家づくりを進めていると「瑕疵保険(かしほけん)」や「住宅瑕疵担保履行法」という言葉を耳にすることがあります。住宅会社から説明を受けたり、契約書で目にしたりする機会もあるでしょう。

しかし、それぞれの内容を正しく理解している人は多くないかもしれません。

実はこの制度は、新築住宅に欠陥や不良(瑕疵)があった場合に、住宅購入者を守るために作られた重要な仕組みです。住宅会社には、この法律に基づいて「瑕疵保険への加入」または「保証金の供託」が義務付けられています。

この記事では、初めて家づくりをする方に向けて、

  • 住宅瑕疵担保履行法とは何か
  • 瑕疵保険の仕組み
  • 瑕疵保険の検査で確認される内容
  • 住宅品質の確認との違い

を、できるだけわかりやすく解説します。家づくりを安心して進めるためにも、まずはこの制度の基本を知っておきましょう。

住宅における瑕疵とはなにを意味している?

まず大前提として、瑕疵(かし)とは、本来備わっているべき品質や性能、状態を満たしていないことです。住宅における瑕疵とは、次のような重要な部分において、本来備わっているはずの品質や性能に欠陥や不具合がある状態を指します。

  • 構造耐力上主要な部分(柱・梁・基礎など)
  • 雨水の侵入を防止する部分(屋根、外壁など)

こうした住宅の重要な部分に不具合があると、建物の安全性や耐久性に大きく影響する可能性があります。そのため、法律や保険制度においても特に重要な対象として扱われています。

瑕疵保険とは?住宅購入者を守るための制度

瑕疵保険とは、正式には「住宅瑕疵担保責任保険」といい、住宅に欠陥や不良(瑕疵)があった場合に備えるための保険制度です。

構造の主要な部分や防水に瑕疵が見つかった場合、住宅の引き渡しから10年間は、補修費用が原則として住宅会社に支払われます。

また、住宅会社が倒産した場合でも、施主は保険法人へ直接保険金を請求できる仕組みとなっています。

つまり瑕疵保険は、万が一瑕疵があった場合に住宅購入者を守るための制度といえます。

国土交通省の資料によると、住宅瑕疵保険の事故率は年間約0.05%、10年間の累計でも約0.5%とされています。これはおよそ200棟に1棟程度の割合です。(※)
出典:国土交通省「住宅瑕疵保険に関する参考資料」

保険事故の内容を見ると、その9割が雨漏りなどの防水に関する不良となっています。

この制度の背景にあるのが「住宅瑕疵担保履行法(じゅうたくかしたんぽりこうほう)」という法律です。次に、この法律がなぜできたのかを見ていきましょう。

なぜ瑕疵担保履行法ができたのか

住宅は多くの人にとって人生で最も大きな買い物のひとつです。

しかし過去には、住宅に重大な欠陥・不良が見つかっても

  • 施工会社が倒産してしまった
  • 補修費用を請求できない

といったトラブルが問題となりました。

こうした事態から住宅購入者を守るために整備されたのが、住宅瑕疵担保履行法です。

ここで合わせて知っておきたい法律が、品確法(住宅品質確保法)です。

品確法では、新築住宅に瑕疵があった場合のルールが定められています。具体的には、構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分に瑕疵があった場合、住宅会社が10年間の瑕疵担保責任を負わなければいけません。一方で、住宅瑕疵担保履行法は、この責任を確実に履行できるようにするための制度です。

この2つの法律により、住宅会社は瑕疵保険の加入もしくは保証金の供託(※)のいずれかを行うことが義務づけられました。

※供託制度とは
住宅事業者が法律で定められた額の保証金をあらかじめ法務局などの供託所に預けておく制度

どちらも、住宅に欠陥・不良があった場合に補修費用を確保できるようにすることを目的としています。

では実際に、この保険制度の中でどのような検査や確認が行われているのでしょうか。

瑕疵保険は施主を守る「最低限」の仕組み

新築住宅では、一般的に次のような流れで瑕疵保険に加入します。

  1. 住宅会社が保険を申し込む
  2. 建築現場で保険法人の検査員による検査
  3. 住宅が竣工
  4. 引き渡し日時が確定し、保険付保証書が交付される

このように、単に申込をすれば加入できるわけではなく、建築現場での検査を受けることが条件となっています。その検査のタイミングは以下の通りです。※検査回数やタイミングは保険法人や工法によって異なります。

  • 基礎配筋時
  • 構造躯体時
  • 防水工程(オプション)

また、瑕疵保険では、主に次の部分が検査対象となります。

引用:国土交通省「住宅の新しい保険をごぞんじですか?」住宅瑕疵担保履行法消費者向けパンフレット(保険編)(PDF)より

対象の部分を見ると、しっかり検査がされているように感じ「これだけ確認してもらえれば安心」と思われる方も多いでしょう。

しかし、この制度はあくまで万が一の欠陥・不具合に備える保険制度であり、住宅品質そのものを保証するものではありません。

瑕疵保険の検査基準は、主に建築基準法のレベルや、一般的に用いられている防水仕様などをもとに定められています。そのため、検査内容は住宅全体の施工品質を細かく確認するものではなく、比較的限定的な確認にとどまります。

つまり、

  • 住宅全体を細かくチェックするものではない
  • すべての施工不良を見つけるものでもない

という点を理解しておく必要があります。

瑕疵保険は住宅のすべての不具合を保証する制度ではないことは理解いただけたと思いますが、主に対象外になるものには次のようなものがあります。

  • 内装仕上げの不具合(クロスの浮き)
  • キズや汚れ
  • 建具の不具合
  • 設備機器の故障
  • 経年劣化

このように、日常生活の細かな不具合や経年劣化は含まれていません。

ですが、実際に住宅トラブルに関する相談は、年間約3万件以上寄せられており、そのうち新築住宅だけでも1万件以上の相談があります。(※)そういった相談では構造や防水に関わる部分だけでなく、この対象外となる範囲の相談が多いのも事実です。
(※)出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理センター「住宅相談統計年報2025」

このような背景からも「瑕疵保険の検査を受けているので安心」と説明されることがあります。ただし、瑕疵保険の検査と、ホームインスペクションなどの住宅検査では目的が違うことを理解しておくことが重要です。

その検査だけで本当に大丈夫?住宅の品質を守る「住宅施工セカンドオピニオン」

瑕疵保険は、住宅に重大な欠陥が見つかった場合に住宅購入者を守る重要な制度です。しかし前述の通り、瑕疵保険の検査はあくまで保険加入のための確認であり、住宅全体の施工品質を細かくチェックする仕組みではありません。

そこで近年、住宅の品質をより確実に確保するための方法として注目されているのが、第三者による住宅検査です。このメディアを運営するNEXT STAGEでは「住宅施工セカンドオピニオン」と呼んでいます。

住宅施工セカンドオピニオンとは、第三者の立場で、住宅が完成するまでを伴走するサービスです。

トラブルが起きてから不具合を調査するインスペクションとは異なり、施工中からチェックを行うことで、トラブルが起きにくい住宅づくりをサポートすることを目的としています。

主な内容は次の通りです。

  1. 施工品質の確認(第三者監査)
    住宅事業者が設計図書や施工基準に基づき、適切な方法・手順で施工を行っているかを、適切なタイミングで第三者の視点から確認します。

    設計図書に記載されている内容だけでなく、ビスの抜け漏れがないか、ピッチは守られているかなど、瑕疵保険の検査ではカバーしきれない部分を認定現場監査士(※)が確認します。監査の結果は「現場監査記録書」としてご確認いただけます。

    ※認定現場監査士とは
    NEXT STAGEが定める独自のカリキュラムを受講し、認定試験に合格した人のみに付与される資格で、施工会社とは異なる立場から住宅品質を確認する「第三の目」としての役割を担う外部の専門家です。

  2. 専門家への相談窓口
    工事の進行に伴う疑問や不安に対して、住宅に関する専門家へ相談できる窓口をご利用いただけます。

  3. 安心して迎える引き渡し
    住宅は、多くの業者や職人の手によって現場でつくり上げられます。そのため、施工ミスを完全にゼロにすることは簡単ではありません。だからこそ第三者の専門家の視点を取り入れることが重要です。施工不良の見落としを防ぎ、必要に応じて是正を行うことで、安心して引き渡しを迎えられる住宅づくりをサポートします。

住宅を守るために正しい知識をミカタに。

住宅は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物のひとつです。だからこそ「どんな制度があり、どこまで守られているのか」を正しく理解しておくことが大切です。

瑕疵保険は、住宅に重大な欠陥や不具合が見つかった場合に購入者を守る重要な制度です。一方で、この制度はあくまで万が一に備えるための保険であり、住宅の施工品質そのものを細かく確認する仕組みではありません。

実際の住宅づくりでは、多くの工程と人の手を経て一つの家が完成していきます。その中で、すべての施工を施主自身が確認することは簡単ではありません。

だからこそ、制度の理解に加えて、住宅会社の品質管理体制や第三者の専門家の視点を上手に活用することが、安心して住み続けられる家づくりにつながります。

これから家づくりを考える方は、制度だけに頼るのではなく「住宅を守るための知識」を味方につけながら、自分たちにとって納得できる住まいづくりを進めていきましょう。

セカンドオピニオンについて詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
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