『「生産性向上と効率化」住宅業界での大きな勘違い!』

生産性向上というテーマは、住宅業界においても大きな経営課題となってきました。
そこで、あえて本来の『生産性』の意味を見てみると
「生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、
あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度を最大化すること」となっており、
また『効率性』とは「資源の配分について無駄のないこと」となっています。

しかし、我々住宅業界では生産性向上と効率化を同一と解釈してしまう習慣があり、
単純に労働時間の短縮や、仕事が早く終わるようにすることに、
総体的に取組み、改善して行くことを目指すイメージがありますが、
実はその思考こそ大きな落とし穴であることに気づいてほしいのです。

本来、「生産性向上」の根幹は、資源から付加価値を生み出す効率を
最大化させることにあります。
そのためには企業の本来達成すべきミッションが事前に明確になっていることが大切ですが、
その目指すべきものが明確でないと達成すべき価値の定義すら変わってしまう可能性もあります。
間違いなく言えることは、ここで言う付加価値を生み出すとは、
中長期的なミッションに寄与する価値のことであって、
短期的な売上高や利益額に寄与することではないということであり、
このことを忘れてはならないのです。

会社が求める成果には、短期的な売上高や利益額と、
中長期的な企業価値の向上がありますが、
特に後者の中長期的な成果を最大化させることとは、
掲げた事業ミッションを達成すべく、企画やマネージメントの基盤づくりを
効率よく進めていけるかどうかが正であると考えられます。

つまり、建築請負業の生産性向上とは、つくり手である皆様が家づくりを通じて
地域のすまい手にしっかり貢献するという使命を達成する為に、
経営資源である「現場で従事する技能者」などをマネージメントする環境づくりを
効率化することであって、現場の工期をただ短縮したり、原価やコストを単純に削減したり、
職人やパートナーに安易に依存することではないのです。

現場で働く現場監督や職人・パートナーという尊重すべき経営資源を、
上手くマネージメントできる体系づくりを効率良く推進させ、
人材スキルの向上や施工品質の向上など、そこで生まれる付加価値を
社内に根付かせ蓄積していくことこそが本質的な生産性向上と言えるでしょう。
それをもっと早く、もっと安く、もっと精度高く達成していく手段として、
様々なクラウドや仕組みといったツールが存在し、
その手段の存在が「効率性」を左右するということなのです。
効率性アップ(効率化)のツールという「手段」が、生産性向上に繋がることはありません。
なぜならば、それらのツールが企業価値として根付くことなど絶対にあり得ないからです。

生産性向上に向けた道具として、一定の作業のIT化や、
何らかの作業を効率化するツールが存在すると考えることが正しいと言えましょう。
住宅の付加価値は、モノの価値という存在を越え、豊かな生活や暮らし、
そして幸せな人生という形のない付加価値を達成する崇高なものであるからこそ、
単純な住宅製造における効率化と、企業の生産性向上を
同じ解釈で済ましてしまう考え方や思考は危険だと言えるでしょう。