家づくりを考え始めたとき、多くの方がまず比較するのは、立地や間取り、価格といった分かりやすい条件です。一方で、完成したあとや住み始めてから初めて気づく違いが、確かに存在します。

それは、図面やカタログでは見えにくい、家づくりの「中身」の部分。住宅会社ごとの考え方や判断の積み重ねが、現場の一つひとつに表れ、住まいの品質に影響していきます。

Housing journeyでは、そうした表に出にくい部分こそ、家づくりを考えるうえで知っておいてほしいポイントだと考えています。そこで、住宅品質の現場に長年向き合ってきたNEXT STAGE代表・小村直克による連載コラムをスタートします。

本連載では、日々の現場で感じてきたことや、業界の中に身を置くからこそ見えてくる視点をもとに「良い家づくりとは何か」「住宅会社を見極めるうえでの判断軸」などを、代表の言葉でお届けしていきます。

第1回目のテーマは「住宅会社の実力の差は、一体どこで生まれるのか?」です。

家づくりの「中身」を知るきっかけとして、本コラムをお読みいただければ幸いです。

35年、業界の現場を見続けてたどり着いた結論「つくる力」

これから家づくりを検討していく中で、自分たちの理想のマイホームを実現してくれる住宅会社は一体どこなんだろうかといろいろ悩まれることだと思います。私もサラリーマン時代はハウスメーカーで営業を経験し、そして建販商社で多くの地域工務店を長きに渡ってご支援してきたことから、国内の住宅会社の実態というものを数多く見てきました。

そして私自身がこれまで業界を35年見てきた1つの結論として「つくる力」というものが一過性では習得できない希少な能力であることを実感し、何より製造力こそが住宅会社の圧倒的な競争優位性であることに気づいたのです。

家づくりを検討されるお客様ごとに実現したい要件は十人十色です。例えば、立地条件や子供たちの通う学区、デザインや間取り、そして性能や機能性など、人の価値観によって優先する順位も当然変わってきます。ただこれらは、つくる前に住宅会社側からのメッセージやSNS発信情報や商品カタログ、また展示場や見学会などに赴くことで、一定程度の情報を得ることができます。

私がまず伝えたい、家づくりの大前提

ここで皆さんに大前提として知っていただきたい大切なことが2つあります。

1つ目は、皆さんが求める様々な要件は、あくまで建てる前の計画上の想定であるということです。例えば「当社の住宅は、耐震等級3の耐震性の高い住宅です!」と言われても、未来に建つ住宅が、本当に実質性能として発揮されているか否かは誰もわからないですし「万全のアフターサービスを約束します!」といっても、本当に点検やメンテナンスを十分に実施してくれるかもわからないということです。

つまり、ほとんどが計画上の名目値で語られていることが業界慣習になっていることを、覚えておいて頂きたいのです。

2つ目は、仮にどんな住宅会社選びをしたとしても「建ってしまった住宅」と「組んでしまった長期の住宅ローン」の2つしか、結果的に残らないという現実です。少し不安を煽ってしまう表現なのかもしれませんが、住宅産業こそ一回性産業といって、一生に一度しか経験できない決断だからこそ、きっと皆様もいろいろと勉強しようとするのだと思います。

昨今、多くのSNSやYouTubeを見られる方も多いと思いますが「失敗しない家づくり」という多くのコンテンツも存在しますが、ほとんどが性能や機能性などを主に語る魅力的な内容が多いように思いますが、これらは全て、計画上間違いなく建築された場合の性善説でしかなく、実際の現場では、設計や仕様で定められた内容が、すべての工程で完全に同じ形で再現されるとは限らないのです。

全国の住宅施工現場において、当社サービスの第三者ヒンシツ監査を実施する現場監査士にアンケートを実施すると、多くの現場で何らかの指摘や確認事項が見つかっているという結果が出ています。特に職人不足、職人の高齢化、またスキル不足といった製造資源の脆弱化から、計画通りの住宅を建てることが非常に困難になってきているのです。

また冷静に考えてみてもわかるように、半年近い工期の中で、仮設工事から外構工事まで約30種近い各工事の職人たちが、一度もミスなしで、人がしっかりと完成させるということをイメージしてもらってもわかるように、おそらく考えられないくらいの確率でしか建たないことがイメージできるはずです。その各々の仕事のバラツキをどれだけ軽減させながら、しっかりと修正して前に進められるかという品質管理体制こそが特に重要となるのです。

長期保証がついているから安心!地域密着、責任施工だから安心!耐震等級や省エネ等級が高いから安心!などは、あくまで一つの説明であり、それだけで安心できるかどうかは別の視点が必要です。皆さんが見抜いてほしいことは、それを実現できる社内管理体制がどれだけ高いレベルで整っているかどうかや、組織として仕組みがあるかどうかを、是非見極めていただきたいのです。

「じゃあ、どんなところで具体的に見極めたらいいの?」というようなポイントを、今後皆様にいろいろとお届けできたらと考えています。