毎日家族が集まるリビング。ふと「この部屋、もっと快適にできないだろうか?」と思うことはありませんか。
ただ、いざリフォームを考えたときに頭をよぎるのは「工事中の生活はどうなるの?」「どんなリフォームができるの?」といった疑問です。
実際、リビングのリフォームは工事の規模や内容によって費用も工期も大きく変わります。
この記事では、京都で宮大工として修業を積み、現在はさまざまな企業の品質基準づくりにも関わる一級建築士の小酒の意見を踏まえ、リビングのリフォームの基礎知識から現地調査・引き渡し時のチェックまで、わかりやすく解説します。
肩書 小酒 徹也
大学院修了後、京都で5年間宮大工として修業し、木造建築の基礎を学ぶ。一級建築士を取得後、プレカット会社内の設計事務所で構造・意匠設計の実務に従事。現在は、さまざまな企業の施工基準の作成に携わるほか、現場監督や設計者を対象とした講義で講師を務め、建築業界の人材育成にも尽力している。また、これまでの知見を活かし、リフォーム分野の新サービス立ち上げにも参画し、新築とリフォームの両面で住宅品質の向上に取り組んでいる。
あなたの理想はどれ?リビングリフォーム3つのタイプと費用感
戸建住宅でも、リビングをリフォームしたいという声がよく聞かれます。国土交通省の調査では、リビングは最もリフォームが行われる箇所で、軽微な工事から大規模改装まで幅広いニーズが存在します(出典:「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」国土交通省)。
※グラフ掲載https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001900667.pdf
図表:「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」
リビングのリフォームは、規模別に大きく3つのタイプに分かれます。
- 軽微なリフォーム:内装のリフレッシュ
壁紙や天井の張り替え、フローリング張り替え・重ね張り、照明・スイッチ交換、コンセント追加など比較的軽い工事です。
古い住宅ではLAN配線がないことが多く、スマート家電にあわせて配線工事を行う例も増えています。費用は数万円~数十万円、工期も短期間で手軽に印象を変えられます。
- 中規模リフォーム:造作や設備の追加
内装に加え、建具交換、造作家具(テレビボード等)の設置、壁掛けテレビ用の下地・配線工事などが該当します。また、部分的な断熱対策として内窓設置なども行われます。費用は数十万円〜100万円前後、工期は数日〜1週間ほどです。
- 大規模リフォーム:間取り変更や全面改装
和室とリビングを一体化するための壁撤去、畳からフローリングへの改修、バリアフリー化、暖房の新設や電気配線の全面やり替えなどが含まれます。壁内部に手を加えるため、工期は2〜4週間、費用は100万円を超えることもあります。
このように、規模が大きくなるほど費用差も大きくなるため「何を改善したいのか」目的を明確にすることが最初のステップとなります。
工事前にチェック!家族も安心のリビングリフォーム対策ポイント
リビングのリフォームを行う際には、事前に注意点を把握しておくことが大切です。ここでは、実際によく聞くトラブルをもとに注意点をご紹介します。
- 断熱工事の効果が不十分
内窓設置をしたのに思ったほど暖かくならないといったトラブルがあります。
原因は施工不良だけでなく、計画段階の判断ミスであることも多いです。窓1枚では断熱性能改善が不十分な場合もあり、家全体の断熱状況を踏まえた判断が必要です。
- 壁紙の仕上がりのイメージ違い
小さなサンプルで選んだ壁紙が、実際の広い面になると印象が変わることがよくあります。特に照明による影の出方で雰囲気が異なることも多いです。
コーディネーターのアドバイスが重要ですが、小さな会社だと仕様決めが短時間で行われることもあるため注意しましょう。
- 工事中の傷・汚れ
家具移動時のフローリングの傷、壁紙の擦れなどは非常に多いトラブルです。
工事前後で状態が曖昧になるため、事前に写真で家具の位置や傷を撮っておいたり、契約時に損傷時の取り決めを確認しておきましょう。
- 工事中の生活ストレス
リビングが使えない期間が発生したり、匂い・音が気になることもあります。また、知らない職人が出入りすることに不安を感じる方もいます。特に、小さな子どもやペットがいる家庭ではよりストレスを感じることもあります。
事前に工事工程や職人の配置について説明を受けておけば、安心につながります。
以上の点に注意してリフォーム計画を立てておくと、後のトラブルや不安を減らすことができます。
工事「前」にチェック!現地調査で見るべき3つのポイント
また、リビングのリフォームの満足度は、工事前の現地調査の質で大きく変わります。調査が不十分だと、仕上がりの不具合や追加費用が発生することもあるため、以下の点に注意しましょう。
- 下地・構造の確認
見える部分だけでなく、床下や天井裏の下地も重要です。点検口を開けて内部までチェックしてもらいましょう。主に、下地の劣化や水回り近くの木部に腐食や変色がないかを確認します。壁紙の張り替え時も、下地の劣化は追加費用につながるため、事前に説明を求めておくと安心です。
- 断熱リフォームは効果を見極める
窓を替えただけでは十分に暖かくならないことがあります。家全体の断熱バランスを踏まえ、どの工事が最も効果的かを現地調査で確認しましょう。
- コンセント増設の位置と難易度
既存配線の近くなら簡単ですが、離れた位置は壁内の配線工事が必要になる場合があります。リフォームでは新築に比べて制約が多いため、希望通りに設置できないこともあります。
現地調査ではしっかり相談し、可能な範囲や費用感を把握しておきましょう。
工事「後」にチェック!見逃し厳禁、チェックすべき5つのポイント
最後に、施主が必ず押さえておきたい工事後の「引き渡しチェック」のポイントを紹介します。
本来は丁寧に確認すべき重要な工程ですが、実際には仕上がりのきれいさだけで終えてしまうケースが少なくありません。
ところが、数日後にふと見つけた小さな傷。「これって工事の時?」と判断ができず、相談しづらい。こうしたトラブルは非常に多く見られます。
そこで、実際の現場で行われている完成検査の視点から、施主自身でも確認できるチェックポイントをまとめました。
- 壁紙の仕上がり
専門的な知識がなくても以下のポイントを確認してみましょう。
- つなぎ目が浮いていないか
- 巾木に隙間がないか
- 壁の角のコーキング
いずれも目視でわかるポイントなので、しっかり確認しましょう。
- フローリングの床なり
フローリングで特に多いトラブルが「床なり」です。工事前は問題がなかったのに、張り替え後にギシギシ鳴り始めるというケースは非常に多くあります。
- ゆっくり歩いて音の有無を確認
- 傷のチェックもあわせて実施
床なりは後から気がつくと原因が不明瞭になり、対応してもらいづらくなります。部屋全体を歩いて丁寧に確認しましょう。
- コンセント・照明・スイッチ類
設備まわりは見落としが起こりやすいため、自分の目でしっかり確認することが重要です。
- 正常に動作するか
- 打ち合わせ通りの位置にあるか
特に位置の指定を細かくしていた場合は要チェックです。
- 造作家具・収納の取り付け
造作棚やクローゼット、可動棚などを設置した場合は、
- がたつきがないか
- 固定金具がしっかり止まっているか
を手で軽く揺らしたり抑えたりしてチェックします。
- 断熱窓の取り付け
最近増えている内窓工事では、断熱性能の確保が重要です。
- 開閉がスムーズか
- 隙間がないか(ゴムパッキンがきちんと密着しているか)
窓枠を1周確認し、気密性が保たれているかチェックしましょう。
これらは施主でも十分確認できるポイントですが、引き渡し時には施工会社が必ず「ご確認をお願いします」と案内してくれます。その際に担当者と一緒に見て回ることで、チェック漏れを防ぎやすくなります。
施主がすべてを見つける必要はありません。しかし「何を確認すべきか」を知っているだけで、引き渡し後の不安やトラブルを大幅に減らすことができます。
リフォームならではの落とし穴!見えないトラブルを防ぐ方法
今回紹介したのはリビングのリフォームですが、実はリフォームと新築で確認すべきポイントは大きく変わりません。ただし、リフォーム特有のリスクを理解しておくことが重要です。
リフォームは既存の建物を部分的に解体してから工事を進めるため、見えない部分で思わぬ問題が発生しやすいという特徴があります。
こうしたリスクを軽減するためにも、事前準備として建築図面や配管・電気の経路といった「家の基礎情報」をそろえておくことをおすすめします。現地調査の際に専門家がこれらの情報を確認できれば、工事の妥当性や必要な費用の見通しが立てやすくなり、無駄な調査も減らすことができます。
ただし、古い物件では図面が残っていなかったり、内容が現状と異なる場合もあります。そのため、図面は「完璧な資料」ではありませんが、情報の一環として手元にあると非常に役立ちます。
「リフォーム前の丁寧な情報収集」と、「引き渡し時の確実なチェック」。この2つをしっかり行うことで、完成後の満足度は大きく高まります。
安心してリフォームを進めるためにも、今回お伝えしたポイントを参考に理想のリビングリフォームをぜひ実現してください。