新卒社員を業界に迎え入れる企業の心得  – NEXT STAGE

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コラム

新卒社員を業界に迎え入れる企業の心得 

今や、企業の最優先課題となった若手採用。

人事戦略として注力される『新卒採用』については、沢山の会社で試みられていると思います。我が社も新卒第5期生として、4月には新たに社会へ羽ばたく人材たちを雇用する季節となりました。今月は、中々若手が根付かない建築業、とりわけ住宅建築業界が、これから迎え入れる新卒社員に対して、どんなスタンスで今後、力強いリソースに転換していけるかというポイントを、コラムで整理して行きたいと思います。

建築業の新卒離職を防ぐための心構え

新卒社員に限らず、大前提として社員の受け入れでは、ウェルカムな社内の雰囲気作りはもとより、OJTやメンター制度などの明確な指導方針、フィードバック重視のコミュニケーション文化の形成、そして会社理念の共有などがポイントなのは、皆様方もご承知の通りだと思います。

言うまでもなく早期離職を防ぎ、そして戦力化するために心理的安全性を確保し、仕事の社会的意義を伝えたいという企業側の表れでもあります。

これらは非常に定性的かつ便利な言葉ではありますが、中々具体的に描くことが難しいので、今回、具体的なポイントを私なりに整理していきたいと思いますので、是非ご活用くださいませ。

新卒育成の要は受け入れ体制

まず、受け入れ環境と心理的サポート面から整理すると、歓迎の雰囲気は当然の事ながらチーム全体で挨拶し、休憩中に声をかけるなど、孤独感を感じさせない環境を作ってあげる事が大切です。

そして、物理的環境の整備としては、デスク、PC、社内のアカウント付与など、早くから業務が始められる準備を整えてあげる事は当然の事ながら、何より当社が来期から重点においていくのは、メンター制度の活用です。

これまで新卒社員の早期離脱が目立つ事から、業務上の指導役(トレーナー)とは別に気軽に相談できるメンターを他部署を含め配置し、不安や悩みを聞き出せる環境整備がとても重要だと考えています。

育成方針の統一が組織を整える

次に、指導方針の明確化と教育についてです。会社が今後指導していく上で、指導担当者によって言うことがバラバラにならないよう、会社として求めるスタンスを全社員で共有する事が重要です。

マニュアルや社内ルールは体系的に指導しながら「なぜこの仕事が必要なのか」という社会的意義や、ミッションやビジョンを伝える目的共有だけは、これからの仕事を行っていく上で大切な動機づけとなりますので、正しく伝え続けていきましょう。

育成の鍵はコミュニケーションとフィードバック

特に今回のテーマの中で、一番重要な事は、コミュニケーションとフィードバックです。体系的には『動機づけ』⇨『定期面談』⇨『フィードバック』の手順なのですが、どうしてもここが作業化し、上手く回らない会社がほとんどではないでしょうか。

例えば、単なる作業の指示ではなく、仕事の背景や誰の役に立つかを伝えるような「動機づけ」が成されているかや、定期的な面談については失敗を恐れず挑戦できるよう、前向きなアドバイスや悩みを聞き出す面談を定期的に行っているかが大切です。

当社では毎月1on1ミーティングを実施していますが、最近のマネージャー研修では、1on1ミーティングを上司の為の指導時間ではなく、社員の為に設定する特別な時間として傾聴を主とするよう指導をしております。

逆にフィードバックについては上司の時間として設定させ、先ずは成果を認め、何ができて、何ができていないのかの改善点を具体的に正しく指導することで、少しでも自信につなげるよう心掛けます。

OJT属人化は標準化で解消

ただ具体的なフィードバックをするには、仕事の分解による型化(標準化)とルール化と可視化が必ず必要となり、この分業の仕組みが無い限り、効果的なフィードバックは実現しません。

ここをどれだけ明確に設定できるかが、結果、今後の個別の学習環境や人事評価まで紐づいてきますので、特にしっかり押さえなければなりません。この仕組みの精度次第で、ほとんど成果の左右が決まってしまうといっても過言ではないでしょう。

現場監督離職の構造的要因

住宅建築業界の特色として、特に技術部門である工務部や設計部に離脱者が多い理由には、仕事に対する役割の動機づけの欠如と、仕事の「型化」「標準化」「可視化」が欠ける点にあります。

例えば、現場監督に、何となく現場の段取りを先輩に帯同させて属人化したOJTで覚えさせたり、DXツールに対して説明もなく強制的に使わせていくことも一例です。

確かに最近では施工管理アプリを導入させ、そこに一定のエビデンスを残させたり、可視化を図ることは進んできましたが、本来の仕事の意味や型化についてはほとんどできていないことが大きな離脱の要因だと感じています。

施工管理の役割を分解しキャリアプランを体系化

工務部の基盤となる施工管理という役割も「品質管理」「安全管理」「環境保全」「原価管理」「受発注管理」「情報管理」「納材管理」という8つのシゴトはありますが、各々の仕事をさらに細分化し、その分解されたタスクに難易度を振り分け、難易度の低いタスクから徐々に難易度の高いタスクへ挑戦していけるようなキャリアプランを体系化しなくてはなりません。

何故ならば、フィードバック時にしっかりとできていることや、できていないことの評価を行いながら、次のチャレンジと指導を繰り返していかねばならないからです。

一定の教育というもので社員全体のレベルが成長することはなく、現在のシゴトのレベルを如何に下げることができるかが、組織力を上げるための仕組み化のポイントでもあります。その仕組みができた上で、様々な各々のレベルに応じた教育が生きてくるということなのです。

職場環境が新卒の定着を左右する

最後に、働きやすい職場作りです。

最近よく言われるワークライフバランスの配慮というものも、Z世代と言われる新卒社員の一定の価値観に対して理解した中で、柔軟な働き方や休みやすい環境などの職場環境の向上に注力することも大切ですし、日々のコミュニケーションの活性化についても、ランチや会話など、カジュアルな関係を築き相談しやすい雰囲気を、マネージャーを中心に意識していく事も大切です。

これらを通じて、新入社員の信頼を得ながら、長期的な成長を促す環境を、各々の会社で創意工夫し構築していきましょう。

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