組織力の強い会社は、対処と改善の大きな差を理解している

施工管理という仕事は建築会社として非常に大切な仕事であり、まさに事業目的達成の根幹と言っても良いでしょう。家を製造するというその施工管理の大前提を、ものづくりにおける「プロセス管理」ではなく「プロジェクト管理」だという認識をしっかりと持って頂きたいということが今月のコラムでお伝えしたいメッセージです。

プロセス管理では、作業を仕訳けたり集約化したりする、作業マネジメント思考に走りがちです。前回のコラムにも掲載いたしましたが、作業マネジメント思考では「効率化」という手段が目的化してしまい「手段先行型の経営」に走ってしまうことになります。この傾向は若い経営者に多く見受けられるのですが、その「手段」である仕事を、例え積み重ねて行ったとしても、会社のリソースとしては充分に蓄積されず、将来的な人材育成の財産としては見込めないでしょう。

このような思考で経営してしまうと、現場管理に携わるスタッフが現場に行くという作業(行為)が目的となって、現場に行く本来の「目的」がいつまでもたっても生まれてきません。

結果、施工管理の内容となる工程管理、資材の受発注管理、安全管理、品質管理なども同じように作業としての認識から脱却できなくなるのです。これこそまさに、費やした時間に見合った経験や学びがスキルとして身につかず、素通りしてしまう訳です。

そこでまず、作業の効率化をマネジメントするという発想を優先するのではなく、目的に対して時間と作業を割り当てて行く思考を基本にすべきなのです。そこから効率的に行う為の工夫や知恵を入れ込んでいき、さらには属人的管理から、組織的管理へとステップアップさせて行かなくてはなりません。

日本の住宅建築の文化そのものが、棟梁制という属人的管理体系の歴史が長く、その場に携わる職人や管理者の人的スキルに依存せざるを得ないのだとしたら、どれだけマニュアルや基準を事前に決めたとしても、不具合をやり直すという「対処」という行為しか生まれません。

対処ではなく「改善」にする為には、組織的管理をしっかり体系化することが大前提にあって、ある現場、ある工程タイミング、ある事象、あるミスと言った、点の現実をどれだけ全社で共有でき、どれだけチームで課題解決に継続して時間を使うかが大切なのです。

皆様の会社の社員達は、仕事とは何をすることだと認識しているのでしょうか?受注取り、プランづくり、現場管理、コーディネートなどは、あくまでも担当各々の役割であり作業であって仕事では有りません。仕事とは、担当した役割を日々「改善」することなのです。改善し続けることが仕事であり、出来ないことを出来るようにしたり、 出来たことをもっと良く出来るようにしたりすることなのです。つまり『改善=成長』という訳です。施工品質の良し悪しは会社で取り組む「改善力の証」であることから、まさしくその会社の組織力は建築現場環境とイコールと言っても過言ではないでしょう。

最後に、組織的管理をして行く上での注意点として、役割と責任と権限が明確になっていることが重要だとお考えいただきたい。

施工上の問題や不具合がいつまでたっても減少しない理由は、職人各々に明確な仕事の範囲や期間、基準、そして単価が決まっていないことが原因である場合がほとんどです。これらのことが決まっていないのに、明確な責任や権限を委譲出来ません。

プロジェクトマネージメントの基本は、現場に携わる全ての利害関係者の達成と成功にあります。その為には、関係者各々の役割と責任と権限を明確にするとともに、属人的な現場環境を脱却し、組織的管理への体系化を目指していきましょう。