、監査を通していろいろな土地や現場に行けるのが、すごく楽しくて、自分に合っている仕事だと感じています。
建築会社ごとの工法の違いもありますし、毎日が勉強ですね。見たことのない資材や金物に出会って「これは何だろう?」と調べたり、職人さんに聞いたりしながら知識を増やしています。自分のスキルアップにもなりますし、勉強になることがたくさんありますね。
──やはり監査を続けていくと、住宅の品質は向上していくものですか?
野村さん:大体は、そうなっていくことが多いですね。ただ、業者さんや大工さんなど、現場の人が変わると、どうしても波は出ます。ただ私たちは、そういう波があっても、伝え続けるのみですね。
柳田さん、田中さん:そうですね。
──では、難しいな・困ったなみたいな場面はありますか?
全員:…無いですね。
──対人関係とかも特にないですか?
野村さん:それに関しては、本当にないです。自分の性格や話し方もあるのかもしれませんが、むしろ相談を受けたり、気軽に声をかけてもらったりすることの方が多いですね。
たまに言葉の強い大工さんに、きついことを言われることもありますが、自分たちは正当に監査をしているだけなので、あまり気になりません。何度か顔を合わせて話すうちに、自然と打ち解けていきます。
田中さん:指摘をしたときに「次から気をつけます」とすぐ是正してくれる方もいれば、腹を立ててしまう方もいます。でも、野村さんの言うとおり、私たちはそれを伝え続けるだけですね。
良い現場・悪い現場は「入った瞬間」にわかる
──監査士さんから見て、良い現場の特徴はありますか?
柳田さん:僕は、もうこれに尽きるんですが、現場が見やすいかどうかですね。
田中さん:わかります。整理整頓されているか、ゴミがきちんと分別されているかどうかですね。
野村さん:やっぱり、現場が綺麗かどうかは本当に大きいと思っています。
もちろん作業中は別ですが、現場に誰もいないタイミングで、きれいに片づけられていると「今日は指摘が少なそうだな」と感じることが多いですね。実際、指摘がゼロのケースも少なくありません。逆に誰もいない状態で施工してないのに、製材が散らかってたり、ゴミが落ちてたりすると、指摘が多かったりっていうパターンが多いですね。
現場が綺麗なところは、納まりも丁寧で、全体的に施工がきちんとしていることが多いです。だからこそ、現場に入った瞬間に、なんとなく伝わってくるものがありますね。
田中さん:あとは、お施主さんがよく現場に足を運ぶような現場も、やはり違いますね。
整理整頓が行き届いていますし「いつ見られても大丈夫なようにしよう」という意識が働くのか、丁寧に施工されていると感じることが多いです。
野村さん:だからといって「これが悪い現場だ」と一概に決めつけるわけではないですが、綺麗に越したことはない、というのは間違いないですね。
──やはり、現場が綺麗に整理整頓されているかどうかは、施工品質を見るうえでの重要なポイントになりそうですね。

見学会だけでは、家の「本当の質」はわからない
──先ほどの話の流れからですが、監査士さん達は現場に入った瞬間に感じとれると思いますが、現場慣れしていないお施主さまが、確認できるポイントはありますか?
野村さん:自分が買う側の立場になったらの話ですけど、構造見学会やモデルハウスだけを見て「ここは安心だ」と判断するのは、少し危険かなと思いますね。「良い状態」のものが用意されていますから、それだけを信用するのはおすすめしません。
田中さん:あとは、SNSやインターネットの情報を100%鵜呑みにしないことも大切ですね。ネットで見た情報をもとに、工務店さんを責めたり、クレームを入れたりするのは違うと思います。
柳田さん:インターネットで「トラブル事例」や「欠陥住宅」ばかり検索してしまう人も多いですが、実際はそればかりではないですからね。良い現場も山ほどあります。
野村さん:そうそう。そういう情報や動画が目立っている、というだけですよね。
柳田さん:例えば、コンクリートひとつとっても、現場ではきれいに、まっすぐ打たれているじゃないですか。でも、あれって液体なんですよ。当たり前に思えることかもしれないですが、職人さんだからこそできることで、簡単なことではありません。
私自身も、現場で本当にたくさん失敗してきました。金物を打ち忘れたこともありますし、心配になって現場を見に行ったことも何度もあります。そうした失敗の積み重ねがあって、今の品質があるということは、忘れてはいけないと思いますね。
田中さん:製造業って、失敗を繰り返しながら学んでいくものなんですよね。もちろん、それを放置するのは違いますが、手づくりである以上、ミスがゼロということはありません。だからこそ、私たちが第三者として監査をしているわけです。
柳田さん:しいて言うなら、決算期に間に合わせようとして、工期ギリギリで建てる現場は避けたほうがいい、くらいは言えるかもしれませんね。
田中さん、野村さん:そうやね。(一同・笑)
──ちなみに、現場でよく見る不備事例はありますか?
野村さん:釘の打ち忘れや、ビスの留め忘れは、どの現場でも共通して見られるポイントですね。あとは、各社で独自に設けている基準に関する部分です。
田中さん:工務店の考え方やルールが、職人さんまで十分に伝わっていない場合もあります。その会社独自の納まり方だと、そうしたズレが出やすいですね。
野村さん:大工さんが変わったタイミングで、指摘が出ることもあります。一度だけ、基礎の向きが図面と90度違っていた現場がありました。入口の位置も違っていて…さすがに驚きましたが(笑)、そういったケースは本当に滅多にありません。
柳田さん:多くは、その場ですぐ是正できるものや、すぐに対応できる内容ばかりですね。
──もちろん、打ち忘れや留め忘れはあってはならないことですが、その場で適切に対応すれば、大きな問題にはならないことがわかりました。そのままそれに気づかずに次の工程に進んでしまうのが危険ですね。改めて、第三者による監査の重要性を感じます。
監査をするうえでのお施主さまへの想い
──普段、建築会社やお施主さまに対してどのような思いで監査をしていますか?
野村さん:そもそも、監査を導入している時点で、お施主さまには一定の安心感があると思っています。だからこそ、しっかりと現場を見ること、そして指摘があれば必ず現場に伝えることは、常に徹底していますね。
田中さん:会社ごとに基準が違うので、まずはその会社が決めている基準どおりに施工されているかを確認することを大切にしています。それ以上でも、それ以下でもいけません。決められた項目どおりに、きちんと施工されているかを見るようにしています。
柳田さん:自分としては、指摘して気づいたことを伝えることで「現場を守っている」と考えています。伝えることで怒られることもあるけど、不備を見つけて伝えることは、職人さんのためでもあり、現場のためでもあると思っています。
自分たちが監査に入ることで品質向上のお手伝いができて、最終的にそれがお施主さまに還元されるといいな、という思いはありますね。ただ、自分が一番大事にしているのは「現場が良くなること」です。そのために、関わる人に親切でありたいと思って監査をしています。
──お施主さまが現場にいらして、一緒に見ることはあったりしますか?
野村さん:近くにお住まいの方であれば、毎日のように現場にいらっしゃることもありますね。自分も、監査のタイミングで何回もお会いしたことがあります。
柳田さん:監査の日程と合わせて、お施主さまの現場見学の予定を組む会社さんもいらっしゃいますよ。
野村さん:コンセントの位置などを現場で決めることもあるので、監査の立ち合いも兼ねて、お施主さまが来られるケースは多いですね。ただ、私たちはお施主さまがいらっしゃったら挨拶をする程度で、積極的に会話をすることはほとんどありません。
──監査は「間違いを探す仕事」ではなく「現場を良くしていくための仕事」ということが改めて理解できました。本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございます。
認定現場監査士という仕事が、品質を支えている
今回、インタビューにご協力いただいた3名も参加していますが、NEXT STAGEでは、監査士のスキルアップや知識のアップデートを目的とした取り組みを、定期的に行っています。
具体的には、毎週開催される「オンライン相談会」や、全国各地で行われている「監査士Summit」です。
これらの場では、法律改訂や仕様変更といった最新情報の共有はもちろん、NEXT STAGEとして大切にしている考え方や指針を、改めて確認する機会にもなっています。監査士同士が交流し、情報交換を行い、互いに刺激を受けながら士気を高め合うことで、それぞれが自身のスキルをアップデートし続けています。
認定現場監査士は、地域で設計事務所や施工関連の仕事に携わってきた方が多く「社会に貢献したい」「自分自身のスキルを高めたい」という想いを持って、日々監査に向き合っています。
家づくりにおいては、まさに「第三の目」として、住まいづくりを支える大切な存在です。これからも監査士一人ひとりが判断力と精度を磨き続けながら、現場と真摯に向き合っていきます。ただ不備を指摘するだけではなく、住宅の「当たり前の品質」を、誰よりも真剣に守り続けるプロフェッショナルなのです。