「家の着工が半年以上遅れている」「建築の途中で建築会社が廃業してしまった」そんなショッキングなトラブルが、今、家づくりの現場で現実に起き始めています。
背景にあるのは、大工や職人の急速な減少と、それに拍車をかける「2025年問題」。こういった問題を知らずに家づくりを進めてしまうと、せっかくの夢のマイホームが「予定通りに建たない」「完成しても品質に不安が残る」といった事態に直面する可能性があるのです。
本記事では、大工や職人が不足している背景と、それによって生じるリスク、さらにこれから家を建てる人が知っておくべき対策について解説します。家づくりやリフォームで後悔しない選択をするために、ぜひ最後までお読みください。
夢のマイホームがいつまでも夢のまま?背景にある「2025年問題」
土地を購入し、マイホームの建築を依頼したにもかかわらず、「半年経っても着工の目処すら立たない」「建築の途中で工務店が廃業してしまい、放置されている」そんな事態が全国各地で起きています。
この状況の裏側にあるのは、「2025年問題」による人手不足です。大工や職人の不足により、家を建てること自体が難しい時代がすぐそこまで迫ってきています。
2025年問題とは、日本の少子高齢化が急速に進むことで、社会全体に大きな影響が及ぶとされる節目の年のことを指します。具体的には、国の推計によると、2025年には 国民の約5人に1人が後期高齢者(75歳以上)、さらに約3人に1人が65歳以上 になると言われています。
※出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
この変化は医療・介護の分野だけでなく、建設業界にも直結します。現場を支えてきた団塊世代の大工や職人が一斉に引退し、若い世代が十分に育っていないため、深刻な人手不足に拍車がかかると予測されています。
実際に日本建設業連合会のデータを見ても、建設業では55歳以上の割合が他の産業に比べて圧倒的に高いことがわかります。つまり建設業界は、他業界よりも早いスピードで高齢化の波が押し寄せているといえるのです。
出典:日本建設業連合会「建設労働」
特に住宅業界では、経験豊富な職人が減ることで工期の遅延や施工品質の低下、さらには現場の工事を担う工務店の廃業増加といったリスクが高まると懸念されています。
実際に、かつて全国に約94万人いたと言われる大工の数は、現在では約30万人と、実に3分の1まで減少しています。さらにこのままの状況が続けば、20年後には約10万人にまで激減すると予測されています。
このような人手不足の問題は、これから家を建てる“あなた自身”にも深く関わる大きな課題です。
では具体的に、家づくりにおける影響やリスクを見ていきましょう。
出典:国土交通省「大工就業者数の推移」
大工・職人不足が及ぼす家づくりへの影響とリスク
①業務の属人化による、工期の遅延
建築現場では、熟練した大工や職人にしか対応できない作業が多く、業務の属人化が深刻です。そのため、どうしても特定の人に仕事が集中してしまい、その人がいないと工事がスムーズに進まないことも少なくありません。
その結果、工事が遅れてしまうこともあり、家を建てる施主にも負担がかかってしまうことがあるのです。
②人手不足による建築会社の倒産
建築業界では高齢化が進み、多くの職人や従業員の退職が見込まれています。加えて、働き方改革や若手人材の不足も重なり、人手不足が原因で倒産する建築会社が増加しています。実際、建設業の倒産件数は3年連続で増加しており、2024年には大工工事・電気工事の倒産件数が、過去10年間で最も多くなりました。
出典:帝国データバンク「建設業倒産調査」
③無理な工期と人手不足による施工トラブル
人手不足のなか、一人の職人が複数の現場を掛け持ちするケースも少なくありません。さらに、引き渡し日はあらかじめ決まっているため、現場では毎日が時間との戦いです。
本来なら、余裕を持った工期の中で丁寧な施工と第三者チェックが行われるべきですが、特定の職人に仕事が集中することで、その体制が崩れてしまうこともあります。その結果、施工のミスが見過ごされたまま工事が進んでしまうこともあるのです。
家づくりは、適切なタイミングでチェックをしなければ、施工不備に気づくことは難しいものです。完成後に問題が発覚してしまっては、手遅れになることすらあります。
不安を抱えるだけでなく、少しの工夫や備えでリスクをぐっと減らすことができます。家づくりを後悔しないために、今からできる対策を一緒に考えてみましょう。
施主にできる「後悔しないための対策」とは?
職人不足や建築会社の廃業リスクは、個人にはどうしようもない社会問題です。それでも、「どの会社を選ぶか」や「家づくりをどう進めるか」によって、リスクをできるだけ小さくすることは十分に可能です。
①家づくりのマニュアル(基準)がしっかりと設けられているか確認する
実は、家づくりの現場では施工基準をきちんと定めていない建築会社が多いのが現状です。熟練した職人さんに頼り切りになってしまい、「その人がいなければ施工ができない」ことや、「その人でないと施工の正しさを判断できない」といった状況も少なくありません。
だからこそ、建築会社を選ぶときは、法令だけでなく自社の施工基準をしっかりと持ち、誰でも同じ品質で施工できる体制を整えている会社を選ぶことが大切です。
②安心できる「現場の見える化」がされている建築会社を選ぶ
今後ますます重要になるのが、「現場の品質が見える会社」かどうかです。
施工状況を写真や動画で共有してくれる、第三者の品質チェック(任意)を導入している、職人との関係性をオープンにしているなどの対策をしている会社であれば、属人化や施工ミスを防ぐ体制が整っている可能性が高いといえるでしょう。
③無理なスケジュールに注意!工期の余裕がもたらす安心感
人手不足の中で工期を詰め込みすぎると、ミスが起こっても気づかれずに家が完成してしまうことも。
契約の際には、なぜその工期になっているのか、スケジュールに余裕があるかどうかをしっかり確認することが大切です。
引っ越しのタイミングや今のお住まいの更新などで急ぎたいお気持ちもよくわかりますが、無理のない工期設定が安心できる家づくりには欠かせません。
④長く安心して任せられる会社の見分け方
家づくりを任せる会社を選ぶときは、施工力だけでなく、その会社の経営基盤や人材育成の仕組みもしっかりチェックしましょう。
例えば、「若手職人の育成や技術の継承がきちんとできているか」「自社の大工さんがいるか」など、長く安心して付き合える会社かどうかを見極めるポイントになります。
完成後もお付き合いは続く。アフターサポートの確認で安心を持続
家づくりは「引き渡しをもって終わり」ではありません。実際には、住み始めてからが本当の意味での「建築会社とのお付き合い」の始まりと言えます。家は長く住む場所だからこそ、メンテナンスや不具合の対応やリフォームなど、建てた後もさまざまなサポートが必要になるからです。
だからこそ、建築会社を選ぶ際には「建てるまでの対応が良いか」だけでなく、「建てた後も安心して相談できる体制が整っているか」「アフターケアが充実しているか」までしっかり確認することが大切です。
そうした会社を選ぶことで、長いお付き合いの中でも安心して暮らし続けることができるでしょう。
会社選びに役立つチェックリストを活用して、ぜひ素敵な出会いを見つけてください。
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