企画・設計の見直しの必要性も

弊社のデータでは、住宅現場で見つかる不備の要因は、設計・企画によるものが3割程度となっています。現場の不備は職人さんのミスによるものだけではありません。

下の写真は、継手や定着が集中し鉄筋の間隔が十分に確保できていない写真です。

鉄筋の加工や組立て型を工夫することである程度の改善も可能ですが、このような部分ができないような根本的に企画や設計を見直す必要もあります。

「設計者の方も現場をよく知る」ことが重要ですし、このような情報を共有する仕組み作りも大事です。

第三者監査を採用しているビルダーさんは、ネクストステージからのレポートやフィードバックデータをもとに、設計部分にもメスを入れ設計・企画品質の改善に取り組んでいます。

 

 

使う「意味」もセットで落とし込む

スリーブホルダーを使い、ボイド管を設置している写真となります。

住宅会社さんは、「スリーブの周りにしっかりコンクリートを回すため」「鉄筋のかぶり厚を確保するため」にスリーブホルダーを採用しているのですが、今回の現場では横筋にスリーブが触れていました。

住宅会社さんの定めたルールとして、「スリーブホルダーを使用する」ということは職人さんに伝わっているのですが、なぜ使うのかという「意味」を落とし込めていなかったため発生した不備施工事例となります。

住宅会社さんが目的を伝えていなかったのか?協力業者の社長へは伝えていたが、現場の職人まで正しく伝わらなかったのか?意味や目的をしっかり落とし込むことと、その情報が正しく伝達される仕組みも合わせて考慮する必要があります。

 

 

 

『リフォーム産業界に建築技能強化の風』

リフォーム産業界において、やっと建築技能強化の風が新たに吹き出してきた感じがします。

これには沢山の理由がありますが、そもそもクレームが多い業界だけにしっかりと会社全体の技術スキルをあげなければならないという従来の品質改善の流れと、またリノベーションを中心とした増改築物件受注に伴う建築知識の強化も理由の1つです。

特に地域で成長している大型リフォーム会社を中心にこのような動きが出てきており、成長する業績からも新卒雇用に力を入れ出し、それに伴い社員に対してしっかりとした技術的人材育成基盤を作り上げることが急務な環境になってきた事も加速させる理由になってきているようです。

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リフォーム業界は新築をメインとする建築業界とは少し業界構造が違います。

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建築業界は、どちらかというと棟数規模によるセグメントとなり、商品戦略や販売戦略も違って来ますが、リフォーム業界は施工範囲によるセグメントとなり、大きく2つに分かれるのです。

1つは『小単価×数量』を求め、老朽化する機器の取り替えを中心とする機器交換や、クロスやフローリングの張り替えなど、機能的な快適性を向上させる機能改善リフォーム群と言えます。

この企業群は、どちらかというと建築知識がなくとも短い期間でメーカー施工や外注施工を中心に委託し、販売取次業務に近い事業形態で数を回す事から、如何に集客、販売に特化することを戦略に掲げて進めていきます。

一方、環境的な快適性や住み心地を求める性能改善リフォームや、ライフスタイルの改善をする増改築などは、構造躯体を中心に主要構造に携わることから住宅そのものの耐久性に関わる建築事業群となり、ある一定の工事期間をマネジメントする施工管理能力や、既存状況を把握できる建築知識を要する難易度の高い高額な事業となります。

このような系に分かれるとはいえ、ついつい少しでも売上を効率的に上げていく為には高額リフォームへ安易に手を出してしまうリフォーム会社もあり、結果、完工して残す利益よりも、残る不具合が大きく、何より充分な顧客満足を得ることができない状況から、むしろこの高額リフォーム群の仕事をしっかりやれる企業自体が、かなり希少な領域だと言えるでしょう。

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今後の人口構造から世帯が減少し、住宅が余る時代となります。

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空き家対策などの社会現象もその1つの現象です。

従ってこれからの不動産流通もただ土地を転がすだけでなく、リノベーションを施してから再販にかかるニーズも増加し、なおさらそれを手掛ける事業者も希少となれば、それをやり遂げるリフォーム会社こそが完全なる付加価値になることに気づいてきた企業が増えてきた事が、今、建築技能強化の風が吹き出しているのかもしれません。

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リフォーム業界には、販売、集客といった販促だけで7兆円近い市場規模まで拡大してきた今日ですが、10兆円を目指す国策には、これから既存住宅の適切なリノベーション提案と正しい建築技能の確立が不可欠になっていく時代です。だからこそ、技能向上への探求と学びが会社経営においての最重要課題の転換になるに違いありません。

そしてリフォーム業界の売上の過半数は、大手メーカーの子会社化されたリフォーム事業者でシェアを締める業界だけに、大手に負けない技能特化こそがこれから地域で打ち勝つ戦略の本丸となるでしょう。

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一方地域では、新築をメインで供給している地域工務店との競合化がさらに加速することで、地域工務店の維持管理への課題解決も裏側では拍車が掛かると言えます。

地域工務店の再受注率UPの為の努力が実るのか?それとも販売力一辺倒で進めてきたリフォーム会社の思考転換による技能向上が実るのか?という未来の勝負が、更なる住宅業界全体の品質管理の底上げに繋がる素晴らしい構図であることを期待したいと思います。