「家づくりの哲学」では、住宅建築において消費者が「どんなところで具体的に見極めたらいいのか?」という疑問やポイントを解説しています。
そこで第3回の今回は、新築にするか中古にするのかをテーマにお話しします。
新築か、中古住宅か。あるいはリノベーションかリフォームか。選択肢が広がる一方で、判断はより難しくなっています。
多くの方が、価格や見た目、設備といった「わかりやすい要素」で比較してしまいがちですが、本当に重要なのは、目に見えない「構造」や「性能」の部分です。
そして、その中でも特に見極めのポイントとなるのが、住まいの耐久性を大きく左右する「防水」という考え方です。
この記事では、新築・中古それぞれの選択肢を整理しながら、長く安心して住める住宅かどうかを判断するための視点について、わかりやすく解説していきます。
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何を判断基準に選択するかがポイント!?
近年、建築資材や土地の高騰で、なかなか新築住宅が買えないというお客様が増えてきました。
何故ならば、年収に対する融資枠によって当然購入できる予算というものが限られてしまうからです。たとえ共働きをされているご家庭で収入合算をし、仮に融資枠が増えたとしても、先々の毎月の長期的なローン返済額を考えると、どうしても二の足を踏んでしまいますよね。
そんな時、新築をあきらめて中古住宅を購入しリノベーションもしくはリフォームをしようかという選択肢も、必ず頭の中をよぎるはずです。
中古住宅に踏み切られるお客様の大半は、やはり予算面から逆算して購入する方が多いと言われていますが、中古住宅を購入される方の満足度に関しては、注意すべき点が多々あることを覚えておいてください。
新築と中古のメリット・デメリットと判断基準
まず新築住宅の購入メリットは、何より新しい家に住めることです。
定年までの長期ローンは抱えますが、念願のマイホームですので、無理な返済でなければ家族が暮らす長い人生(とき)を刻む足跡にもなり、将来巣立っていく子供たちの「田舎」ができるという、かけがえのない財産も築けます。
私は新築派でしたので、何度か新築経験をさせていただきましたが、今では大きな後悔はございません。ただ、当サイトでお伝えしている「住宅品質」というものへのこだわりだけは持っていただきたいものです。
ただし、新築といえども15年以降からは、設備品の故障やあらゆる部分での劣化などが顕著に出てきますので、定期的な点検及びメンテナンスだけは欠かさないようにしてください。
そして中古住宅を購入されるお客様が、リノベーションするか?リフォームするか?の選択肢についてです。
まず、リノベーションとリフォームの違いをご説明したいと思いますが、皆さんにわかりやすく表現すると、構造躯体(スケルトン部)まで影響する工事範囲なのか、それとも化粧面や設備品等(インフィル部)だけの取り換えで済む工事範囲なのかの違いといってもよいでしょう。
国内のほとんどの中古住宅は木造住宅ですので、外観では見えない、つまり構造材である木材や、家を支える基礎(鉄筋コンクリート)などまで、しっかりとやり替える必要があるか否かの判断がポイントとなるのです。

中古住宅を仲介する不動産業者に注意が必要!
中古住宅の購入動機は、やはり予算が主にあることはわかるのですが、ほとんどのお客様は外観(見栄え)や設備品の老朽化だけで判断してしまっている傾向があります。
そして、すべてではありませんが、仲介する不動産業者の建築に対する知識が十分でないままの意見を、鵜呑みにしてしまうケースも少なくありません。
不動産仲介会社は、あくまでも仲介手数料を上げることが事業の目的です。そのため、お客様の予算内で納得させるために「まだまだ建物がしっかりしていますよ!」や「大手ハウスメーカーなので安心ですよ!」など、中には何の根拠もない見解やアドバイスをしてくるケースも見受けられるのです。
また、中古住宅を再販する中で、我々のような技術会社をインスペクションとして入れる場合であれば現況をしっかり把握できるのですが、中古物件の仲介ではインスペクションを事前に入れないのがほとんどです。
なぜならば、費用をかけてインスペクションを入れたとしても、もしその物件が仲介できなければ損をしてしまうという構図だからです。
日本は四季があり、台風があり、地震があるなど過酷な島国です。
住宅の見栄え以上に命を守れる住宅であるか否かという判断が第一にあるべきであり、本当に構造材が腐っていないのか、シロアリに侵されていないのか、雨漏りや結露はしていないかなどを確実に検査しておきましょう。
その劣化状況に応じて、スケルトン部分まで改修する必要があればリノベーションを選択すべきですし、本当にまだまだ構造躯体がしっかりしていて見た目の老朽化だけであれば、クロスの張替えや床材の張替え、また外壁塗装や設備品の交換などのリフォームで済ますというのも、経済的に適切であると言えます。
このように、中古住宅購入について重要なことは、どこまでその住宅が老朽化しているかを正しくしっかり専門家に見極めてもらうかが大切です。
「なぜ木は腐るの?」構造材こそ耐震性・耐久性の要(かなめ)
皆さん!家の構造材である木材がなぜ腐るかご存じですか?木は水に濡れたら腐るという認識でいらっしゃる方が結構多いのではないでしょうか?
間違ってはいないのですが、正しくは少し違います。
例えば、港の貯木場を思い浮かべていただければわかるように、丸太が水の中に浮かんで保管されています。しかしながら木は全く腐っていません。
実は、木が腐るのは水に濡れるからではなく「腐朽菌」が繁殖することで起こるのです。この腐朽菌を繁殖させないためには、4つの条件をひとつでも断てば、木は腐らないというメカニズムを、ぜひ覚えておいてください。
びっくりされるかと思いますが、これら条件を皆さんへお伝えします。それは「栄養」「空気」「温度」「水」のうち、ひとつでも断つことができれば、木は腐らないのです。では、それぞれの条件を確認しましょう。
「栄養」
これは木そのものが栄養で生きていることから、栄養は断ちようがありません。木材は生きていますので不可能と言えます。
「空気」
先ほどの貯木場の例がまさにこれに当てはまります。貯木場に浸かった木材は水中で空気を断っている状態のため木が腐らないのです。
「温度」
腐朽菌が活動するためには一定の温度が必要であり、極端に低温・高温の環境では活動できません。しかし住環境では、この温度条件をコントロールすることは現実的ではありません。
「水」
皆さんの認識通り水があることで腐朽菌は繁殖します。住宅を建てるうえで、栄養・温度・空気を断つ環境をつくり出すことができないことから、構造材を守り切るためにはコントロールのしやすい水を断つことが重要です。
つまり「防水工事」をどれだけしっかり行っているかに命運がかかっているのです。
新築でも中古でも防水施工がカギ
新築しかり、今後中古住宅を改修して永く住むのであれば、その住宅を建てたとき、あるいは建てる時にどれだけ防水工事がしっかりなされたかを、しっかりチェックし見極めることが重要です。
中古住宅であれば、その劣化状況に応じて改修計画を予算に入れたうえで、物件を正しく購入することをお勧めします。
皆様にはスケルトン部がどれだけ建物で重要かということを再認識していただき、これからの家づくり計画にぜひとも生かしていただけたら幸いです。