柱金物の不備事例|取り付け部位が違う

柱金物は、建物に力がかかった時に、土台や横架材から柱が抜けないようにする目的で取り付けます。下の写真は不備事例なのですが、良く見ると柱ではなく梁に金物が付いて、柱金物の目的を全く果たしていません。



設計図書で指示された位置に、指示されたものを付けるということだけに職人さんの思考が向き、本来の金物の目的を忘れていたことが原因です。ネクストステージでは、原理原則や目的を考えながら施工を行うと不備が少なくなるとアドバイスをさせていただいているのですが、今回の事例はそれに当てはまる事例となっています。

柱金物の不備事例|取り付けの向きが違う

柱金物は、金物メーカーで指定された向きで取り付けなければならないのですが、逆向きで付けてしまっていることがあります。1枚目の写真は、金物の向きを意識せずに取り付け、上下逆に取り付けてしまった不備事例です。


2枚目の写真は、柱金物を正しい向きで取り付けると下地にぶつかる為、向きを変えて取り付けてしまった不備事例です。


どちらも、柱金物の取り付け向きに対する職人さんの認識の甘さが、原因です。「取り付け向きにルールがあることを職人さんへ落とし込む」ことが、不備を発生させないポイントとなります。

工務店は今、施工管理という 概念を整理する時(前編)

住宅建築業界では、今や施工管理や工事管理という言葉を合言葉の様に簡単に使うことが多いですが、「施工管理」という、そもそもの概念を本質的に理解している企業が非常に少ないのが現状です。

施工管理の本来の役割としては、工程管理や安全管理、品質管理などを建築現場で行う仕事であり、目的としては、工事が大規模になるほど工程は複雑になり技術者の数も増えるために、施工管理によって計画性のある質の高い工事を行う必要性を追求するためです。

そして、施工管理の主な仕事は、発注者との打ち合わせや技術者の指導といった、現場管理や監督業務を行うという仕事という事なのです。

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如何でしょうか?なんとなく皆様の感覚でのイメージは、そんなにずれていないとは思いますが、やはり皆様の認識では感覚に過ぎない部分を今、お感じになってないでしょうか?

実は本質的な品質向上や生産性向上に繋がらない大きな原因の1つには、この概念をどうしても感覚で持ち過ぎてしまい、論理的なロジックとして持ち合わせない点にあります。

だからこそ、今一度このコラムで再認識して頂き、改めて自社のこれからの具体的改善に結び付けて頂けたら幸いに思うと同時に、この大前提の概念としての役割、目的、仕事内容を再度振り返ってみて、皆さんが今の施工管理という仕事に対する考え方や企業としての向き合い方を今一度、振り返って頂きたいと思っております。

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まず戸建住宅業界「町場工事」での役割ですが、「工程管理や安全管理、品質管理」などと先程記載致しましたが、正しくは8つの役割が有る事を認識しておきましょう。

実は、上記に記載した3つの役割に加えて「環境保全、原価管理、受発注管理、納材管理、情報管理」の5つをプラスした、8つの役割となるという原則です。

野丁場工事の施工管理概念では、戸建住宅業界と少し実務上違っていて、情報管理を組織管理に置き換えて管理して行くという事も特徴の一つです。

そして目的で整理した「計画性のある質の高い工事」を本当に実現させる答えは、まずこの8つの役割をどれだけ精度高く機能させ、そしてルーティンとして実運用させるかが鍵となり、全ての成果となります。

また現場そのものの管理監督を現場監督が中心に担っていく、つまりマネジメントして行くという流れになります。

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次に「管理すべき枠」のお話しに入る前に、今の戸建建築の仕様やスペックを振り返ってみましょう。

戸建住宅建築そのものは時代を経て、新築購買層の低年齢化や新建材や設備品の進化に伴って、住宅そのものが規格化してきていると言えいます。

注文住宅といえども、最近では表面的な仕上げ中心の選択肢の幅だけにとどまり、主要構造からの多彩なラインナップでは無い事から、むしろほとんどが規格化してきていると言っても過言では無いでしょう。

この規格住宅という特性を活かそうとした施工管理の場合、「管理すべき枠」は1棟1棟という物件毎にプロジェクトとして管理する従来型の概念を捨てない限り、活かし切れないという訳です。

つまり、物件毎のプロジェクトマネジメント思考では、今の工事管理は全て現場に関わる職人や監督の個人スキルに依存させないと、どうしても進めていけないという点です。

確かに昔の注文住宅は、現場毎のプロジェクトマネジメントとして、経験豊かな現場監督や棟梁中心に腕を奮ったものでしたし、そこに価値があることで、特に大工職人指名という購買ニーズも普通にあった時代でもありました。

規格住宅の施工管理すべき枠の在り方は、年間棟数に関係なく、仕様スペック毎に連続して管理して行くというプログラムマネジメントという思考と手法を仕組みとして用いる事で、品質や生産性という様々な改善が図れるという管理枠に、ひとまず改めて頂きたいのです。

それをまず改めることで、一定のスタンダードな管理スキームの構築を目指していけますので、メリットとしては現場スタッフ依存型管理の脱却や、また現在非常に広がりを見せているクラウド管理ツール等が活かせていく事ができ、少人数制での安定感ある管理が実現出来るのです。

 

また現在においてはクラウド管理ツールの普及も非常に大切な事ではありますが、使いこなせ無いビルダーが非常に多いことも事実です。

特にその原因となるのは、まさしくプログラムマネジメント型での施工管理を運用していない点から、残念ながら個人に依存するチャット機能や写真UP機能止まりの利用でしか無いのが現状でしょう。

このプログラムマネジメントは、極端にいうと工場生産管理型手法に近いと言えます。

考えてみれば同じ仕様スペックのものを様々な立地場所で量産する訳ですから、このような考え方の切り口でも決して間違いでは無いということです。

ただ、家電製品などの工場生産管理と違うことは、製造場所が建築現場である事で、規模や立地、お客様によって間取りが異なるという点になります。

この辺りを頭に入れながら、1つずつ紐解いて行きましょう。【後編へつづく】

「空前絶後のパンデミックと闘う住宅業界」

今日本は、いや世界は、新型コロナウイルスという空前絶後のパンデミックに取り巻かれています。住宅産業のみならず、全ての産業で働く沢山の人々がウイルスに感染し、またそれを回避する為に人間が生み出す様々なエネルギーを減速させています。

この状況は、以前経験したリーマンショックという金融危機とは全くレベルの違う「ヒト・モノ・カネ」全てにブレーキが掛かり、世界経済そのものを硬直化させ、さらに終息が予期できない未来の不安までを想像以上に掻き立てている恐ろしい事態であることに違いありません。

このような現実のマクロ状況を踏まえて、やはり住宅産業という枠組みから、一企業というミクロでの経営不安にまで影響し、今までのように「働く」という当たり前の環境を覆し、「生きる」という危機環境にまで迫られている事が、何より人々は恐怖に駆られているのです。

その中でも住宅産業は、不動産売買や建築請負など、一回性産業でありながら、人生で最大の高額な消費を提案する崇高な産業であるだけに、過去どんな時代でもやはりユーザーの購買意欲の低下というマイナスのムード感そのものが、一番ジャブのように効いてくる危機要素であると言われます。

消費者自身の安全に対する不安や社会に対する不安を抱えている現在では、基本マズローの欲求の5段階の心理的行動を引用すれば、到底自己実現の欲求にまで至らない事が明らかです。

つまり、今までのような金利、性能、コスト、仕様などといった比較メリットを前面に出す提案ではなく、今決断しなければならない必要性を如何に理解してもらったり、又こんな時期だからこそ豊かに暮らすという神秘性を実感させたり、そして当たり前に安全に暮らす大切さを、今一度大切に振り返っていただける論理的な提案が必要ではないでしょうか?

少なくともテレワークなどの在宅業務に切り替わる企業も多い中、改めて家族との絆や、生きるという大切さを実感されるご家庭も多い訳ですから、このピンチをチャンスに変える仕組みと、勇気を出して肩を叩いてあげる器量や公正な倫理観が、この難局を乗り越える業界の経営だと思っています。

具体的に、今決断しなければならないきっかけとは、ユーザーの生活の中心にいる子供達の成長ラインが変化する入学、進学などのタイミングはもちろん、このような時期だからこそ、優秀な職人が出揃い高品質な家づくりが実現出来る価値あるタイミングであることなど、今まで本当に裏方で真面目に貢献して頂いた職人様を優先的に起用するなどの格差を見い出せる唯一のチャンスである訳なのです。

また、本当の安全な暮らしや、快適な環境を実感される時期だからこそ、横並びのモノづくりから、一歩抜きん出る本質を具現化する事で、今や希少な製造に対する実力ある会社こそが魅せ付ける良い機会ではないでしょうか?

このパンデミックという天の悪戯は、何を今、我々業界に訴えかけているのだろうか? この命題を紐解くポジティブな一つの考え方として、きっと何かの選別であり、何かを乗り越える為の見極めであるに違いありません。また、今まで忘れかけていたものの不始末か、住宅事業者として大切な忘れものをしていたとしたら、それはきっと過去から逃げ出していたものであり、きっと胸の内で理解している事なのかも知れません。

このパンデミックという空前絶後の事象に対する解答や成功の方程式など存在せず、我々が今やるべき知恵と工夫を凝らす事と、そして今まで培ったリソースを最大限に生かす事の2つを信じ実践する事が大切だと思っています。早い終息を信じながら、終息した暁には一気に挑戦していけるエネルギーの充電期間として、もし未来を信じるなら、何よりしっかりと今こそ学ぶ機会を作ることなのではないでしょうか?