リフォームやリノベーションは、住まいを自分らしく、より快適に変えていくワクワクするプロセスです。しかし、実際には「思った通りの家にならなかった」「想定以上にコストがかかった」「工期が延びた」といったトラブルも起こり得ます。特に初めてリフォームを検討する方は、どの会社に相談すればよいか、担当者との信頼関係をどのように築いていけばいいのか、迷うことも多いでしょう。

そこで本記事では、京都で宮大工として修行を積み、現在はさまざまな企業の建築基準づくりにも関わる小酒に取材を行いました。豊富な経験をもとに、現場で起こりやすいトラブルや、安心してリフォームを進めるための具体的な工夫を整理してご紹介します。

この記事を読むことで、初めてリフォームを検討する方でも、会社選びのポイントを理解し、快適で安全な住まいを長く守る第一歩を踏み出せます。

肩書 小酒 徹也
大学院修了後、京都で5年間宮大工として修業し、木造建築の基礎を学ぶ。一級建築士を取得後、プレカット会社内の設計事務所で構造・意匠設計の実務に従事。現在は、さまざまな企業の施工基準の作成に携わるほか、現場監督や設計者を対象とした講義で講師を務め、建築業界の人材育成にも尽力している。また、これまでの知見を活かし、リフォーム分野の新サービス立ち上げにも参画し、新築とリフォームの両面で住宅品質の向上に取り組んでいる。

リフォーム・リノベーションの基本と現実的な選択肢

リフォームやリノベーションを検討し始めたとき、最初に「どこへ相談すればいいのだろう」と迷う方は多いのではないでしょうか。ハウスメーカーや工務店、ホームセンター、家電量販店、リフォーム専門業者など、工事の相談・請負のできる会社は数多く存在します。ネット検索をしても情報が多い分、つい営業力の高い業者に流され、後になってトラブルに発展するケースも少なくありません。

こうした状況を避けるために、まず相談をおすすめしたいのが、ご自宅を建築したハウスメーカーや工務店です。引き渡し後も定期点検やアフターサービスなどでつながりがあるケースが多く、設計図や建築履歴といった重要な情報を把握しているため、住まいの構造や特性を踏まえた提案や判断を受けられます。

家は「建てて終わり」ではなく「建ててからが本当のお付き合い」です。信頼できる建築会社に日頃から気になることをこまめに相談しておくことで、安心してリフォームの一歩を踏み出せるはずです。

ただし、すべての方が建築会社と良好な関係が築けているとは限りません。中古物件の購入や、担当者の異動や退職、アフターサービスの体制の違いにより、希望するリフォームの対応が得られないケースもあります。その場合は他の信頼できるリフォーム会社や家電量販店などに相談することも一般的です。実際、施工やコスト、スケジュールの面からリフォーム専門の会社に依頼される方も多いです。

ポイントは、いずれの場合も可能な範囲で建築履歴を整理し、住宅の構造や特性を理解したプロに自分の希望や課題を正確に伝えられる環境を整えることです。こうした準備をしておくことで、安心してリフォーム計画を進めることができ、工事後のトラブルを防ぐことにもつながります。

とはいえ、事前にしっかり準備をしても、実際の相談や工事の過程では思わぬトラブルや認識のずれが生じることがあります。そこで次に、特に注意しておきたいリフォームのトラブルや、依頼時に起こりやすい食い違いの事例について整理してみましょう。

リフォームやリノベーションでよくあるトラブル【4選】

リフォームやリノベーションを行うにあたって「実際に起こりやすいトラブル」は実はあまり知られていません。しかし、施工前の希望や伝え方が不十分であったり、業者との認識のズレから、完成後に「思っていたのと違う…」という事態が起こることも多くあります。

ここからは、特に相談や依頼の段階で気を付けておきたいポイントや、トラブルに発展しやすい事例を整理して紹介します。事前に知っておくだけで、実際の進め方が大きく変わります。

  1. 希望内容や、予算の伝え方があいまい
    どこをどう変えたいのか、予算はどれくらいなのかをあいまいに伝えてしまうと、プランニング内容に相違が生じたり、予算オーバーにつながることがあります。自分たちの理想の住まいを具体的に想像し、細かく整理して伝えることが大切です。プロだからと任せきりにせず、希望を正確に伝えることで、思い描いた住まいにより近づけるでしょう。

  2. 色やデザインが、想定していたものと異なる
    カタログやサンプルだけで色やデザインを伝えてしまうと、完成後にイメージと大きく異なることがあります。特に元のデザインから大幅に変更する場合「想像より色が濃い」「インテリアと馴染まない」といったギャップが生まれ、後悔につながることも少なくありません。とくに、壁紙の張替えでは、小さなサンプルでは好みに見えた色でも、壁一面に張ると印象が変わることがあるため注意しましょう。
    理想の色や雰囲気は、写真や画像などで具体的に共有するほか、ショールームに足を運び、実物を確認してみるのもおすすめです。こうした工夫で、イメージの差を最小限に抑えることができます。

  3. 工事対象の範囲や仕様の確認不足
    「ここも一緒に直してくれると思っていたのに対象外だった」「追加料金が必要だった」など、契約やサービスの認識の違いによるトラブルが起こり得ます。口頭確認だけではなく、書面や現地でしっかりと確認を行い、曖昧な点は事前に質問・調整しておくことが大切です。

  4. 工期や引き渡しスケジュールの誤解
    工事期間や引き渡し日を正確に把握していないと、生活準備や荷物移動でトラブルが生じることがあります。工期の延長はリフォームではよくあることで、完全に避けられるものではありません。そのため、追加工事の可能性や、多少の変動を見込んだ余裕のあるスケジュールを立てておくことが大切です。

これらのポイントを整理してみると、結局すべてに共通して重要なのは「担当者とのコミュニケーション」です。希望やイメージ、予算や工期のすり合わせなど、些細な認識のズレもトラブルにつながりやすいため、信頼できる担当者との密なやり取りが何よりも大切です。
では、安心して任せられる会社とはどんな会社でしょうか。

もしかして、こんな会社を選びそうになっていませんか?

リフォームやリノベーションを安心して進めるためには、会社選びは非常に重要です。特に注意したい会社の特徴は次の通りです。

  1. あいまいな返答が多い
    「大丈夫だと思います」「確認しておきます」といった、ふんわりした回答ばかりで、後から連絡がない。
    対策:質問や確認事項は書面やメールで残し、返答が曖昧な場合は必ず再確認しましょう。

  2. 見積もりが相場よりも大幅に高いor安い
    相場から大きくずれた価格は要注意。価格の根拠が不明瞭だとトラブルにつながりやすい。
    対策:相見積りを取り、内訳や工事内容の根拠を確認しましょう。

  3. コミュニケーションが一方通行
    話を聞いているつもりでも、営業トークに流されて自分の希望や疑問が伝わらない。
    対策:重要な希望や条件は口頭だけではなく、書面や写真で共有してもらいましょう。

  4. 現地確認・実物確認が不十分
    営業担当者だけで現場調査を行い、知識のある担当者が同席しない。また、ショールームや実物の確認の調整をしてくれない。
    対策:現地調査には施工担当者の同席を依頼し、実物確認の希望も事前に伝えましょう。

  5. 契約を急かす
    「今日契約するなら割引します!」「早急に直さないと危険です」などと、強引に契約を迫られる。
    対策:契約前に内容を十分確認し、不明点は持ち帰り検討する時間を確保しましょう。
    リフォームやリノベーションで後悔やトラブルを防ぐためには、会社選びと担当者とのやり取りが非常に重要です。信頼できるプロとなら、工事後も気軽に相談でき、将来的なメンテナンスや追加リフォームもスムーズに進められます。ここでの選び方が、快適で安全な住まいを長く守る第一歩となるのです。

しかし、安心できる会社や担当者を見つけたからといって、リフォームがすぐに完了するわけではなく、いくつかのステップを経て工事が始まります。

新築住宅と同じように、順序や各段階での注意点を押さえて進めることで、希望通りの住まいに近づけることができ、生活への影響も最小限に抑えられます。ここからは、リフォーム・リノベーションの基本ステップを順に確認していきましょう。

実は新築住宅とほぼ同じ!リフォーム・リノベーションの基本の7ステップ

リフォームやリノベーションでは、新築住宅の建築と同じように、いくつかのステップを踏む必要があります。新築住宅ほど決めることは多くありませんが、これからも家族が暮らし続ける大切な空間ですので、順序と各ステップでの注意点をしっかり押さえて進めていきましょう。

①相談・情報整理

  • 建築会社やリフォーム会社に相談
  • 過去のやり取りや建築履歴、希望を整理して伝える

▶ワンポイントアドバイス
希望や条件があいまいだと後のプランニングで誤解が生じやすくなります。できるだけ具体的に伝えましょう。

②現地調査・ヒアリング

  • 専門家が住まいの状況を確認
  • 希望やライフスタイル、予算などを詳しくヒアリング

▶ワンポイントアドバイス
現地調査では営業担当だけでなく、知識のある技術者にも同席してもらうと、工事開始後のトラブルを防ぎやすくなります。

③プラン提案・見積もり

  • 改修プランや施工方法の提案
  • 費用、スケジュールの見積もり提示

▶ワンポイントアドバイス
相見積もりをとって価格を比較しましょう。安すぎても高すぎても理由があるはずなので、納得できる根拠を必ず確認することが大切です。

④契約・詳細打ち合わせ

  • 契約内容の確認と合意
  • 細かい仕様や工事スケジュールの最終調整

▶ワンポイントアドバイス
契約後は後戻りしにくいため、①〜③を十分に済ませてから契約に進みましょう。特に設備交換の場合は仕様に誤りがないか要チェックです。

⑤施工

  • 工事開始(大型のリノベーション工事であれば、定期的な進捗確認)
  • 問題が発生した際は都度対応

▶ワンポイントアドバイス
基本はプロに任せてOK。ただし気になることがあれば遠慮せず確認すると安心です。

⑥工事完了・引き渡し

  • 完了後の確認、必要に応じた手直し
  • アフターサービスや保証内容の確認

▶ワンポイントアドバイス
引き渡し時に気になる点は必ず伝えましょう。後から指摘すると保証対象外になる場合があります。

⑦アフターサポート

  • 修繕箇所の定期点検や不具合の対応

▶ワンポイントアドバイス
住まいのメンテナンスは今後も続くもの。小さなことでも気軽に相談できる関係を築いておくと安心です。

基本ステップを押さえたら、次に確認しておきたいのが「工事にどのくらいの期間がかかるのか」という点です。リフォームの内容や規模によって日数は大きく変わるため、事前に目安を把握しておくことで、生活への影響を最小限に抑えることができます。

意外と見落としがち!暮らしに影響する「工事期間」の目安

リフォームやリノベーションは、工事の内容や規模によって期間が大きく変わります。小規模な設備交換であれば数日で完了しますが、間取り変更などの大規模な施工となると数週間〜数か月に及ぶこともあります。

また、工事期間以外にも現地調査やプラン提案、相見積もり、契約の準備といったプロセスに必要な期間も考慮しておきましょう。

例えば現地調査は1日〜数日、プラン提案や見積もり作成には1週間程度、相見積もりの比較にはさらに1〜2週間ほどかかることもあります。契約に向けた調整や最終確認も数日〜1週間程度は見ておくと安心です。

これらを踏まえると、現地調査から契約、そして施工開始までで、全体でおおむね2〜4週間程度を目安にスケジュールを組むとスムーズです。生活への影響を最小限に抑えるためにも、事前に工期の目安を把握し、仮住まいや荷物の移動、日常生活の調整などを計画しておくことが大切です。

同じ工事内容でも、建物の構造や規模、施工会社の体制によって工期は変わります。そのため、見積もりの際には金額だけでなく「なぜこの期間なのか」を確認しておくことが大切です。

さらに、工事が始まると古い設備を外した際に想定外の構造が見つかり、追加作業が必要になることもあります。その結果、工期が数日延びるケースも珍しくありません。工期はあくまでも目安であり、多少の変動があるものと理解しておくことが大切です。あらかじめ余裕をもったスケジュールを立てておけば、生活への影響も少なく安心です。

ずっと頼れる、住まいのパートナーを見つけよう

リフォームやリノベーションを安心して進めるには、信頼できる会社と担当者選びが何より大切です。希望や予算、工期を丁寧に伝え、こまめに確認しながら進めることで、工事後も気軽に相談でき、将来的なメンテナンスや追加工事もスムーズに行えます。

事前の準備や確認をしっかり行えば、思わぬトラブルを避けながら、理想の住まいに近づけることができます。こうした積み重ねが、快適で安全な暮らしを長く守る第一歩となるのです。