「家づくりの哲学」第1回では、家づくりの大前提として知ってほしいポイントと、消費者自身が住宅会社を見極める目を持つことの重要性についてお伝えしました。そして「じゃあ、どんなところで具体的に見極めたらいいの?」という疑問にお答えしていくことをお約束しました。
見極めのポイントを知るには、まず「何が起こり得るのか」を知ることが大切です。
そこで第2回の今回は、私自身のセカンドハウスを建築した際の実例をご紹介します。
「有名建築士事務所のデザイン力」「地域工務店の施工力」そして「現場監査士による監視の目」と、三重のチェック体制があったにもかかわらず、68ヶ所もの不備が発見されました。
その背景には「施工管理」と「工事監理」に関する、業界固有の課題がありました。
「プロに任せれば大丈夫」という思い込みが、いかに危険か。この実体験を通じて、皆さまが本当に注目すべき「見極めポイント」をお伝えします。
家づくりの哲学#1「住宅会社の実力の差は、一旦どこで生まれるのか?」はこちら
建築士とつくる理想の家、そしてプロが感じた一抹の不安
今から8年前。私自身のセカンドハウス計画を「建築士とつくる家」をコンセプトとしたある中堅建築士事務所と進めることになりました。
30歳で初めてマイホームを建築し、今回は2回目だったこともあって、妻の要望を中心にセカンドハウスらしいオシャレなデザイン住宅を計画したのです。
思い起こせば、初回のプランニングはやはり我々では創造できない感性が発揮された魅力ある提案でした。妻も含めて「ここで、是非お願いしたいね!」と気持ちが揺らぎ、契約をしたのです。1年くらいの期間をかけ、間取りや外観、そしてあらゆる素材にもこだわり、家具や照明まで、隅々に渡って仕様決めをした事を鮮明に覚えています。
私が本職としてひとつ気になっていた事は、設計事務所に依頼した場合には、建築地に近い指定工務店に振り分けられ、その工務店で建築しなければならないという事でした。つくるのは地域工務店。そして設計事務所は、あくまで設計業務。その実施連携に少なからずリスクを感じておりました。
本来、設計の役割とは、基本設計及び実施設計と建築士法に基づく工事監理業務です。工事監理とは、建築士が施主の代理人として、設計図書通りに工事が実施されているかを監理監督する事を指します。
一方で施工管理は工務店に委託されるため、現場監督が各種職人の施工におけるマネジメント業務を行う現場責任者となり、工事進行の総責任者として進めていく役割を担います。
請け負う工務店も、施主がたまたま住宅検査会社の社長という事を知らされていただけに気の毒な部分もありましたが、施工管理も、現場監督さんを中心に、丁寧に一生懸命頑張って工事を進めてくれたのも事実でした。
しかしながら私は敢えて、弊社NEXT STAGEの第三者ヒンシツ監査(※)を10工程導入を条件に設計及び請負契約をさせていただきました。
※第三者ヒンシツ監査とは
ネクストステージ社が提供するサービスであり、後戻りできない最大10工程のタイミングにおいて、施工の品質状況を同社が認定する現場監査士によって現地にて評価する、業界でもワンランク上の第三者検査サービスです。
68ヶ所の是正措置が物語る、住宅業界の現実
ここからが皆さまに知っておいていただきたい大切な部分なのですが、先に結論を言っておくと、一生懸命に頑張って頂いた現場監督さんや職人さんには申し訳なかったのですが、第三者ヒンシツ監査の結果では、68ヶ所の不備や不具合による是正措置がありました。
例えば、釘やビスの打ち漏れ、使用予定だった資材の寸法違いなど、細かな施工ミスがいくつか確認されました。ただ、自邸ではあらかじめヒンシツ監査を導入していたため、そうした不備が見つかった箇所はその都度是正し、確認をしたうえで次の工程へ進むことができました。
さらに言えば、現場で是正できるレベルの不備だけでなく、計画段階に起因する問題もありました。敷地内の排水計画がずさんで、最終的には排水管を外壁周りに設置するなど、実際に施工するフェーズにおいては、あらゆる納まりが上手く行かなかったのが現実でした。
実は、これまでの打ち合わせ段階で、設計事務所との最終図面を確定するまでには色々と課題があったのも事実です。
意匠設計を得意とする建築士であっても、現場の納まりが理解できない人や、常に施工管理を経験していても、法令認識や正しい施工品質に関する理解まで至らず、自己流の経験値しか持ち合わせていない現場監督など、この現状が、今の業界の現実なんだろうと改めて実感しました。
これは住宅業界に限った話ではなく、他業種でも同じことが言えると思います。素晴らしい内科医であっても、眼科の事は理解できないでしょうし、和食の達人であってもフランス料理の事はイマイチ理解できないのと同じです。
私が自分の会社のサービスを敢えて導入した動機も「正しい施工が間違いなく完結することは、人が携わる以上決してあり得ない」という事を既に理解していたからです。不備や不具合が仮に生じても腹も立たないですし、不審にも思わなかったのです。
不具合を前提とした品質管理こそが、最大の防御策
大切な事は、人が作業をする限り不備や不具合が出ることが当たり前で、問題はその場で発見し、適切に是正措置を施して前に進めてさえいれば、不良な住宅は決して建たないというロジックを知っていたからです。
現在の住宅業界の現状は、まず設計を行う建築士が建築士法に基づく工事監理という仕事を形式だけで済ましてしまうケースも見受けられ、スキルが至らない分を外注に丸投げするなど、適正な措置がしっかりと行えるだけの技能や人材確保が困難であることが事実です。
さらに、その作った図面を施工管理部門へ委託し、体系的な施工管理の仕組みがないまま現場監督が属人的に管理しているということも、厳しい実態であります。
本来、工事監理と施工管理が互いに牽制し合いながら工事を進めることが基本のやり方なのですが、残念ながらそのような体系を構築し、機能させている住宅会社は国内でも非常に少ないと思われます。
そのためにも実際に建てる際に、しっかり品質管理を行っておくことが、何よりユーザーにとっての最大の有効な防御策と言えるでしょう。
私自身、セカンドハウスとなる自邸ではヒンシツ監査を導入していたため、不備があればその都度是正し、確認をしながら工事を進めることができました。結果として、致命的な問題を残すことなく、安心して家を完成させることができたと感じています。