「家づくりの哲学」では、住宅建築において消費者が「どんなところで具体的に見極めたらいいのか?」という疑問やポイントを解説しています。

そこで第5回の今回は、住まいを守るために絶対に知っておきたい「保証」と「保険」の本質的な違いついて分かりやすく解説します。

日常生活でよく耳にする「保証」と「保険」という言葉。なんとなく同じような意味だと思っていませんか?実は、人生で一度の買い物と言われる「住宅購入」において、この2つの違いを曖昧にしたままでいると、のちに大きなトラブルや予期せぬ出費に繋がってしまうケースが少なくありません。

営業マンの「長期保証だから安心」という言葉の裏にある、知っておくべき「現実」とは……?今回も、後悔しない家づくりのために、ぜひ最後までご一読ください。

「保証」と「保険」の勘違いが招くトラブル

皆さんが日々生活をしている中で、よく「◯◯保証」や「◯◯保険」という言葉を耳にされる事だと思います。実は、住宅を購入する上でもよく勘違いされやすい言葉でもあり、大きなトラブルにまで発展する事も少なくありません。

例えば「長期保証がついてるから先々が安心!」だとか「何かあったら無償で直してくれるだろう!」といった安易な感覚で捉えてしまったりすると、期待していたものとは全く異なった対応から不審を招いたりすることもあります。住宅は高価な買い物だけに、ここを正しく認識して頂きたいのです。  

「保証」と言えば、皆さんが馴染みのあるところで、家電製品などを購入した際、梱包内に「保証書」が入っています。例えばメーカー1年保証であれば、商品そのものが不良品だった場合、1年以内は新しい代替品に交換してもらえるという保証内容だったりします。

この多くは、工場生産される安定した製品等に対し、万が一の対応として保証を添付するケースが多いです。

一方「保険」と言えば、おそらく多くの皆さんが加入している「自動車保険」などがわかりやすい例でしょう。対人、対物、搭乗者など、事故を起こした際、その事故に対する過失割合などを算定した中で、損害額に対して保険金が出たりします。

こちらは、起こり得る事故に対し、万が一の金銭的対応をしっかり担保しておく目的があります。  

「保証」と「保険」の正しい定義

ここで正しく整理しておきたいのは、このふたつの定義についてです。

まず保証とは、請け合い・責任を持つという意味を有し、製品の品質やサービス、人の能力、借金の返済などに間違いがないと約束することを言います。先程の家電製品の品質保証などが当てはまる訳です。

逆に保険とは、病気やケガ、災害といった「予測できないリスク」に備え、多くの人があらかじめお金(保険料)を出し合い、万が一の事態に陥った人へお金(保険金)を支払う「相互扶助(助け合い)」の仕組みを意味します。

つまり、先程の自動車保険の例などが当てはまる訳です。  

住宅業界における「長期保証」への疑問 。それで本当に安心?

住宅を検討、購入を計画していく際に、長期保証(20年保証、60年保証)など、住宅営業マンから「当社は◯◯年の品質保証が付いていますから安心ですよ!」というセールストークを話される機会を見かけます。

万が一というより、非常に頻繁にあり得る可能性が高いリスクのように感じますが、果たして皆さまが期待する確かな保証なのでしょうか?

考えてみれば、工場で生産された優秀な国産の家電製品ですら1〜3年の品質保証を添付するに過ぎないのに、約30種類の工事業者が、半年近い時間をかけて人によって現場で施工される住宅が、本当に長期に渡って保証されるのか、少し疑問を感じるところです。  

住宅品質におけるほとんどの長期保証内容は、主要構造に関わる部分の瑕疵(雨漏りなど)に対する保証で、様々な住宅設備などのインフィル部分は対象外となります。

また10年経過ののちは、毎年5年単位で定期点検を行い、劣化部分があれば、その部分をしっかり費用をかけて補修しないと、保証が継続されない仕組みになっています。

つまりメンテナンスフリーではないのです。営業トークでは長期保証でユーザーの大きな安心を訴求されているようですが、未来にかかる継続コストも含め、保険とは全く異なる性質があるという点を正しく認識しておきしましょう。

法律で守られている「住宅瑕疵担保履行法」は万が一の倒産にも対応

現在確かなものは、住宅瑕疵担保履行法が義務化となり、法律に守られている点です。この法律ができた経緯としては、日本の高度経済成長期に大量の住宅が供給された時代、多くの瑕疵が発生し社会問題にまで発展した時期がありました。

2000年には品質確保促進法が制定されたのですが、市場環境のニーズから「瑕疵保証」という名の勝手保証的な民間サービスが横行する時期がありました。

この事態を踏まえ、国土交通省は、2009年10月より、住宅事業者には10年間の瑕疵に関する資力確保として、保険加入または供託金という方策を義務化したのです。

これが住宅業界において正しい保険制度であることを覚えておいてください。    

具体的に住宅瑕疵担保履行法とは、新築住宅の引き渡し後10年間に限り、欠陥(瑕疵)が見つかった場合、建設業者や宅建業者(売主)が無償補修などの責任を負う制度です。

【瑕疵保険の対象となる部分】

  • 構造耐力上主要な部分:基礎、土台、柱、梁、床、小屋組など
  • 雨水の浸入を防止する部分:屋根、外壁、開口部(窓やサッシ)など

さらに、事業者が倒産した場合でも、消費者は「瑕疵保険」や「供託金」により確実に補修費用を回収できるという制度ですが、これは、万が一、施工や販売を行った事業者が倒産等で補修を行えなくなった場合でも、買主は保険法人に対して直接「保険金」を請求し、補修費用に充てることができるのです。

正しい知識で基礎的なリスク回避を

このように、民間の保証サービスの聞こえは良いのですが、非常にグレーな要素を含んでおり、限定的な保証要件に該当しない限り、中々お客様が期待する措置や対処につながらないケースがあるという事を覚えておきましょう。

住宅を購入する際、法律で義務化されている「住宅瑕疵担保履行法」に基づく瑕疵保険と、住宅ローン利用時に原則として加入が必須(※)である火災保険があれば、基礎的なリスク回避は十分に備えられています。
※火災保険は法律上の義務ではないため現金購入時は任意ですが、ローンを組む際はほぼ必須となります。

これに加え、さらに手厚い民間の保証サービスを吟味される場合は、費用対効果や保証範囲をしっかり内容を確認し、納得した上で選択される事をお勧めします。

一生に一度の大きな決断時に、営業トークをそのまま受け入れるのではなく、その中身を正しく理解し、契約前に条件を細かく確認することが重要です。

納得のいく選択のために本記事が少しでも参考になれば幸いです。